”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

国内3000kmの移動で見えてきた地方経済のイマ!なぜ、無形資産への投資が大切なのか?

 みなさまこんばんは!

 Good News and Companiesの、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです!

この1ヶ月、講演の仕事で様々な地域への出張しました。地方経済活性化のヒントを、総括としてまとめます。新潟県編はこちら青森県編はこちらへ

今回のお話は、月曜レギュラーを担当しているBSJAPAN「日経モーニングプラス」のコーナー『さいますみのマーケットラボ』の話も交えて書いています!

 

Q.1そもそもどこ、どこに出張に行ったの?

 東京から大阪、新潟、青森へと約3000kmを移動しました。各地で地方経済のリアルを、伺うことが多数ありました。非常によく聞いたのは「円安つらいよ~」という声でした。地方は都心に比べて、地元に根付くスーパー・飲食業等のサービス業比率が高い傾向にあるようです。今、仕入れ価格が、円安で値上がりしつつあります。もちろん、販売価格に価格転嫁できれば問題はありません。しかし都心と比べて賃金格差が大きく、円安コストUP分を、直ぐに価格転嫁できないことが課題です。

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(制作:BSJAPAN、日経映像)

 

Q.2なぜ、賃金格差が大きいの?

 賃金水準を規定しうる労働生産性の改善が、地方で起きていないのです。労働生産性は、①資本・設備の質、②労働の質、③技術革新度(TFP)の3つで決まります(もちろん、この3つだけに分解することの短所もあります。話がそれるので、ここではふれません)。成熟した日本では、①の質は非常に高く、今起きている設備投資需要も更新需要がほとんどのようです。②に関しては、高齢化していく中で数は減っても質を高める可能性は十分にあります。となると③が気になりますが…

 下記のグラフは労働生産性上位10と下位10を県別に並べたのです。。労働生産性を決める①②③の要素を色で区分けしています。都市圏に比べて、地方は技術革新度(TFP)の停滞傾向にあります。これが原因で労働生産性を下げ、賃金格差を埋められない背景にあるようです。では、こうした地域で技術革新度を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか?

 

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(制作:BSJAPAN、日経映像)

(出所:RIETIディスカッション・ペーパー 13-J-037) データは2009年時点

 

Q.3技術革新度を高めるためには、どうしたらよいの? 

 こうした地域の企業で技術革新度を高める投資が少ないことが影響しています。技術革新度を高めるには、無形資産投資の拡大が必要です。企業の技術革新度を高めるイノベーション活動に必要な支出は無形資産として蓄積され、付加価値をうみだす生産能力となって現れます。  

 実は、OECDデータ、内閣府レポートや、各種論文等で、無形資産と企業の生産性には密接な関係が示されています。例えば、以下のような結果が示されています。

①無形資産ストック蓄積の多い国ほど、労働生産性が高い傾向
バブル崩壊後、日本は無形資産投資が低迷している
③無形資産投資の内訳では、日本は情報化資産等への投資が多い。欧米では経済競争力に繋がりやすい広告宣伝費、人的投資が多い
等です。
 
 
Q.4そもそも無形資産ってなに?どうしたら増える?
 そもそも無形資産とは、a)データベース等の情報化資産、b)著作権やライセンス等の資産、c)ブランド力や人的資本、組織資本等の経済競争力という3つがあります。上記③にあるよう、日本はc)が相対的に不足しています。この無形資産投資を、増やすためにはどうしたらよいのでしょうか?
 私は地方経済の金融情勢、企業情報が集約している地方金融機関の支えが重要になると考えています。地方金融機関の情報生産性を高めるための、デット・ガバナンス向上が課題と思われます。私の予想は、金融庁は、こうした技術革新度が低迷している地域の金融機関ほど再編を進め、地方経済の新たな牽引として再生するのでは?と考えています。 これからさらに、地方経済の支え役として地方金融機機関に関するニュースは増えそうですね。
 

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(制作:BSJAPAN、日経映像)

 
ここまで読んで頂き、ありがとうございます!

いつも、応援ありがとうございます!

引き続き、よろしくお願いします!

 

崔真淑/さいますみ

 

 

 

 

(制作:BSJAPAN、日経映像 BSJAPAN「日経モーニングプラス」は平日6:38~放送中!)

 

 

 

 

年前半を振り返る!:ビジネスウーマン雑誌出演の学び!なぜ、不安な時代だからこそ「好き」が大切なのか?

みなさまこんばんは!

Good News and Companies代表で、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。

年前半振り返りシリーズ第三弾です!前回の内容はこちら。実は、年前半はビジネスウーマン雑誌出演が重なる期間でもありました。

 

Q「シティリビング」ではどんな内容を?

フジサンケイGPサンケイリビング新聞社のフリーペーパー「シティリビング」では、経済・投資ビギナー読者3人の自腹チャレンジ特集でお世話になりました。チャレンジする前に、私がレクチャーします。その後1ヶ月間で、どこまで行動に移せたのかをウォッチしています。3人の日々の取り組みを見てたら涙がでそうに…

指標の読み方云々だけでなく、長い目で付き合うのだから「好き」を信じて選んでねとお伝えしました。(ちなみに、「OL経済知恵袋」も連載中です☆)

f:id:saimasumi:20150725233513j:plain(写真は登場させて頂いた3媒体です)

 

Q2.「プレジデントウーマン」は、どんな内容を?

プレジデント社の「プレジデントウーマン」では、ピケティの話を軸に展開しています。ここでは、経済力を考える前に健康投資の重要性も触れています。資産を蓄積・運用することも重要ですが、健康あっての経済力ですしね。別の機会に触れますが、所得と運動量って正の相関を見せる国が多いです。

 

Q3.「SPUR」は、どんな内容を?

集英社のファッション雑誌「SPUR」では、「明日と戦うために、今日読む本30」というコーナーで、おすすめ経済本を紹介しています。格差拡大で資本主義の限界という声も聞きますが、効率重視の資本主義の形が変わるだけでは?と考えています。そんな考えを元に本をチョイスしました。

ミニコラムでは、IT化が進んだ先には『人間がやるから意味がある世界』が待っているという私の考えをお伝えしています。ファッションでも道徳的に正しいかが問われ、「エシカル」という言葉が出てきています。その製品、サービスにストーリーを感じるのが当たり前の世界になり、人間の思いに価値を認める世界が待っているかと。現代アートなんて、まさにその代表ですよね。「好き」という思いを大切にすることが更に重要な社会になると思います。 

 

Q4.全体を通して感じたことは?

こちらのブログでも書きましたが、今の経済・社会情勢って不確実性が高くて、金融経済と実体経済がリンクしあうことで現状維持が難しいですよね。OECDでは、想定外のことが起きても、直ぐに立て直せるリスクヘッジ能力とタフネスさを発揮できる「レジリエンス」が人単位でも国単位でも必要と説いてます。そして、そのレジリンスに大きく貢献してくれるのが「好き」の力だと思います。「好き」なことだと、苦しいことがあっても、その事象をマクロな長期目線で考えられる余裕も出てきます。

と、感覚・フィーリングを重要に感じる女性だからこそ、今回のお仕事では「好き」を大切にしてほしいを前提に進めました。 やっぱいやいやだと生産性は落ちるけど、好きだと仕事も早いですよね~!

 

今日も読んでくださりありがとござます!

応援ありがとうございます!

引き続きよろしくお願いします!

 

崔真淑/さいますみ

 

 

年前半を振り返る!:フジテレビ「みんなのニュース」出演の学び。なぜ、専門用語を使わないことが重要なのか?

みなさまこんばんは!

Good News and Companies代表で、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。

前回に続いて、年前半の活動を暑さで忘れないうちに、反省点と一緒に記していきます。今回は6月11日に、フジテレビ「みんなのニュース」に出演させて頂いた時のことを!

 

Q1.何を話したの?

フジテレビ「みんなのニュース」には、「ふかぼり」というコーナーがあります。みんなが気になる、でもよくわからん!というニュースをテーマに、専門家が解説します。私が出演した回は、資本市場が活況となっている中で、投資信託が人気化している背景を解説しました。なぜ、この日かというと、国内の投資信託総額がはじめて100兆円を超えた日だったんですね。資本市場が熱狂的な背景と、ネットを通して投資信託を買う人が購入者の1割程度しかいないことを解説。フィンテック分野で伸びしろがあるのは、決済だけでなく投信も大きそうですよね。

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(写真はGood News and Companiesのチームメンバーが撮影。スタジオでは忙しすぎて撮影できず…椅子がすごかった…)

 

Q.2そもそも、解説するときに心がけてていることは?

おかげさまで、現在はラジオ、CS放送、BS放送、地上波で担当番組を持たせてもらってます。心がけるべきは、カバー世帯数に応じて、専門用語レベル感を考えること。

例えば、「A社がリキャプCBで設備投資する背景」を解説しようとします。ここではA社が設備投資に踏み切る話が主目的であり、解説に40秒しか使えないとします。となると、リキャップCBという聞きなれない言葉を解説している暇はありません。リキャップCBを債券と株式の中間の金融商品と表現するか、または新たに資金調達してと、ザックリ表現するか、考える必要があります。もちろん、リキャップCBをじっくり説明する場合は違います。

 

と、偉そうに書いてますが、まだまだ×100な私は専門用語を使って後悔することも多々あります。そんなときでも共演者にフォローしてもらったり、視聴者の方がTwitterで質問してくれたりと、支えて頂いてるのを噛みしめる毎日です。

 

Q3.フジテレビ「みんなのニュース」の気づきとは?

とはいえ、担当しているのは経済番組。株式、債券の定義から説明する機会は、それほどありません。説明するにしてもサラッと10秒程でします。

しかし!今回は違った!夕方のニュースなだけに、ビジネスパーソンだけが視聴者ではありません。構成段階から、スタッフの方々と考えました。とにかく、専門用語を使わずに「翻訳」することを心がけました。

数学が苦手な人に、テイラー展開について熱く語っても、はぁ?って思いますよね。経済に馴染みがない人に、GDP成長率が~、IMFが~、ECBの量的緩和によって~、コーポレートガバナンスが~、いきなり伝えたら嫌になって当然ですよね。でも慣れてくると、しらずに使うことも…

今回は、伝えるための心構えにおいて、初心に戻れました。専門性が重要な世の中だからこそ、分野が違う人に何かを伝えるためには、謙虚に何者にも染まらない素人感覚を維持することが、強みとなりそうです。 と、偉そうにいってますが、私も修行中です(汗)。

 

ここまで読んでくださりありがとうございます!

いつも応援ありがとうございます!

引き続きよろしくお願いします!

 

崔真淑/さいますみ

 

年前半を振り返る!:「News Picks プロピッカー第一弾メンバー」の学び。~なぜ、書くことが重要なのか?~

みなさまこんばんは!

Good News and Companies代表で、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。

いや~暑い日が続いきますね。そんな暑さで忘れないうちに、年前半を反省も兼ねて忘備録としてまとめてみます。今回はNews Picksから学んだことと、なぜ書く技術が重要なのかを書きました。

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(こちらのプロフィール写真は、プロピッカーになるときに撮影して頂いたものです。トレードマークの三日月目の写真です!!)

Q1.News Picksでどんな活動をしたの?そこからの学びとは?

今年の3月から6月まで、News Picksでプロピッカー第一弾の活動に携わりました。プロピッカーとは、News Picksチョイスの各分野の専門家メンバーです。各自の分野・持ち味を活かしてニュースをピックし、コメントと共に情報発信します。経済、金融、法律、教育、…と面白い方々ばかりで、そのコメントから学ぶことばかり。「継続」発信の難しさを改めて感じました。

ピックしだすと、ネタの重複やパターン化されてくるのです(笑)専門知識の視点から、専門でない分野に対して、どんな視点で斬ることで、読み手に貢献できるかは、今後も意識したいです。任期終了後は、第一弾プロピッカーメンバー、第二弾プロピッカーメンバーとの交流会も開催され、充実した期間となりました。

 

Q2.特集記事では、どんなことをしたの?そこからの学びとは?

この期間は、ニュースをピックするだけでなく特集記事や連載にも携わりました。『ビジネス書は本当にビジネスの役に立つのか』では、私が考えるビジネス書の付き合い方を伝えています。難しいなぁと思ったのは、ビジネス書の「定義」でした。ビジネス全般に関わる指南書といっても、どこまでが指南書なのか…。会議で、言葉の「定義」なくして進み、話が合わなずに、やり直した経験ありませんか?私はめっちゃあります(笑)アカデミックな世界も言葉の定義がないと、軸が定まらないし議論も発展しないです。

 

例えば、資本市場研究では、直接金融と間接金融ではどちらが、企業価値向上と社会コスト削減に寄与するかが研究されています。その中で、日本の銀行系列上場企業と独立企業を分析しているのですが、系列ってどういうことでしょ?その銀行と同じ財閥系なら系列なのでしょうか?Hoshi, Kashyap and Scharfstein, 1991, “Corporate Structure, Liquidity, and Investment: Evidence from Japanese Industrial Groups” では、メインバンクとの借入、株式所有に基づいて系列企業と独立起業とに分類し分析をスタートしています。 ということで、私も改めて「定義」を意識せねばです。

newspicks.com

 

Q3.連載では何を書いたの?そこからの学びとは?

連載では、自己紹介を兼ねてマクロ経済・資本市場の世界に携わるきっかけと、今起きている資本市場改革の話を書かせていただきました。テーマの「幅」を広くとりすぎ、今後の課題も多かったです(汗)。「幅」が広く、タイトルの付け方や、どこまで深めるべきか迷いながら書いているところもありました。あとは、自己紹介を書くことがこんなにもドキドキするのかと思いました。事象を解説することはあっても、自分を解説することはほとんどないので…

 

そして、News Picksユーザーさまから、ダイレクトにコメントを頂けるのは本当に有難く、今後の糧にできました。ありがとございます!

newspicks.com

 

Q4.で、全てを通して感じたのは?「書く技術」が重要と思った背景は?

何がすごいって、その場で自分の考えに対する反応を、見ることができることです。つい10年前は、ありえなかったわけです。インターネット進化でNews Picks、メール、FB、Twitter、ブログ、エントリーシート、…で、私たちは、書いて書いて書いて書いて書いて書きまくってるのです。10年前より書く機会は激増しています。

このネット社会では書くことが減ることはないと思います。そうなると、書く技術って本当に本当に本当に重要なスキルだし、ビジネス上の重要度も更に増すはず。

 

私は、書く技術は未熟です。News Picksは、経済ニュースを知るだけでなく、なぜ「書く技術」が重要なのか、そしてそのために「継続」「定義」「幅」の重要性を考えさせてくれました。貴重な機会に感謝しています。コメントから書く技術を向上したい方にも、News Picksはおすすめです。

 

ここまで読んでくださりありがとうございます!

引き続きよろしくお願いします!

崔真淑/さいますみ

「東芝」の不適切会計を、海外メディアはどう見てる?

みなさまこんばんは!

Good News and Companies代表で、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。
今日、東芝の田中久雄社長は記者会見を行いました。責任を明らかにするため辞任が発表されました。さて、東芝の不適切会計について海外メディアはどうみているのでしょうか?ざっと、目についたものだけを簡単にまとめました。印象的なのは、今回の事件を「accounting scandal」と表現しているところでした。
(…何が言いたいかは察してください(汗)) 
 

www.cnbc.com 米CNBCは、今日の株価上昇と東芝のビジネス環境についてです。当初言われていた減額幅は約500億円でしたが、第三者委員会の調査結果では約1500億円の下方修正が必要と指摘されています。しかし、今日の東芝の株価は6%を超える上昇を見せました。減額幅がどの程度か判明し、不透明感の薄まりを好感したのでは?としています。東芝のビジネス環境については、今回の不適切会計事件に関係なく厳しいとの論調が並んでいます。主要ビジネスであるNAND型フラッシュメモリーは、スマホ需要の鈍化から、業績は鈍化していくと予想。実際、東芝と提携している米サンディスクの株価は、スキャンダルは皆無なのに、今年に入って40%も株価が下がっていると…

(私が機関投資家の方に、東芝企業価値って何が要になってくると思います?と聞くと、もう米サンディスクの価値しかないよ!なんて厳しい指摘も出ていました。)
  

 

www.bbc.com  BBCは、米証券取引委員会がどのようなアクションを取るかが、東芝の懸念事項として挙げています。今後の東芝のビジネス環境に対しては、米CNBC同様に、韓国、中国のハイテク企業と競争面で既に厳しい状況と指摘しています。これを機に、選択と集中が起きるかに注目とのことです。

 

Scathing report says Toshiba CEOs had role in accounting scandal

 

 こちらは英FTの記事。日本メディア同様に「チャレンジ」の存在や、当初言われていた減額幅が3倍以上に膨らんだことを指摘しています。コーポレートガバナンスを強化しようとしている安倍総理の努力に水を差したと書かれています。私見ですが、東芝への対応の仕方は、内閣支持率にも間接的な影響や、海外投資家の日本株への見方に大きく影響が出ると思います。

 

  

ここまで読んでくださりありがとございます!東芝厳しい環境続きそうですね。

ある方に海外主要経済メディアを10年続けて読むと人生が変わるよと言われました。外から日本がどう見られているか意識するのは重要ですよね!

引き続きよろしくおねがいします!

 

崔真淑/さいますみ

 

 

映画「長州ファイブ」をマクロエコノミスト目線で視聴してみた!現代版の開国に必要なものとは

みなさまこんばんは!

Good News and Companies代表で、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。
この連休に題名にある、映画「長州ファイブ」を視聴しました。イマドキ、DVDかよ!と突っ込まれそうですが、尋常じゃない面白さでした。
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Qストーリーは?
ストーリーは攘夷(外国人を排斥すること)と鼻息荒かった長州藩の侍達が、外国から藩を、そして日本を守るには外国を知らなければとイギリスに密航する話です。この時の五人は、長州五傑としてロンドン大学にも記念碑が残っています。
 
メンバーは、伊藤博文氏(初代総理大臣)、井上馨氏(初代外務大臣)、井上勝氏(日本鉄道の父)、遠藤勤助氏(初代大阪造幣局長)、山尾庸三氏(日本工学の父、東大工学部設立)です。山尾氏を主役に展開していくのですが、ずーーと日本語の字幕がついてるんです。なぜでしょう?後半を見るとわかりますが…実は山尾氏は日本で初めて聾・盲教育のための学校を設立した人なのです。 (だからそういう演出なのかは私の予想です。)
 
彼らはイギリスに来たことで日本を豊かにするには、開国が重要と感じます。積極的に海外から知識を吸収し、貿易をして国力を高めなくてはと危機感を大きくし、必死にイギリスで勉強する姿が描かれてます。これ、いまの日本の若者が見たら、グッとくるものがあるんやろうなぁと思ったわけです。
 
Qマクロエコノミスト目線では?
で、マクロエコノミスト的にはどう思ったかというと。現代版の開国には、個人レベルでも企業レベルでも無形資産投資やー!と感じたわけです。現代版の開国といえばグローバル企業の競争力に負けず、賃金低下の波にも負けず、付加価値を出し続けて、交易を通して国を豊かにすることだと思います。
 
Qなんで無形資産なの?
なぜ無形資産か? それはOECDデータ、内閣府レポートや、各種論文等で、無形資産と企業の生産性には密接な関係が示されているのです。例えば、
①無形資産ストック蓄積の多い国ほど、労働生産性が高い傾向が統計的に有意である
バブル崩壊後、日本は無形資産投資が低迷している
③無形資産投資の内訳では、日本は情報化資産等への投資が多い。欧米では経済競争力に繋がりやすい広告宣伝費、人的投資が多い
等々の結果が示されています。
 
そもそも無形資産とは、データベース等の情報化資産、著作権やライセンス等の資産、ブランド力や人的資本、組織資本等の経済競争力という3つがあります。上記③にあるよう、今の日本には、経済競争力に影響しやすい分野の投資が相対的に不足しています。
 
Qで、どうしたらマクロで無形資産増える?
じゃあどうしたら増えるのか?前回のブログにも通じるですが、こんな時だからこそ、金融機関やファンド等の情報生産性と、それによる情報網が有効だと思うんです。特に地方企業にちって。
 
銀行やファンドには各融資先や出資先の情報が集まります。各種論文では、バブル期までは銀行情報生産性による企業価値向上のきっかけを探ろうと様々な研究がされ、世界が注目されていました。地銀は再編の波にあります。それは情報が一つの組織に集約されることでもあります。私は地銀再編をきっかけに地方企業の新陳代謝が加速し、組織資本等の蓄積がされてくと予想しています。
 
と、少し無理矢理感もなく無かったと思いますが、ここまで読んでくださってありがとうございます!
引き続きよろしくお願いしますみ!
 
崔真淑/さいますみ
 

国内3000kmの移動で見えてきた地方経済のイマ!青森県&観光業&金融編

みなさまこんにちは!

Good News and Companiesの、マクロエコノミスト崔真淑/さいますみです!

この1ヶ月、大阪、新潟、青森と、講演の仕事で出張の機会を多数頂きました。前回に続いて、青森出張で発見したことや、感じたことをまとめていきます。

 

*「観光業・金融業と地方経済 」in青森

 青森では、中小企業の経営層のみなさまにお話をさせて頂きました。講演の機会を頂くと、男性が圧倒的に多いのですが…今回は女性経営者の方々の多さに驚きました。青森は女性社長比率が最も高い県(!)とのことです。青森経済を盛り上げるためのヒントをとのリクエストを頂いたので、観光業だけでなく、金融業の影響を中心にお話させて頂きました。

なぜ、金融の話も力を入れたかというと、以下の理由があります。講演前に担当者の方に内容を聞かれお話をした際に、「やっぱり観光か~」との声が気になったからです。言葉の背景には、観光による経済波及効果(雇用・開業率の上昇…)を疑問視する気持ちがあるのでは?と思ったからです。

 

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(写真は青森駅から出ているシャトルバス「ねぶたん号」!これで縄文時代の遺跡「三内丸山遺跡」へ!)

 

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(写真は縄文時代の遺跡「三内丸山遺跡」の広場!自然が沢山あって癒されました!)

 

*観光業が盛り上がっても気持ちは上向かない!?

アベノミクスが始まった2013年から2015年6月時点の日銀短観(企業の業況アンケート調査)を見ると、当初は地方都市ほど改善が顕著に見られていました。背景には、非製造業の多い地方ほど、円安による訪日外国人のインパクトが大きいことがあります。しかし、その改善テンポは徐々に停滞しています。実際、全国の各種データを見ると、観光業が増えても、その持続性に自信が持ちきれず雇用、新規貸出、新規投資…が顕著に増えた様子は見られないようです。なぜ、そうなるのでしょうか?

考えられる理由には、人口減少による低迷が挙げられます。生産地と需要地が一致する観光業というサービス業には人口減少のインパクトは非常に大きいです 

 

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(写真は青森駅近くの新鮮市場です。翌日、お休みをとれたので観光もさせて頂きました!)

 

*じゃあ、どないしたらええの?

人口が減る要因は二つあります。一つは高齢化による自然減。もう一つは若者の流出などによる社会減。観光業で盛り上がっても、後者の減少に歯止めがかからないのが現状のようです。では、なぜ若者は都心にでるのか? それは私自身もそうですが、職業選択に幅があるだけでなく、賃金水準が高いことがあります。実際、転出転入割合と、収入には正の相関がみられます。(因果関係があるとはここでは断定していません。t値の水準をみても、相関関係は統計的に有意な結果となっています。)

 

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(縦軸は転入超過人口の総人口比率:単位%(マイナスは転出)、横軸は平均月収:単位千円)

 

 

*技術革新のための投資はどうしたら増えるのか?

賃金水準の低さが、人口の社会減に影響しているようです。なぜ、賃金が低いのか?それは前回のブログで書いた、労働生産性が改善せず、賃金上昇が進まないことあります。何がネックといえば、技術革新が進まないことが最も大きいようです。

では、技術革新のための投資活性化はどうしたら進むのか?ということを、講演では提案してきたのですが…

地方金融機関の情報網による情報生産性が重要!!!

というお話をしてきました。地方企業のほとんどが株式市場で資金を調達できません。その時に力になるのが地方金融機関デッドファイナンス!!

コーポレートガバナンスの論文を読むと、日本経済における銀行の情報生産性(融資先がどういった企業と連携をとるとよいのか、投資先の情報を提供する…etc)の影響について議論されたのが多数あります。いま、株式市場の活性化が注目されていますが、地方経済にとってはデットガバナンスという負債調達コスト(金利が低いというだけでなく、調達に自信を持つための他企業、他業種との連携等も含めて)をどう下げるのかが焦点と思います。

 

この辺りは、次回以降に更に詳しく。

今日も読んでいただきありがとうございます!

また、青森県のみなさま、パワーと気づきをありがとうございます!

 

崔真淑/さいますみ