”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

【所得格差】日本の経済格差のイガイな話。3月27日BSJAPAN出演を振り返る。

みなさま、こんにちは。

マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。

春から変化だらけの日々を送っております。

なんと、3年間お世話になったBSJAPAN「日経モーニングプラス」を卒業しました。この番組を通して、コメンテーター、そして人間として沢山の学びを得ました。

 コメンテーターとして3年間通しで出演したのは、今のところ私だけみたいと!長きに渡りありがとうございました。あ、でも新レギュラー番組も始まったのです。それはブログの後半で紹介させてくださいね。

 

今回は、コーナー「さいますみのマーケットラボ」最終回でお伝えした内容を紹介させてください。そこで、みなさまにクイズです!日本の所得格差はどうなっているでしょうか?

 

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答えは…

 

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実は縮小しているのです…。あまり報道されない話ですよね。では、具体的にはどんな変化を示しているのでしょう。こちらの棒グラフは、税制や制度を考慮して再分配された後の所得格差について示したものです。 

 いわゆる所得再分配後のジニ係数(出所 厚生労働省)というものです。数字が大きいほど、所得格差が大きいといことになります。

 

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これを見て頂くと、2005年の数字の大きさが目立ち、小泉政権下で所得格差広がったことがわかります。ではアベノミクスではというと…

 2011年から2014年からの変化をみてください!なんと所得格差は縮小しているのです!!

 では、これは喜ばしいことなのでしょうか?実は、あまり嬉しくないこと日本でおきている結果、所得格差縮小が進んだとも言われています。理由は、こちらのこちらのグラフです!

 

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こちらは総務省が発表している家計調査データです。所得階級別に、そこに占める世帯比率がどう変化しているかを時代別にプロットしたものです。

 日本で長引く不況もあってか、高額所得の全体に占める世帯比率が顕著に減っているのですz

一方で、所得が高くない世帯比率の変化を見ると、顕著に増えています。

つまり、高額所得層が減り、所得の高くない層の世帯比率が増えたことが所得格差縮小に繋がっているのです。

アメリカ、イギリスでは高額所得者層の増加が経済格差に拍車と言われてますが、日本では真逆のことがおき、むしろ所得格差縮小がおきているんですね。

 

さて、そうした中で、アメリカ、イギリスに似た税制改革の影響はどう出るのか!?この辺りは次回以降に。

 

いつ応援ありがとうございます!

4月7日から文化放送にて新レギュラー始まります。

http://saimasumi.hatenablog.com/entry/2017/04/02/183511

貴重な機会に感謝です。

 

崔真淑/Sai Masumi

 

【営業職】悩み相談スキルがない人は消えていく!? in 営業Typeでの取材記事

みなさま、こんにちは。

マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。

4月に入り、新しいスタートにワクワクしている方も少なくないでしょう。そんな自身も、番組編成が変わり、更には大学院進学(これは改めてご報告させてくださいね)、新しい仕事…と、おかげさまで元気に精進できる毎日を過ごさせて頂いてます。

 いつも、本当にありがとうございます!

 

今回は、新たにスタートしたい!でもキャリアの不安も…という方に読んで頂けると嬉しい取材記事です。自分事で恐縮ですはありますが(汗)   記事タイトルはショッキングな感じですが、内容はソフトなのでご安心を。

 写真は、取材を受けた時のものです。実際の記事はこちらをご覧ください。

 https://type.jp/st/feature/2636

 

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記事の内容を、ざっくりまとめると、アメリカと日本で起きている所得格差は全く違うという視点。更には、そこから営業職の方々が何を身につけるとキャリアが開けるかのヒントをエコノミスト視点でお伝えしてます。

 

この中に、AIや情報通信技術の発展に負けないための要素も記載しています。この記事の中で引用した論文は、こちらです。

 

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/11e021.html

 

この論文にあるように、実は 非正規雇用の増加は世界で起きてます。日本では小泉政権云々言われていますが、それだけが原因ではないのです。

もちろん様々な背景があるでしょう。しかし、 大きな理由の一つに情報通信技術の発展が影響していることを、こちらでは丁寧に説かれています。

 

春からも皆様のおかげで頑張れそうです!

いつもありがとうございます!

 

崔真淑/Sai Masumi

 

 

【新番組】イマ、ラジオが熱い理由。月ー金朝7:00から宜しくお願いします!

 みなさまこんにちは!

 マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。

おかげさまで、今年4月で独立・開業して6年目を迎えることができました。

 実は独立当初は新興国で起業するなど、今と全く違う道を歩んでいました。しかし、沢山の挫折と紆余曲折もあり今のようなメディアでの仕事、研究職、社外取締役など様々な仕事をさせて頂いてます。人間万事塞翁が馬と常に感じます。

 こうして生活できるのもみなさまのおかげです。本当にありがとうございます❗

 

 

 そして、みなさまのおかげで、新たなレギュラー番組の御縁が!!!私のメディア活動の原点であるラジオで始まります。文化放送さんの新番組です!

 

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出演番組は、『The News Masters TOKYO』です。画像は、番組ロゴと、MCのタケ小山さん、アシスタントの小尾アナウンサーです。とても気さくで、朝からパワーを頂けるお二人とご一緒させて頂きます。本番が待ち遠しい〜〜〜!

 

 放送時間は毎週月曜日~金曜日 午前7時00分~9時00分の生放送!!私は毎週金曜日の7:00-7:40にニュースマスターとしてレギュラー出演します。内容は、その日抑えるべきニュースを一歩踏み込んで解説したり、旬なテーマが盛り沢山です。ビジネスパーソンの日常に役立つだけでなく、つい誰かに言いたくなるようなお話しをドンドン提供していきます。ぜひ宜しくお願い致します!詳細はこちら↓

http://www.joqr.co.jp/topics/20170321the_news_masters_tokyo.php

 

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ちなみに、改めてラジオが注目されているのご存知ですか?マスコミ四媒体におけるテレビのシェアは過半数を超えて、テレビの影響力はたしかに大きいです。

 しかし、そんな中で静かに盛り上がりを見せ、底堅さを見せるのがラジオ。2016年ラジオ広告費は1285億円で、2年ぶりに前年比増に転じるなど(出所:電通)再び盛り返してます。

 理由は、スマホアプリの『radiko.jp(ラジコ)』の影響です。このツールを使うと、聞き逃した番組を無料で聴ける等々(もちろん例外もあり)、便利!

 更には、目を使わずに音だけで情報を取得できるということが、ながらで情報取得できるだけに多忙なビジネスパーソンにも受けているようです

 オーディオブックなどが流行る中で、ラジオの魅力も改めてフォーカスされているんですね。

 

 

 貴重な御縁に感謝し、頑張ります!

いつも応援ありがとうございます!

 

崔真淑 / Sai Masumi 

 

 

(注 ロゴ、画像が全て番組クルーの方に許可を頂いて使用してます。)

 

 

 

【職務発明】2月27日BSJAPAN「日経モーニングプラス」振り返り!日本だから研究開発が必要な理由とは?

  みなさま、こんにちは。崔真淑/さいますみです。

 暖かい穏やかな日も増えてきました。実は、私事ですが4月からある変化と向き合います。(←こちらは別途報告させてください)

 4月から全力スタートができるよう今年の出来事を猛省中です。今回はBSJAPAN「日経モーニングプラス」コーナー~さいますみのマーケットラボ~で取り上げた、日本だからこそ職務発明が必要な背景を探っていきます。

 

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(制作:BSJAPAN「日経モーニングプラス」クルー陣)

 

Qそもそも職務発明とは?

 職務発明とは、「従業者等」(会社の従業員など)が職務上行った発明を指します。更には、特許庁HPに行くと、組織の研究開発活動が日本の知的創造において大きな役割を果たすことから、研究開発投資を積極的に企業が行えるようにするための職務発明制度を設けています。

 更には、先日、日経新聞朝刊一面に以下の記事が掲載されました。各企業で、職務発明を促す取り組みが紹介されています。東芝フラッシュメモリーや、日亜化学工業青色LED訴訟など、価値観を変化させた発明も、全て職務発明が発端です。

www.nikkei.com

 しかし、そうした成果物を得るには、企業側の目に見えない投資である研究開発費に投資をすることが必要です。さて、日本の研究開発費の動向はどうなっているのでしょうか?

 

Qで、日本企業の研究開発費の動向は?

 こちらの図表は、各国の上場企業を対象に研究開発費を削減した企業比率をまとめたものです。つまり、数字が大きければ大きいほど研究開発費を削減しているということです。

 日本はどうでしょうか?実は、バブル崩壊後から研究開発費を削減する企業比率が40%を一環して超えています。その高さは、他国と比較しても目立ちます。

 製造業に強みを持つドイツ、製薬・金融・ITに強みを持つアメリカ、ハイテク分野に強みを持つ韓国…と国によって産業構造が違うことを考慮すべきですが、これだけ数字が違うには、驚かされます。

 また、実証研究の分野では無形資産への投資度合の違いが、主要先進国の中でも日本のROEが低い背景にあるのでは?という研究結果も存在します。

 

<研究開発費を削減する企業の比率(%)>

  1995-1999 2000-2004 2005-2009 1985-2009
日本 47.5 42.5 41.7 41.5
アメリカ 18.8 27.3 23.3 22.5
ドイツ 21.4 40.3 35.9 35.3
韓国 40.6 34.1 36 35.5

出所:一橋大学大学院 野間幹晴准教授「日本企業の競争力はなぜ回復しないか」『一橋ビジネスレビュー』2010年秋

 

 

Qなぜ、研究費開発費は削減傾向にあるのか?

 では、なぜ削減傾向にあるのでしょうか?日本の上場企業の話になると、現預金が企業内に蓄積されている話題になることがありますよね。お金はあるんです。更には、る物にお金を費やしていることも影響があるのではと、上述した出所論文では指摘されています。それは、配当です。

 こちらの研究論文では、(上場企業全体の研究開発費)÷(上場企業全体の配当金額)の推移も示されています。つまり、研究開発費と配当金が相対的にどのような動きをしているかを示します。

 それを見ると、2000年は4を超えていたものの、2009年には2を割り込み、低下傾向を示しています。つまり、研究開発費という株主にリターンを返すには時間がかかる支出よりも、株主にすぐにリターンをだせる配当支出に上場企業全体が偏っている可能性を指摘しているのです…。

 中長期戦略が重要といわれているが、数字をみると短期戦略に傾きつつあるかもということなんですね。。

 

 その他にも、会計基準の違いから研究開発費を資産計上できるかどうかといった、制度面も影響も各研究では指摘されています。IFRS(IAS3,38)では回収可能性がある研究開発費は資産計上できる場合があります。

 一方で、日本基準では費用計上されるのみで、資産にはなりません。これらを考えると、職務発明を促すための資本市場改革はもちろんですが、会計に関する議論も更に活発に!?

 

(注)ちなみに、研究開発費における対GDP比率は日本は高いぞという声もありますが、会計上の研究開発とGDP統計における研究開発の定義の違いから真逆の結果になっていると思います。日本経済のドライバーである上場企業において、会計上の研究開発費減少は、留意すべき視点だと考えています。

 

 

ということで、長い文章を読んで頂きありがとうございます!

応援ありがとございます。

更に精進します! 

 

崔真淑/Sai Masumi (さいますみ)

 

 

 

【Post Truth】1月某日 フジテレビ「ユアタイム」木村太郎さん、モーリーさん共演からの学び!

 みなさま、こんにちは。崔真淑/さいますみです。

 気付いたら、もう2月も終わりを迎えようとしています。ここで、来年度に向けて1、2月の反省を全力でしていきます。今回は、1月の番組出演からの反省です。

 

1月は、とにかくトランプ米大統領の話に、多くの人の注目が非常に集まっていた時期でした。1月20日の大統領就任式にどんな演説を行うのか? 大統領に就任しても、トランプ節は変わらないのか…様々な考えが交錯していました。

 

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 そんな大統領就任式前に、なんと…!

フジテレビ「ユアタイム」の中で、ジャーナリストの木村太郎さん、モーリーロバートさんと鼎談させて頂くという非常に貴重な機会に恵まれたのです。

 

 お題は、トランプ大統領への期待と不安です。私は、お二人に比べたら(もちろんですが)政治や米メディア業界についの知見は非常に薄いです。

 なので経済目線でのトークを。一番の懸念は世界が減税合戦になることをお伝えしました。お二人からは、政治に関する的確なコメントがバシバシ出てきて、学びの多い時間になりました。

 

なかでも… ベタな質問ですが、木村太郎さんに、

 

「なんでトランプ大統領だって当てられたんですか?」

 

 と、質問を。そこで、木村さん、モーリーさんからpost truth時代の今だからこその、米メディアとの付き合い方のヒントをレクチャーして頂いたのです!!!!

 日本に住む私達からすると、米メディアは政治中立的でないと感じることは少なくないでしょう。実は、これにも理由があるのです!!

 

1984年に、米・連邦最高裁裁判所がある判決を下しています。メディアの多様性と、政治的に公平中立を義務つける報道スタイルはマッチしないと…

(私はジャーナリズムのプロではないので、気になる方はその道のプロのサイトを見るのをお勧めします)

 そこから、政治中立的な報道を必ずしもしなくてよくなったようです。日本に入ってくる米メディアが、圧倒的に反トランプ大統領だったことも、米大統領選挙結果を外す人が多かった背景にもあると思います。(私が書くと言い訳になりますね…(汗))

 

 では、中立的報道が義務つけられてない米メディアとどう付き合えば良いのでしょうか?木村さん、モーリーさんには、トランプ大統領支持メディアと、反トランプ大統領メディアをどちらも読むことを勧められました。

 

 でもですよ…反トランプ大統領といえば、CNN などが浮かびますが、トランプ大統領支持メディアってどこにあるんでしょ?ということで教えて頂いたのが、これです!!!

 

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 トランプ大統領側近の主席戦略官であり、米NSCメンバーのスティーブンバノン氏が経営していたブライトバードニュースです。上の写真はそのHPです。

http://www.breitbart.com/

 

  このメディア経営からスティーブンバノン氏は離れたと言っても、やはり注目に値するメディア。日米首脳会談記事にネガティヴな表現が少ないのも、とても重要なサインのように感じました。

 

激動の世の中だからこそ、どちらの考え方にも触れつつ経済分析に活かしたいと痛感した一日でした。

にしても、モーリーさんはもちろん、木村さんがとても気さくな方で驚きました❗❗

 

私「母に木村太郎さんと鼎談するんだーって言ったら、羨ましがってましたーー😆」

 

とお伝えしたところ、

 

木村さん「あーよかった。おばあちゃんに言ったらって言われたら歳を感じちゃうところだったよ。わはっははは!😄」

 

と。実は78歳の木村さん。返しも茶目っ気たっぷり!!

ということで分析の中身も、喋りの中身も更に精進したいと思ったのでした。

 

読んでくださりありがとうございます!

応援いつみありがとうございます😊

 

崔真淑/さいますみ

 

 

 

 

 

 

 

 

【東芝&のれん】2月20日BSJAPAN「日経モーニングプラス」~さいますみのマーケットラボ~のまとめ!

 みなさま、こんにちは。崔真淑/さいますみです。

 2月も終わりを迎えようとし、春のような穏やかな日も増えてきました。ただし、経済・マーケットは陽気さとはかけ離れた動きもチラホラ見せています。例えば、東芝を巡る環境は、穏やかさとは真反対の動きです。

 今回は、BSJAPAN「日経モーニングプラス」でも取り上げさせて頂いた、東芝から得られる投資家への教訓を考えていきます!

(毎週月曜日朝6:40からレギュラー出演しています!宜しくお願いします。)

 

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(制作:BSJAPAN「日経モーニングプラス」クルー陣。以下同様)

 

Qそもそも、東芝の件って何が起きたの?

 こちらは、2014年からの東芝株価チャートです。2015年7月に不適切会計が発覚。その後に役員の一新や、ガバナンスの在り方など改革が行わなれ、株価は浮上しています。しかし、昨年12月に米国原子力事業の数千億円規模の減損を発表。2月には、それに関して7125億円計上見込みを発表しています。

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そして、株価はまたも右肩下がりになりました。現在は、メモリー事業の過半数株売却を東芝が検討と伝わり、株価は少し戻りつつありますが…。

 不適切会計と大規模減損という二大危機が起きました。ただ、一度目の危機である、不適切会計発覚時に、二度目の危機のリスクを想定することは不可能だったのでしょうか? 

 

Q二度目の東芝危機≒米国原子力事業減損を想定する声はあったの?

 一部では、もう一度危機が起きても不思議でないねと噂は出ていました。というのも、一度目の東芝危機が終焉に向かいつつある時も「のれん」の話が話題に上っていたからです。

 ある企業の社外取締役で会計士の方とも、当時はこの話をよくしていました。「のれん」と「株主資本」のバランスが悪いことが話題でした。どういことでしょうか?

 M&Aによって、被買収企業の資産を買収企業側が受け入れるとき、特許など分離して譲渡可能な目に見えない資産が含まれる場合があります。この目に見えない資産には、「のれん」と「無形資産」が存在します。この中でも、「のれん」は曲者です。

 

Qなぜ「のれん」は曲者なの?

 一般的に被買収企業を買収した場合に、金銭的価値に上乗せして評価するプレミアム分を指します。一般的には、ブランドとも言われることもあります。

 しかし、それだけ割高に企業買収されても、投資回収の見込みがないとみなされた場合、減損が行われます。つまり、「のれん」という資産を減らし財務諸表に反映させるのです。ちなみに、会計基準別に減損する規定は違います。

 つまり、全く価値がないと判断されたら「のれん」は、100%近く減損されることもあります。それがきっかけで債務超過に転じる場合もあります。そんな、もしものリスクに備えるにはどうしたらよいでしょうか?それは、返済義務のない株主資本をのれん以上に乗せることです。つまり「のれん」<「株主資本」という財務状態を維持できているかということです。この点が、投資家が東芝から得るべき教訓ではないかと私は考えています。

 

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上記の図は、一度目の東芝危機の時の、財務状態(貸借対照表)の状態です。この時でも、「のれん」は「株主資本」以上ありました。突発的なことがおきたら債務超過リスクはあたわけなんですね。

 

Q「のれん」と「株主資本」のアンバランスから、大きな変化を迎えた企業は他にも?

 こうした、「のれん」と「株主資本」のアンバランスが原因で新株発行を行ったのではないかと投資家の間で噂されたのは電通です。イギリスのイージス買収の直後に「のれん」が急拡大。その後に新株を発行しており、株主資本増強に動いたのでは?と推測されています。

 

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 また、「のれん」を企業側が減損するタイミングも、諸説様々です。本来は、公正な減損テストを行ってされるのですが…。しかし、そもそも「のれん」の公正価値の定義すら非常に難しいのが現状です。

ファイナンス分野のエージェンシー理論に基づいた実証研究では、こんなことも報告されています。「のれん」の公正価値は経営者の将来行動に部分的にでも依存する。だからこそ公正価値を検証することはほぼ不可能であり、経営者のインセンティブによって「のれん」の減損は裁量的に行われることがある…と。

社長交代で「のれん」が一気に減損されるなんてことも少なくないですしね…。

「のれん」の扱い方と、そして社長交代時の「のれん」を巡るリスクは、投資家からすると備えて損はなさそうですね。

 

ということで、長い文章を読んで頂きありがとうございます!

応援ありがとうございます!

引き続きよろしくお願いします!

崔真淑/さいますみ

【金華山】2017年キーワードを経済環境と故郷愛を掛け合わせて考えてみた!

 みなさま、あけましておめでとうございます!

 おかげさまで、2016年は貴重な機会に恵まれ素敵な1年になりました。2017年も、みなさまの生活少しでも何か貢献ができるよう精進して参ります。

 

ということで、今回は2017年は何が重要テーマになってくるかを故郷愛を踏まえつつ(!?)考えてみたいと思います。

 

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 お正月は、実家の三重県桑名市に帰省しました。加えて母の実家であり、私の出生地でもある岐阜県岐阜市にも。

 写真は岐阜市のシンボル、織田信長公が造営した岐阜城のある金華山からの風景です。真ん中に通っているのは長良川です。この川を見ていたらふと思い出した言葉がありました。

 

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「水を治める者は国を治める」

 

中国春秋時代に国家方針として掲げられた言葉を思い出したのです。水害・干ばつは経済発展、社会秩序を妨げます。国を安定的に運営するには、水を治めることは必須と。

 

私が育った三重県、中高通っていた愛知県、出生地であり祖父母の住んでる岐阜県は、とにかく「水」に悩まされた地域です。この地域の小学校の教科書には、木曽三川の話は頻繁出てくると思います。

 

 なんて、昔のことを思い出しつつ、現代社会にとって溢れすぎても無さすぎて困るもの。しかも、ホットな物ってなんだろと、連想ゲームが頭の中で始まりました。そこで出てきたのが…

 

 

Post - Truth 

 

という、英オックスフォード出版社が選出した2016年重要キーワードです。これは、意訳すると「真実っぽい話」ということです。

 Brexit、トランプ次期大統領の誕生、キュレーションメディアのガバナンス、フェイクニュースの拡散…これまで信じられてきた客観的事実への信憑性が見えなくなってきたことを捉えた言葉です。

 つまり、現代版の水とは情報だなと。

 

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ありすぎて困る。でも無さすぎても権力の動きを捉えられない…ということです。まさに情報を治める者は国を治めるだなと。写真の織田信長公は、伊賀忍者を使った情報戦を得意にしてたとか。

 そして、この情報を巡って大きな動きがでそうな気配があります。それは、

 

情報銀行の設立

 

です。欧州では、購入履歴等の個人情報やデータを企業に紐付けるのでなく、個人に紐付けようとしています。いわゆるデータポータビリティの流れです。

 例えば、金融サービスアプリの個人情報がいつのまにかマーケティングで使われたり、購入履歴からメールがバンバンきたりってあるじゃないですか。

 

それに日本も一石投じて、更にはそうした情報を情報銀行で管理(!?)しようとする流れも。これは政府が運営するのか未知数ですが、あまりにも謎が多い…

まだ小さくしか報道されていませんが、これは2017年を捉える重要テーマになる気がしてなりません。

 ということで、引き続き情報だけでなく、そこから捉えらえる仮説、検証を発信していきます!

どうぞ、今年もよろしくお願い致します!

 

いつもありがとうございます!

 

崔真淑/Sai Masumi