NHKBS「経済フロントライン」出演を振り返る!働き方改革改革から考えてみた。働き手を守るのは国、企業、自分…誰なのか?
みなさま、こんばんは!
エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。あっという間に1月が終わり、2月中旬です。紅白を見ていたかと思ったら、オリンピックシーズンに突入です。
そして、2月の大イベントはオリンピックだけではないのです! プレミアムフライデー(以下 PF)発足から1年が経つ月でもあるんですね。 消費活性化だけでなく早帰りを促進して働き方を考える契機にして欲しいというのが、PFの狙いです。 賛否両論は多いですが、早帰りや働き方改革ついて世論を動かすきっかけになったし、自身はPFの意義は大きいと考えています。
実は、先日出演させて頂いたNHKBS「経済フロントライン」でも働き方改革についてコメントをさせて頂きました。国会で、働き方改革関連法案について時間外労働の上限規制等で激論が交わされていましたしね。今回は、働き方改革について番組出演から学んだことや、自身の思いを記していきます。
(野口さん、八木ちゃん と!)
*なぜ、これほど働き方改革に焦点が?
1月末から「 働き方改革」が法案審議されたこともあり、長時間労働の是正や、同一賃金同一労働を定めることの課題に番組内でクローズアップしていきました。世の中で、これほど働き方に焦点が集まるのは、主に下記の理由等があると自身は考えています。
・日本の生産性
(生産性を測る指標の定義は難しいですが、先進国の中では…改善のためには働き方の見直しは重要ですよね)
・長寿化と雇用スタイルのギャップ
(日本の企業で行われてきた働き方や勤め方は、平均寿命65歳時代に形が出来上がってきたものと自身は考えています。『ライフシフト』が出版されたこともあり人生100年時代への準備がマストになってますしね。終身雇用でない企業の増加も起きつつ。)
・経済格差の固定化
(特に非正規雇用の増加。一方で非正規が増えたのは技術革新が大きいのでは?という実施研究もあるんですがね…そうなると、同一賃金より雇用者への教育システムを変える必要があるような…)
上記の背景は、国が音頭を取る必要はもちろんあると思います。でも、働き方改革の浸透には、働き手にどう自立してほしいか、充実してほしいかを切に願う経営者次第なところも大きいと思うのです。
番組では、道の駅「萩しーまーと」専務理事 中澤さかなさん が大切にしている考え方が紹介されました。「近き者よろこび 遠き者きたる」という論語の言葉です。これは働き方改革において企業側がどう考えるかの重要度を示すキーワードではないでしょうか?というのも社員を悦ばせられない企業が、顧客を悦ばすことなんて難しいだろうなと。こうしたマインドが企業にあるかないかで、働き方改革の浸透度は企業で差がありそうですよね。
こんな事を書きながら、自身も身を引き締めなくてはと反省の日々ですが。。。ちなみに、取締役を務めるエイボン社でも、企業理念に自立を促すことを掲げていますし、副業についても積極的に議論がされており、エコノミスト目線だけでなく現場目線でも働き方改革と向き合い中の自身です。
ただ、企業マインドも重要ですが、働き方改革を通して働き手を守ってくれるのは、やはり国ありきでなく企業次第なのかというとそうとも言い切れません。というのも…
*雇用者を守るのは国、企業、労働組合?誰??
番組出演後に、そういえば…彼の方は雇用者の環境についてどのように考えているのだろうと思い開いた本があります。
ミルトンフリードマン&ローズフリードマン著「選択の自由 ~自立社会への挑戦~」
この中には、働き手を守るために政府が主体的に制定した法律や、働き手を守ってくれるだろう労働組合について、それだけでは働き手を守りきれないことを過去の出来事や実証研究を引用しつつ丁寧に説明されています。そして、そうした記載の最後には下記のような文章が記されています。
大半の労働者にとってもっとも頼りになえう有効な保護者は、多数の雇用者(雇用する企業)が存在している状況そのものだ。 〜〜 雇用者が労働者を守ってくれる場合があるとすれば、それはその労働者を雇いたいという雇用者が複数いる場合だ。 (第8章より)
国や労働組合、雇用者である企業が行動を起こすのはもちろん必要ですが、やはり働き方改革(特に早帰り)を利用して、自身のスキルアップや知見を広げるのはもちろんマストだよなーというのを改めて痛感しました。
ということで、自分自身のスキルアップの時間作りや機会を作ってくれる社会や企業や家族、とにかく関わっている人すべてに感謝しつつ、日々を大切に過ごしてブラッシュアップしていきたいです。さあ明日も精進じゃー!
(たまに休むけどね!
ということで長い文章を読んでくださりありがとうございます!
応援ありがとうございます!
引き続き何卒よろしくお願い致します!
崔真淑(さいますみ)
2018年初出張先「久留米市」を振り返る!今年は、「温故知新」の精神を忘れないよう精進します。
みなさま!こんばんは。
皆様の支えのおかげで、無事に年も越せました。2018年も引き続きよろしくお願い致します。新年第一回目の出張は、福岡県久留米市でした。市の職員の方々に向けて、今の経済の課題や考えられる対策等について講演をさせて頂きました。貴重な機会に感謝です!今回は、その講演での学びを振り返りつつ、自身の2018年の目標を記していきます。皆様の何かのヒントになれば幸いです。
*久留米市は、どんな地域なのか?
自身の久留米市のイメージは、とにかく有名人が多い!ということです。例えば、久留米市にご縁があられるだろう孫正義さん、ホリエモン、エコノミストの大先輩である安達誠司さん、芸能人では松田聖子さん、田中麗奈さん…とにかく有名人が多い!人口が30万人程の町で何が起きているんだ!という謎が、頭をぐるぐると巡っておりました。職員の方に、「なぜ?とを率直に伺ったところ…
「うーん!自由な意見を受け入れる風土があるからじゃないですかね!」
とのこと。野村総研の「国内100都市を対象にした成長可能性ランキング」 をみても、そうした雰囲気が伝わってきます。このランキングに久留米市はTOP10入りをしていますが、その理由は多様性を受け入れる風土があり、事業創出やイノベーションを生み出す風土があるからと!
実際、講演をさせて頂いて驚いたのは、質疑応答の時間に質問を沢山してくださったり、聴いてくださっている姿勢も前のめり!!うれしくて、こちらも熱が入る講演となりました。もちろん、この講演に参加してくれた久留米市職員の方々が、熱意のある方というサンプルバイアスはあると思います。でも、様々な場所で講演をさせていただくと、質問がない場合が多いんです。そういう意味でも、久留米市の風土を感じる90分間でした!
(久留米市総務部の皆様と控室にて!温かく迎えてくださったことに感謝です!)
ちなみに、久留米市は豚骨ラーメン発祥の地でもあります!帰りは、もちろんご当地ラーメンを!まろやかさと濃さが絶妙すぎて、スープをほぼ飲み干してしまいました(汗)写真を見ると、また食べたくなって口の中が…
(現地の方からも人気の来雷軒で頂きました!味も値段も最高!)
*その講演からの学びとは?
多様性を受け入れる風土がある久留米市での学び…。それは、「温故知新」の精神を忘れちゃいけないということかなと。というのも、多様性を受け入れ、イノベーションを起こすには、昔はよかった~あの頃は~なんていう暇はないはず。過去と現在の相違から新しい知見を得よう!という姿勢が重要と思うのです。
講演では、地方税の減収対策のためにEUの民間企業への取り組みや、企業と女性活躍の関連性等々、とにかく現在の課題をクリアするために過去との相違に着目する質問を多く頂きました。そういう方々が市の職員をされていることも、先ほどのランキング上位にある要因なのかもしれませんね。
*温故知新の精神で日常を過ごすために…
温故知新の精神を忘れずに、日常業務や研究活動を行う2018年にしたいです。そして、わーーこれぞ、温故知新だ!と感じる論文があったので、こちらも紹介しておきたいです。もちろん論文を書くこと自体がそもそも温故知新なのですが、すごくわかりやすくその雰囲気が漂っている論文なので紹介しています。これは、コーポレートファイナス分野研究(企業の財務活動の意思決定に関する研究)の論文です。
Lemmon, M. L., Roberts, M. R., and Zender, J. F., 2008, " Back to the Beginning: Persistence and the Cross-Section of Corporate Capital Structure", The
Journal of Finance, 63 (4), 1575–1608.
この論文では、企業の資本構成(財務レバレッジ等)には、どんな意思決定メカニズムが影響しているかを分析しています。もちろんそういう論文は多数存在しますし、そのメカニズムを説明するための既存理論も多数存在します。
しかし、この論文では過去に蓄積された既存理論での企業の資本個性からの説明力は23%程度しかないことをデータで示しています。更には、企業固定効果を加えると、その説明力は60%にまで跳ね上がることを明らかにしています。つまり、過去の既存理論に敬意を払いつつ、現代社会では既存理論から得られる説明力は実は限定的と批判したうえで、どうしたらそのメカニズムを更に解明できるかをパネルデータから示して新しい知見を世の中に提供しているのです。
既存理論以上に、企業固定効果と考えられる企業特有要因が財務活動の決定に重要な影響を及ぼしている可能性を示しているのです。じゃあ、企業特有要因って…?これは、自身の研究課題なので、進捗はまた後日♪
論文だけでなく、日常のメディアや情報源に対しても、敬意をはらいつつ、何がこの中では明示されていないのか、何が解決できていないのかという批判の精神を併せ持ち、自身には社会に対して何を貢献することができるのかを忘れずに今年も精進します!
2018年は、アウトプットによる社会や皆様への恩返しの年にしたいです。ということで、今年の目標は
①論文を2本書くぞ!
②本を1冊書くぞ!!!
③①のアウトプットを英語プレゼンで映像にする!
書いて書いて描いて喋る一年にして、社会に人に恩返しできよう精進や!
いつも応援ありがとうございます。
2018年も、皆様にとって更に素敵な一年になりますように!
崔真淑(さいますみ)
テレビ朝日「ビートたけしのテレビタックル」出演を振り返る!『コメント』術は『情報制限』術にあり!?
みなさま、こんばんは。
エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。
2017年年も、もうすぐ終わりですね。今年の出来事を振り返り中の自身です。
今回は、11月26日放送された テレビ朝日「ビートたけしのテレビタックル」~観光地トラブル&鳥獣被害で住民たちが大激怒!!ニッポン全国 巷の大問題SP~出演時を振り返りながら、反省を記していきます。
実は同番組は小学生の頃から見ている憧れの番組です。そこに出演させて頂ける機会を頂けたのも、皆様の支えのおかげです!いつもありがとうございます!皆様のビジネスや日常にも活かせる!?と思うような事柄を記していけたらと思います。
(同番組でトーク中の私です!写真は自身でテレビ画面をとったものです!)
*番組の雰囲気は?
視てくださった方から聞かれたのは、現場の雰囲気はどんな感じなの?ってことです。一言で表現すると「とても愛ある現場」と感じました。討論番組ではあるんですが、相手の意見を尊重し、頭越しに否定する人なんて皆無なんです!!更には、自身の拙いコメントを拾ってくれる愛ある方々ばかりで感動の嵐(涙)。ON AIRでも様々なところにコメントを使って頂き、本当に感謝感激です。
(同番組の風景。写真は自身でテレビ画面をとったものです!)
コメンテーター陣は、東国原英夫さん、松本文明(衆議院議員)さん、溝畑宏(元観光庁長官)さん、佐藤治彦(経済評論家)、山内弘隆(一橋大学大学院 教授)さん、杉江 弘(元日本航空 機長)さん、梅澤千禾夫(JA木更津市 代表理事組合長)さんと、著名な方々!本当の有識者の方々は、頭ごなしに否定なんてしないんですね…
そして、ビートたけしさんのオーラはもちろんですが、旬な経済・政治話も交えながら笑いを起こし、場の空気や話題を転換する様は、本当に驚愕でした…。そこに、阿川さん、大竹さん、東国原さんが入ることで、雰囲気のトルネードが起きているような…。難解そうなテーマ設定でも、一気に視聴者の方々が聴きたくなるトルネードが起きるんです。出演陣はもちろん、番組制作者の方々から沢山の学びを頂く機会でした。
(あ、もちろん、天空人である皆様について、こんな風に私が書かせてもらっているのも、申し訳ないぐらいです(><))
*アウトプットで心掛けるべきことは?
次に、視聴者の方からよく聞かれたのは、「コメントって、どう考えてトークしているの?コツあるの?」という質問です。超ベテランコメンテーターの方々が様々な場所でご活躍されるなかで、私がこの問いに答えるのも恐縮ですが…。あえてコツがあるとすれば、
「情報制限」
と、私は考えています。え?どういうこと?って感じる人は少なく無いと思います。コメント準備のためにも、必死にインプットするんじゃないの?なぜ、情報制限なの?…と。
それは、突然の変化に対応するために情報収集より、テーマに関する自分流の因果論(事象のメカニズム)構築が重要と考えるからです。つまり、情報収集より、情報を制限して「なぜ、そのような事象がおきているか?」について考える時間を作ろうぜ!ということです。
*日常でも、情報制限が重要な理由。
事前に番組のテーマは、もちろん伺ってます。でも、場の雰囲気で想定外の内容にトークが流れたり、構成が180度変わることがあるんです。知識や情報を単にインプットしていては、まーーーったく役に立ちません。
これは、テレビやラジオだけではありません。講演やビジネスプレゼンもそうです。想定していた講演先のお客様が想定外の層だったり、プレゼン相手のお客様が全く違うニーズがある場合…。とっさに場の雰囲気をみてトーク内容を変更する必要性は日常でも多々ありますよね。
でも、自分なりの目の前の事象に関する因果論を持っておけば、自ずとわかりやすくトークもできるし(←もちろん、私はまだまだ×100です…)、少々の想定外のことが起きても対応できることがあるんです。とはいえ、精進不足の自身ですので、上記のことが出来ているかといえば…。修行の日々は続いております…。
もちろん、上記の内容だけしてても、その場において的確なコメントができるわけではないですが…
*なぜ、情報制限の重要と感じたのか?
この考えに至ったのは、 皆様のおかげで様々な現場で経験を積ませて頂いたのと、恩師が教えてくれた言葉があるからです。その言葉とは、「情報の豊かさは、注意の貧困を生み出す」です。
これは、人工知能の専門家であり、ノーベル経済学賞者のハーバート・サイモン氏は、下記の論文で記した言葉です。
"Designing Organizations for an Information-Rich World" in: Martin Greenberger, Computers, Communication, and the Public Interest, Baltimore. MD (1971)”
この論文では(ざっくりとみた限りですが)、情報洪水状態の世界で、組織はどのような制度設計を行うべきかが書かれています。沢山の情報を入手し、それを保存するわけです。しかし、その凝縮された情報を、うまく引っ張れる制度・仕組みがないと組織運営に活かせないわけです。それをするには、何が課題かが記載されています。
ただ、情報は何のために必要かといえば、何かしらのアウトプットの糧にするためです。そのためには、思考というプロセスが必要になります。では、思考ってなんだ!というのが論文の冒頭に記載されており、そこに上記の名言があります。
人間の情報処理能力なんてほぼ決まっているのに、情報ばっかり入手しても昇華できないでしょと…。いやー、改めてみると、身につまされる思いです。
情報制限も行き過ぎると空っぽになりますが、制限制限と思考の塩梅を今日も考え中の自身です。みなさまのおかげで、学びの多い2017年になりました。
引き続き精進して参りますので、どうか2018年も引き続きお願い致します!
(今日は、タケ小山さんがメインMCを務める文化放送「The News Masters TOKYO」の年内最後の出演でした!共演者、そして公開生放送に来てくださったリスナーの方々と!みなさま、ありがとうございます~!)
いつも応援ありがとうございます!
良いお年を~!
崔真淑(さいますみ)
なぜ株高でも、日本人の株式保有比率は上がらないのか?〜日経WOMAN×日経FinTech「お金と私をアップデート2017Autumn」登壇を振り替える!
みなさま、こんばんは。
エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。9ー10月に動き回りすぎたおかげか、少々疲労感が拭えてない自身でございます(汗) 11月は、休むも仕事とばかりに小休憩も取りつつ、精進していきます!
先日、題名にあります素敵なイベントに登壇させて頂く機会を頂きました。人生100年時代を生き抜くための、お金にまつわる制度、知見、視点をアップデートしよう!というものです。貴重な機会に感謝です。
*株高でも日本人は◯◯◯が一番好き!?
今回は、そのイベント登壇を振り返りつつ、俗に日本人は投資が苦手な国民!お金が好きじゃない国民!なんて言われてる背景を精査します。
特に、この超株高にも関わらず、更には年金制度も不透明感がある中で、金融資産の株式保有に焦点をあてます。保有比率が低いのは、国民性だけなのでしょうか?
どうやら、日本人が大好きな◯◯◯が、株式保有比率に影響があるようです。親世代が子供世代にやたら勧める◯◯◯です…。
では、人生100年時代にむけて、資産形成のヒントを記していきますね!
(イベントでご一緒させて頂いた、きんゆう女子。の 鈴木万梨子さんと!)
*お金は大事だよね〜!
登壇させて頂いたトークセッションは、お金と私をアップデート 2017 Autumn|日経WOMAN/日経FinTech主催イベント。の、「夢とお金のリアル ~ホントのおサイフ事情~」というドキッとするものです。
会場の皆様が、スマホでアンケートに答えてくださると、結果が目の前のスライドにリアルタイムに表示されるという仕掛けも非常に興味深かったです。なかでも、リアルな貯金事情の結果は、衝撃の結果… これは会場の方だけの秘密ってことで(汗)
(モデレーターは日経FinTech編集長の原隆さん!ナイスなツッコミをしてくださったおかげで会場は爆笑に!)
そして、リアルな投資事情も会場のみなさまに伺いました。なんと、半数が既に投資を始めており、投資信託や株式が多いとの結果。イベントの趣旨を考えるとセレクションバイアスはあるでしょうが、すごい結果!!
では日本人の平均的な傾向は…??
下記を見てもわかるよう、米国と比較して日本人の平均的な株式保有比率は非常に低い!もちろん、米国では確定拠出年金の加入スタイルが日本と違うことから若い時から株式投資は馴染みがあるのも影響しているでしょう。
(出所 日本銀行 日米家計のリスク資産保有に関する論点整理 2016年2月)
上記のデータは、2013年のアベノミクスが始まり、日本の株式市場が好調な流れである2015年時点のデータ。米国比較の保有比率はもちろん、時系列でみてもあまり増えてない(涙)
これだけ先行きが見えにくく、終身雇用も大企業の一部業種正社員以外はほぼ崩壊(?)な状況で、お金にも働いてもらうのは必須なはずなのに…。
そのためにNISAも401kも政府も用意しているのに…。なぜだ!日本特有の株式投資や金融資産による資産形成を邪魔する要因があっても不思議でないはず。
*年齢と株式保有比率は関係ない?
まあ、こんな話を書くと、投資するお金がないからだ!年配の人ほどお金と時間に余裕があるから若いうちは無理!歳になったらするよ!
等々、聞こえてきそうです。でも、これ本当でしょうか?下記の研究をみると、衝撃の結果が…
Ameriks, John and Zeldes, Stephen P.(2004), “How Do Household Portfolio Shares Vary With Age?” Working Paper.
これは、米国のデータをもとに株式保有比率と年齢の関係をみたものです。なんと、株式を保有している家計だけを見てみると、年齢が高くなるにつれて、明確に株式保有比率が上昇するような関係は見られてなかったのです!!
更には、全体で見た場合も、株式保有比率と年齢の関係を考えるならば、そもそも株式を保有するか否かの意思決定によって説明できるという結果に…。
つまり、若いうちでも、微々たる資産であっても株式投資する人はするし、歳を重ねたからってするものでもないしという結果なんですね…。
言い訳ってこわい…。
*日本人の資産形成のクセ(傾向)から読み解けることは?
さて、では日本人の自分年金作りにの手助けにもなってくれるだろう(もちろん価値観次第なところもある)株式投資が増えない理由は何があるんでしょ…。
冒頭でも記載した、◯◯◯=不動産が大きく影響しているようです。こちらについては、下記の本で実証研究が明快にまとめられています。
(もちろんリテラシーや文化もあるでしょうが、ここでは資産形成の傾向にフォーカスしてます)
一橋大学大学院教授 祝迫得夫氏 「家計・企業の金融行動と日本」日本経済新聞出版社 http://amzn.to/2AppoGM
この本では、日本の持家思考が非常に強力であることが指摘されてます。1980年代の年間所得に対する持家価格比率は、米国3.2で、日本は7.4との結果…。
もちろんバブル崩壊で前後はしているでしょう。しかし、不動産証券化市場も未発達で流動性も低く、これまでの歴史を振り返ると、日本での不動産保有は資産形成全体に大きく影響してて不思議でないでしょう。
詳細な内容は、是非とも本に目を通して欲しいのですが、こんな傾向がみられるようです。平易な言葉で、研究結果を(あくまで自身が重要と考える箇所)まとめると…
対象データから見られるのは、日本の住宅価格は平均所得水準に対して(他国と比較すると)高い。更には、購入時に相当の頭金を相当用意する必要がある。そしてローン支払いもかさむ。
結果、住宅を購入または考えている世帯(特に若い世帯)は、金融資産を主に安全資産で保有することになる。したがって、不動産保有者の株式需要は、非保有世帯に比べると、どの程度裕福かにかなり影響を受けやすい…。平均的な日本の世帯の総資産の不動産保有比率は高いので、賃貸住宅市場における法規制、金融資産よりも不動産に対してより有利な税制といった問題に関する制度上の変更は、住宅保有だけでなく、株式等の金融資産保有にも大きく影響を与える可能性がある
つまり、日本人に自分年金作りを促すには、金融税制や仕組みだけでなく、一緒に不動産資産形成に関するリテラシーや啓蒙、税制改革が必要なようです。
自身は、持家や新築に拘りはないです。とはいえ、様々な方が持家ないとあかんで!と強烈に推奨してくださって、意思決定が変化しそうに感じることも。
上記の、株式と不動産保有の日本独自の傾向を踏まえると、本当に新築持家が自身にベストかも含めて、人生100年時代設計をしたいですね!
ながーい文章をよんでくださり、ありがとうございます!
明日も精進だ!応援いつもありがとうございます!
崔真淑(さいますみ)
企業の最適役員構成ってなんだろう?〜企業不祥事とコーポレートガバナンス〜
みなさま、こんばんは。
エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。9-10月に渡り、将来の方向性を意識するようなことが立て続けに起きました。
更に精進すべき事案がでてきたのですが…それを言い訳にブログをお休み中でした(汗) 改めてブログからも発信していきますので、何卒引き続き宜しくお願い致します!
今回は何かと話題の企業不祥事について、出演番組を振り返りながら、ずバーーーっと斬っていきます!
*企業不祥事でも、株価上昇の神戸製鋼所
国内の資本市場では、企業不祥事が何かと話題になっています。特に、神戸製鋼所の製品データ改ざん問題は、ニュースを見る限り根深いようです。気になるのは、同社株価は急騰していることです。
考えられる理由は、納入先企業へのリコール費用が見えてきたこと、目先の最悪ケースを逃れるために各メガバンクが社債償還用に500億円の融資を決めたことが影響しているでしょう。
懸念事項もどの程度の懸念かが見えると、悪材料折り込みとばかりに、株価がむしろ上昇する事も少なくないですしね…。
とはいえ!!!不祥事を未然に防ぐためにも企業統治=コーポレートガバナンスの在り方が変わらない限り、株価も企業価値の本格的復活は難しいのではと、自身は考えるのです。
(番組後に伊藤教授と一緒に!)
*なぜ、コーポレートガバナンス は重要なのか?
なぜ、コーポレートガバナンスの課題解決が必要なのでしょうか?株式会社という仕組みは、経営と所有(≒株主)を分離させたことで、ビジネス環境を発展させました。
しかし、経営陣が株主が見ていないところで、経営陣利益を優先して株主利益を損なわさせる(=モラルハザード)が起きるリスクも顕在化したわけです。経営陣を監視するためのコーポレートガバナンスが必要になったんですね。
神戸製鋼 製品の検査データ改ざん 複数の役員が黙認 | NHKニュースを見ると、神戸製鋼所の経営陣である、役員の一部は不正を知っていたことが報道されています。もしも経営陣の不正隠蔽インセンティブを削ぐような仕組みや、監視体制等…つまり確りとしたコーポレートガバナンスを作りあげることができていたら、神戸製鋼所の不祥事は、もう少し小さく済んでいた可能性もあったのかな…と自身は思うのです。
画像はWikipedia より
*なぜ、企業不祥事は起きてしまうのか?
そんなコーポレートガバナンスの視点から、下記について、出演させて頂いているレギュラー番組でフォーカスしました!
①なぜ、企業不祥事が起きるのか?
②経営陣監視体制としての、最適な役員構成とは?
日経CNBC昼エクスプレス〜崔真淑のサイ視点〜で、コーポレートガバナンス研究の専門家でもある、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 伊藤彰敏教授をゲストにお招きして、解説して頂きました。
(番組で解説をしてくださっている伊藤教授。写真は日経CNBCのtwitterより!)
まず①についてですが、なるほどなぁというものでした。伊藤教授曰く…
そもそも、こうした不祥事の背景には、特に神戸製鋼の場合など、深刻な業績の低迷があると思います。本来、業績が低迷している時だからこそ、不正行為が社内に蔓延しないようにトップが目を光らす必要があり、そう意味でやはりガバナンスの問題につながります。
不正の温床を生み出しかねない業績低迷を打破できない場合、トップ経営者の交代も含む強い圧力が投資家サイドや他のステークホルダーからかかる仕組みが必要となる、ここにガバナンスの究極の目的があると思います。
こうした、不祥事の話がでると、一足飛びにコーポレートガバナンスの話になりがちです。でも、儲かっている企業には、不祥事に手を染めるインセンティブは働きにくいはずですよね。
生産性の低下や、業績低迷を打破したいという気持ちが、歪んだ形ででるのが企業不祥事とも言えるでしょう。
米国のエンロン事件も、同様ですよね。米国の場合は(上場企業において)過半数を社外取締役(≒経営陣株主の視点で監視する取締役)にすることで、ガチガチに経営陣を監視する体制がとられています。
一方で、日本は英国スタイルの経営陣監視体制がとられています。最適な役員構成は、企業で違うでしょ!だから、まずは最低でも社外取締役は2名。置かない場合は、説明してね!という、企業に選択を委ねる形です。
個人的には、企業不祥事を起こした企業は、役員構成に関して米国のような強制的な仕組みを導入を検討しても良いのかなと…。実際、東芝はプロパー役員は3名だけで、過半数は社外取締役という構成に変わりました。
*最適な役員構成とは?
そうした企業不祥事を未然に防ぐには、経営陣を監視する仕組みが必要です。そのために、株主利益の視点から監視する、社外取締役が存在するわけです。
一方で、社内からのプロパー役員の比率については、 コーポレートガバナンス確立のためにも、どのような視点があるのでしょうか?こちらも伊藤教授曰く…
研究成果としてコンセンサスを得ているのは、取締役会の規模が大きくなると、企業業績に悪影響を及ぼすということです。我々の日常的な経験からも、人数が多すぎると、会議で生産的な議論をしたり意思決定したりできませんよね。日本企業では、一昔前は、取締役とは出世のゴールポジションの一つでもあり、非常に取締役数が多かったのです。
最近では取締役の人数は随分と減ったと思います。投資家サイドの目線で見て、大規模な取締役会=経営者への監視機能が機能しない、という捉え方を企業の側も受け入れざるを得なかったからだと思います。しかし社外取締役の数や比率は、2015年にガバナンス・コードが適用されるまで、一部の企業を除き、本当に増えなかったですね。
たしかに、身の回りをみても、人数が多すぎたり、その場の息が掛かりすぎた人が多すぎると活発な議論ができないことは少なくないですよね(汗)
実際、この学術研究が当てはまるのかは検証が必要でしょうが、神戸製鋼所は役員人数が会社の規模にしては非常に多い印象があります。16人…。。
その他、学術研究では社外取締役が機能するのは、企業タイプによっても違うという報告があります。
下記の論文では、特殊な知識が必要となるだろう、研究開発費や無形資産が過多な企業ほど、外部から来る社外取締役の経営陣監視機能が難しくなること指摘しています。
Fama, E., and Jensen, M., 1983, "Separation of ownership and control" Journal of Law and Economics
以上を踏まえると、コーポレートガバナンスの課題解決は、時代、国、企業タイプによって答えも違うようです。だからこそ、現状の制度に満足することなく、学術の視点からもブラッシュアップが必要なんでしょうね…。
ちなみに、ガバナンス先進国と言われる米国でも、金融システムや投資銀行の在り方という変化を通して、絶え間無く変化してるんですよね。この辺りは、また次回以降に!
ながーい文章を読んでくださって、ありがとうございます!
一刻も早く、神戸製鋼所の株主の方々が安心できるマーケット環境になればと思います。
応援いつもありがとうございます!
引き続き、全力で精進していきます!
崔真淑/さいますみ
芥川賞作家 高橋三千綱先生に新聞連載記事で"崔真淑"推しを頂きました!人間関係のコツは愛よりも、愛しすぎないことにあり!?
みなさま、こんばんは。
エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。
久々にゆっくりと一日を過ごさせて頂きました。そんな中、とても嬉しいことがありました。これも、皆様のおかげということで、感謝の気持ちを書かせて頂きます。
*どんな喜び事があったかというと…
題名にもあります、芥川賞作家で恋愛小説から経済小説まで幅広くご活躍されている、高橋三千綱先生が、ご自身の連載先で"崔真淑(さいますみ)"を推してくださってたのです。しかも、この記事は2年以上前で(今もまだまだですが)、今より更に精進不足な頃の私をテレビで見てとのことだったのです。
高橋先生は小説はもちろん、映画の世界でも著名な方。小説「天使を誘惑」は、山口百恵さんと三浦友和さんが主演を務められ、映画化されました。
そんな著名な方が、2年以上前に自身を興味深く見てくださってたと思うと本当に嬉しいです。高橋先生、ありがとうございます!
そして、なぜに、2年前以上前に書かれた記事に出会えたかというと…
(こちらが高橋先生が2年前に書いてくださった新聞連載記事。東スポさんです!)
*ご縁のきっかけはタケ小山さん!
自身が毎週金曜レギュラーを務める、文化放送「The News Masters TOKYO」でご一緒させて頂いている、メインパーソナリティーのタケ小山さん(=タケさん!)が、上記のご縁を運んでくれたのです!
(番組でご一緒のタケさん、おびちゃんと!!)
実は、高橋先生とタケさんは数十年来の仲。タケさんが、駆け出しの頃からの付き合いとか!そこでヒョンなことから、私の話を出して頂いてくださったとか。
そんな経緯から、高橋先生と崔の初顔合わせの場を、タケさんがセットしてくれたのです。そこで、上述記事の存在にも出会えたというわけです。タケさん、ありがとうございます!
(高橋先生、タケさんと!高橋先生、、どの写真も目がつぶっていたんです。この写真で申し訳ないです😅)
*人間関係のコツも伝授して頂きました
その時に、高橋先生著「こんな女と暮らしてみたい」という素敵なタイトルの本を頂きました!しかもメッセージ付き!
こちらの本は、恋愛が軸にはなってはいるものの、人間関係全般に活かせる話ばかりです。
愛は重要だ!相手への思いやりが重要だ!という言葉を、恋愛でも、プライベートでも、仕事でも、聞く事少なくないですよね?
そんな時に、またかーとか、偽善的とか、うんざりすることってありませんか?私は、ありますよ(笑)。 相手を思って、やったことが裏目に出たり、なんか思いすぎて損した!とか…それは仕事でも沢山あります。不器用な自分に辟易とする言葉ばかり。
高橋先生のメッセージは、「(この本は)愛されるヒント でも、あまり愛しすぎないように」と書かれていて、自分がどんなところで不器用に陥るのか、スッキリした感じがしたわけです。
(ちなみに、これは恋愛だけでどうのこうのあるとかの話でなくて、仕事や生活の中全体の話ですよ。誤解なきように😅)
*人間関係のスタンスを考えてみる
愛は大事だけど、愛しすぎると、親しき仲にも礼儀ありの精神も忘れて、自分だけでなく家族やいろんな人との摩擦になるのかもしれません。
愛しすぎない…新鮮な言葉です。
とはいえ、この摩擦が怖くて怖くて、人間関係は出来れば腹4分ぐらいをベースにしていた自身です。無様なところを見せて、嫌われるのが怖いのもあったり、何を相手が求めているのかを考えすぎて疲れたりすることがあるからかな😅
しかし!この本を基に、人間関係は腹6分ぐらいまで親睦を深められるよう行動してみようかなと思いました。
*ウーマンエコノミストとしての悩み
経済学の一部の実証研究でも報告されていますが、女子校出身者と共学出身者のキャリア志向度合いに有意な差があるのは、よく言われる話。
それは男性の目を意識して、キャリア志向を断念するケースもあるとか。つまり女子校出身者の方が、キャリア志向が多いことが、報告されています。
私は、中高と女子校ですが、社会に出て男性の目を気にすることは、ままあります。(たぶん三枚目すぎて、まったく意識してないやろ!と思う方もいると多いいでしょうが、たまには気になるのですね(汗))
どんなことでといえば…
あくまで生活全般での話ですが…、、番組で成果があった話や、仕事でいいことがあった話とかを、(その仕事に関係しない)男性に言ったら嫌がられるだろうなぁとか、引くだろなー、悪口言われたら嫌だなー、とか気になるんですね。図々しいようで、意外とガラスのハート…。
でも、どこまでなら言っていいのか、どこまでなら腹を割れるのかを、試し打ちしながら人間関係を深めていくって、楽しめるのかも!と、この本で感じました。ご縁に感謝です!
ということで、まだまだ精進不足の私ですし、経済ヲタクな自身を応援してくださる皆様、応援いつもありがとうございます!
明日も前に向かっていくぞーー!
秋の夜長なブログでした〜。
崔真淑(さいますみ)
さあ、人間関係の構築を楽しむぞ!
日経CNBC "崔真淑のサイ視点"を振り返る!ここが変だよ国内株式市場!スモール時価総額上場企業の悩みをファイナンス視点で解決する方法を考えてみた!
みなさま、こんばんは。
東京での生放送を終えて、名古屋からの新幹線な私です。いやー!移動って、アイデアを練るのに最適ですね。 今回、皆様にお伝えしたいのは、国内株式市場の課題と解決策についてです。
自身の研究分野はコーポレートガバナンスと、それによる企業の資金調達への影響です。研究で、今のガバナンスコードって、日本の株式市場の発展のためにブラッシュUPする余地があるんじゃないかなーと考える場面が多々あったんです。
その課題意識を、あ!やっぱりそうか!と確信を持つきっかけが、日経CNBC「昼エクスプレス」コーナー"崔真淑のサイ視点"の出演して頂いた、エー・ディー・ワークス CFO 細谷さんの解説でした。ライツイシューを発行したことでも、話題に同社です!
番組でのお話を、私の課題意識と一緒に記していきます!
(同社のファイナンス手法の意義と狙いについて伺いました!)
*ここが特殊だよ、日本の株式市場!
まずは、日本の株式市場の特殊性についてお伝えしますと…。(あくまで私の考えですが)制度では、監査等委員会設置会社やら、ガバナンスコードと会社法の矛盾?等々。
更には、時価総額の構成も特殊です。アメリカでは、最低でも時価総額300億円規模がないと上場は難しいです。しかし、日本では時価総額100億円未満企業が多く存在します。下記は、8月末時点の時価総額100億円以下の企業群の抜粋です。なんと1218社も存在するのです!これは国内上場企業の約3分の1近い数字です。
日本の株式市場の発展をイノベーションに結び付けるには、大企業ありきの制度ばかりを適用していてはナンセンスなわけです。もちろん、そのためにマザーズが存在するのですが、東証一部、二部にも時価総額100億円未満企業が多く存在しています…
(時価総額100億円企業の抜粋!東証一部、二部企業も点在…)
では、そのスモール時価総額企業が直面するだろう課題はなんでしょうか?ずばり、株式市場での資金調達=ファイナスです。
理由は、2つあります。1つ目は、資金調達金額の限界です。公募増資をするにしても、常識的には時価総額の10%です。多くて20%程度です。(話題になった出光興産の30%の公募増資は、物議を醸して当然なのです。)
株式市場で資金を調達するということは、負債とちがって返済義務がないからこそ、長期で大きなプロジェクトに投資するのにうってつけです。だから、できれば大きな金額を株式市場で調達したい…。ところが、どんなに業績がよくても認知度が小さいことや、流動性がないことから時価総額が小さい企業では、資金調達金額に限界があるんですね。例えば、時価総額10億円の企業が、10%調達したところで…。。
2つ目は、そんな小さな規模しか資金調達できないのに、証券会社が引き受けてくれるでしょうか?(公募増資の際は、証券会社のサポートが必要です) 手数料が微々たるものなのに、証券会社側の手間ばかりかかる可能性も。
あるVCの方が、日本は先進国で最もIPOしやすい!なんて仰ってました。しかし、スモールIPOをしたところで、投資家からの資本コストを上回るようなリターンをあげよというプレッシャーばかりで、株式市場での資金調達というメリットはうけにくいかもしれませんね。もちろん、その他にもメリットは沢山あるんでしょうが…
*スモール時価総額企業のファイナンス策としての、ライツイシュー
では、上記のような課題を解決するためにどうしたらよいのでしょうか?今日のゲストで来ていただいたCFOの細谷さんのお話にもありましたが、ライツイシューは非常に有効な策の一つだと感じました。
このライツイシュー(注 ノンコミットメント型のみ)だと、証券会社の存在なくして資金調達をすることが可能です。上記ブログにも記載したように、既存株主の懐にも優しいです。実際、一時期は多くのスモール時価総額企業が実施しました。しかし、制度的に既存株主に資金調達を実質的には強制させることも可能となり、債務超過企業に偏るなどの動きが起きてしまいました…。
*ライツイシューの問題点は何か?それは強圧性!?
既存株主には、現状の株価よりも低い水準での権利行使価格が付与された新株予約権が無料で付与されます。しかし、あまりにもディスカウントされた株価が付与した権利が回ってきたらどうしましょう?
ディープディスカウントされた新株が大量に出回れば、増資終了後は株価は平均的には下落が予想されます。100円で出回っている株価に対して、新株が20円なら、増資後は平均60円程になっていても、不思議でないです。
つまり、行使価格があまりにディスカウントされたら、それは既存株式に強制的に権利行使≒資金調達に賛同させる≒強圧性(アカデミックな分野で言われている言葉です)が起きかねないのです。
ただでさえ、資金調達がしにくい債務超過会社にとっては、強圧性を用いてライツイシューを発行するインセンティブが働きやすかったのかもしれません。この現象は、日本だけでなく、欧米でも確認されています。
そんな強圧性を排除して、挑んだライツイシューが、エー・ディー・ワークス。行使価格をライツオイシュー実施を発表した株価39円と、同額に設定したんですね。行使価格を行うには、株価がこの水準より上昇しなくては、誰も行使しないでしょうよ。。しかし、ライツイシューを発表した後には、乱高下はしたものの、株価は40円台をキープ。同社は、目安としている資金調達額は達成できるのか、研究トピックとしても非常に関心があります。
(放送後にパチリ)
今後も、様々な事象をファイナス視点でにブログに記載していきます。
研究も仕事も全力精進だ!
応援ありがとうございます!
崔真淑(さいますみ)