”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

芥川賞作家高橋三千綱先生 新刊「作家がガンになって試みたこと」記念講演会での学び!~自分の好き嫌いを信頼できる自分でありたい~

 みなさま、こんにちは。

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 暑い日が続きますね。こんな暑い日が続くなかで、西日本豪雨で被災された方々が困難な状況が続いていることに胸が詰まります。自身も義援金という形で支援させて頂けたらと思います。

 今回も、日々の学を記載していきます。題名にあるように高橋三千綱先生の新刊「作家がガンになって試みたこと」記念講演会&会食に参加させて頂きました。実は、身内が入院するようなことがあり、医療に対して非常に強い関心がある中でのタイムリーなイベントとなりました。講演会後の皆様との会食、お店の方からも貴重な学びを頂きました。

 


*世の中でもてはやされる健康&医療方法について感じていたこと

 常々感じていたのは、万人に絶対に効く治療法なんてないよねってこと。更には、巷で有識者が伝えている健康法や医療方法も、元論文を当たってみるとサンプルセレクションや統計方法に!?!?が少なくないということ…。

 そして、最新の医療方法を試すよりも、日々の生活のなかで自分の身体と正直にまじめに向き合うことが如何に重要かということを痛感していたのです。そう感じるようになったのは、仕事と研究活動の両立に、心と身体がバラバラになることが増えたからです。今は、自分が食べたいと思う物を手作りで、そして大切に食べる、寝たいときは寝る、身体を動かす…という当然のことを日々心掛けています。誰よりも、自分の身体は自分が一番把握できるようにしておきたいから。なので、大病したとしても、自分の中では、巷で言われている医療を素直に言うことをきくというより、○○したいというのはうっすらと考えています。

 こんなことを書くと、「君は研究者を志しているのに非科学的だぁ!専門家の言うことをきかんか!」と、怒り出す人もでてくるかもしれません。でもね、「研究者を志すからこそ、研究で解明できることは本当にちょっぴりだと知ったんだよ。だから、謙虚に有識者のいうことは聞きつつも、自分と向き合うことを忘れちゃいけないのさ」と強く思うのです。と、そんなことを思っていたら…

(注)ちなみに、社会科学の論文ではその事象の因果関係の20%ぐらいわかればいい方。日々の生活では、それ以外の80%と向き合う気持ちを忘れちゃいけないと常に感じるのです。

 

*高橋先生の講演会からの学び

 

 高橋先生は講演会の中で、自分の感覚に素直になること、自分の「好き嫌い」に耳を向けること、そして万病のもとであるストレスをどう扱うのか…。金言が満載でした。自身が上記で考えてたような内容は、あながち間違ってないのかなと少し自信を貰いました。

 著書では、高橋先生は肝硬変、食道がん胃がん、糖尿病との奮闘記が記載されています。絶対にガンをきらない!と、お医者さんと口論になったことや、そう考えた背景が記載されています。その後、先生はお酒も楽しめるほどに良好になり、写真にあるように、会食をご一緒させていただきました。

 研究者視点では、あくまで高橋先生という一件のサンプルで、すべての人が同じようにすれば良いとは思いません。そこではなく、「客観的」に裏付けられていると巷で言われているデータや治療法も、それほど頑健性が担保されていないのかもと常に疑う目線、そして、自分の好き嫌いや自分の身体の反応はこうだ!と自信をもって言える「自分が信頼できる主観」を持ちたいと強く思ったのです。

  と、そんなことを感じていたら、ある決断をするに至りました。その話は、また後日。うん。自分の好き嫌いという主観を信頼できる自分でいれるよう、今日も精進だー!

 

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講演での高橋先生!芥川賞受賞時のタキシードでびしっと!

 

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医療の話はもちろん、自分が信頼できる「好き嫌い」方法や金言満載!

 

貴重な機会をくださった高橋先生、そしていつもお世話になっている皆様に感謝です!

引き続き応援よろしくお願いいたします!

 

崔真淑(さいますみ)

 

 

 

 


 

 

 

NHK大阪「かんさい元気印 ”美”の底力スペシャル」出演を振り返る!~「美」に価値がつくメカニズムについて考えてみた~

 みなさま、こんばんは!

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。もう6月ですね!今年1月に立てたマイマニフェストを実行すべく行動中の自身ですが、なかなか進まず四苦八苦しています。4月から博士後期課程に入学したのですが、研究活動のバランスの取り方に苦戦しています。本当に自身は無知だし、勉強も根性も足りないと痛感する日々です。しかし、皆様の支え、寛容なお師匠さん、そして仕事関係者の方々の応援のおかげで、前向きに日々精進させて頂いてます。

 

*全てのプロダクツには「やさしさ」が根底にある

 今回は、そんな仕事関係者の方々から得た学びを記していきます。5月25日、6月2日に放映されたNHK「かんさい元気印 ”美”の底力スペシシャル」に出演させて頂きました。関西が誇る「美」の資源についてVTRやトークを交えて、その可能性について探るという内容です。学生時代を神戸市で過ごした自身としては、関西レジェンドのスタジオゲストの方々と共演させて頂けたことや、まだまだ知らない関西の魅力を知る機会になり本当に貴重な機会になりました!感謝です。

 特に印象的だったのが、関西の顔でもある「なるみさん」の一言。関西の「美」にまつわる資源、それを継承する仕組み等々のVTR放映後に”やさしさ”が根底にあるんやね」と仰ってたんですね。番組では歴史的建造物、商品、継承の仕組み等が紹介されており、それら全てに共通するのは誰かの悩みや課題を解決したいという思いがあったんです。詳しくは、放送を見た方に聴いてみてください!

 

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(番組ポスターです!自身も登場させて頂けて、本当にすごーく嬉しいです!貴重な機会に感謝です!)

 

 

*なぜ「美」に感動するのか?

 そして、エコノミストとして番組中に感じたのは、「そもそも、なんで美しい物に人間は感動するのか?」ということです。この問いに対する答えは、脳科学や哲学、いろんなアプローチ方法があると思います。経済学的に考えるならば、「希少性」が、あるのも理由の一つでしょう。「美しい!」と感じる瞬間、そこには一瞬の感動が生じます。なぜ感動するかといえば、滅多にみない珍しくて希少な物であるから。もちろん、これは感動するための必要条件でしかありませんし、あくまで自身の考えです。

 番組では、歴史を重ねたからこそ醸し出される建造物、凡人には達成できないような細工がなされた品物、天才だからこその超集中力が生み出した美術品、他企業が行えないようなプロダクツ…全て、滅多にお目に掛かれないという希少なものばかりです。世の中にただ、一つ!という物が多数出てきました。

(ちなみに、経済学は世の中の資源は有限=希少性があるからこそ、その資源をどう分配するかを、マクロ、ミクロで課題解決するためにあります)

 

www.nhk.or.jp(番組紹介VTRです!)

 

*では「美」に価値が付くとは?

 次に、そんな希少性のあるものに価値があると認識されるのは、どんなメカニズムが働いているのかも気になりました。世の中には、そんな希少性のあるものは多数あります。そんな多数あるなかで、わざわざそれを選ぶ理由はなんなのか…。全ての「美」に関するものについて情報を集めるにしても限界があります。これは、単に認知度が高いかどうかだけで片づけられる話なのでしょうか?ここには、自身の研究分野に関連するメカニズムも働いているように思うのです。

 それは合理的群衆行動と言われる「social learning」「information cascadeというメカニズムです。これは、自分が得た情報やシグナルに関係なく、他人の行動を真似する行為です。例えば、ある対象物に、限られた予算から「これは時間やお金を割いてでも見に行くべき価値がある観光地だ!」「大枚はたいても買う価値のあるアート作品だ!」と感じているとします。しかし、大多数の人がそれでなく、違う類似物に価値を感じているという様を見ます。その結果、当初に予算を割こうとしていた物でなく、大多数の人が選択している類似物に予算を割くことになる現象をさします。こうした群衆行動も逆手にとるような強かさも、「美」に価値をつけるには必要なのかなとも思ったわけです。

 下記の記事では、東京画廊社長の山本豊津氏のアートについての解説がされています。ここには、フランスが美術品を公開する理由と、ルーブル美術館が如何に革新的だったかが記載されています。

 

ルーブル美術館が革新的なのは、王室が集めた美術品を、たくさんの人に公開したことです。それまでは数十人の王族どうしの間で「これは素敵だね」と言っていただけ。でも、数十人よりも大勢の人が「素敵だね」と評価するほうが、価値が上がると思いませんか。
(中略)
──多くの人が見れば見るほど価値が生まれるという考え方は、近代に出てきたものだと。フランス革命が美術館と深いつながりがあったとは、驚きました。ナポレオンは、美術品を多くの人に見せることの効果を見抜いていたのでしょうか。

 

newspicks.com

 

 

 多くの人が見れば見るほど価値が生まれるという考え方は、面白いですよね。しかし、美術品を見た民衆すべてが、それがいかに希少性があり価値があったかをジャッジできる能力や情報を持ちえたとは思えません。もしかしたら、ナポレオンや、ルーブル美術館の運営者は、「social learning」「information cascadeという現象を直感的に理解しており、王族という目利きができる人たちが集めた美術品だよ!という情報があるからこそ、民衆間に価値があるらしいよ!という情報連鎖を期待していたのかなと思うのです。

 関西は本当に魅力的な地域なので、こうした情報連鎖のきっかけになるような海外の有識者の訪問や、更にオープンに関西の宝物を閲覧できる機会や美術館(海外のような低料金で)が出来たらいいのになと思ったり。関西の魅力は、地域で美の様式も、人の魅力も全然違うところにもあると思います。ぜひ一度はいってみてくださーい!

 

ながーい文章を読んでくださり、ありがとうございました!

応援ありがとうございます!

崔真淑(さいますみ)

 

 

 

そのストックオプションをどう評価する?西松屋と静岡ガスの事例より/攻める良品計画VS攻めすぎたヤマダ電機!直近決算より/ガバナンス/メルマガ「さいますみのオイコノミクス」Premium! <グラフ集>vol.3

 

 みなさま、こんにちは!エコノミストの崔真淑です。

 今月は出張や急なMTG等々もありペースが掴めないことも多々ありました。しかし、新しいご縁にも恵まれた月でもあり、仕事も研究活動も充実して締めくくれそうな気配です。これも皆様の支えのおかげです。いつもありがとうございます!

 今回も、4月から始めたメルマガについて グラフ集をフリーで掲載していきます!具体的な解説は下記にもリンクがありますメルマガ「さいますみのオイコノミクス Premium!」に掲載しています。メルマガは、 更に一歩踏み込んだ形にし、テレビやラジオでお伝えしきれなかった経済解説を中心に記載しています。ビジネスや投資の現場で活かして頂けると幸いです。毎週木曜日発刊で、今晩が第三回目です!

 メルマガでは、博士後期課程で学び中のことをいかした内容も更に盛り込んでいます。4月19日号ではコーポレートガバナンスを機能させるための経営者報酬の枠組みの解説と、直近事例を用いて解説をしていきます。ここでの狙いは、みなさまに企業行動についての自分の意見をもって頂くことです。このメルマガが、そのきっかけになれば幸いです!

 その他では、直近の決算で気になった事例や株主優待に関する話ピックアップしています! なぜ、あまりなじみのない回転機関のグラフが重要なのかは、本メルマガに記載してあります。(注:グラフが全て日経バリューサーチで作ったものです。おススメ便利ツールです!)

 

foomii.com

 

 

 

良品計画の売上高及び利益率推移

 

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良品計画棚卸資産が意味するものは、、

 

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ヤマダ電機は株価年初来更新中だけど、、

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ヤマダ電機棚卸資産回転機関が右肩あがりだけど、、

 

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いつも応援ありがとうございます!

引き続き精進してまいります!

 

崔真淑(さいますみ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

需要牽引で物価が上昇している項目とは?メルマガ「さいますみのオイコノミクス」Premium! <グラフ集>vol.2 需要牽引型の物価上昇を見せるサービス業/役員報酬を決めるメカニズムからの教訓(米国役員の実証分析より)

 

 皆様、こんにちは。エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 いよいよ博士後期課程の授業が始まりました。第二回目のメルマガ(月864円。継続の場合初月無料。第二回目は4月11日に発刊です)では、誰もが気になる「報酬」決定のメカニズムについて実証分析を行った研究論文を用いながら、どうしたら報酬をあげられるか、また誰かの報酬を決める立場にある人の悩み解消、投資先企業の役員報酬の妥当性についてのヒントになったらと考えています。

 そして、もう一つは、物価です。メルマガでは、現状の消費者物価についてデータを扱う人やビジネスパーソンンに知ってほしい課題を記載しています。どんなバイアスがかかりやすいのかを解説しています。加えて、日経CNBC「昼エクスプレス~崔真淑のサイ視点」に出演して頂いたナウキャスト社CSOの広瀬健さんより許可を頂いて、同社が全国のPOSレジから抽出して作成した最新の物価動向のチャートを紹介します!

 

①為替と物価

広瀬さん曰く…

ドル円市場は昨今円高傾向が続いていますが、過去のパターンでみると12ヶ月程度のラグを伴ってCPIに効いてくる可能性があります。

 

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②項目別の物価について

広瀬さん曰く…

2017年中は概ね食品がインフレのけん引役、最近は外食サービスでも労働市場の逼迫や食品価格の上昇を受けて価格転嫁が進んでいます。一方で財やサービスは低迷していましたが、2月3月は携帯サービスが前年比でプラスになっている(ベース効果)ほか、宿泊料や海外旅行費等も伸びているため外食以外のサービス価格も伸びています。

 

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③需要牽引型の商品・サービスはあるのか?

広瀬さん曰く…

インバウンド等の外需効果で宿泊料が持続的に上昇しており、このトレンドは外需の堅調が続く限り持続する可能性が高いと見ています。

 

 

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以上になります!ぜひ、多くの経済学者が注目中の

ナウキャスト | 経済の”今”を伝えるビッグデータ解析ベンチャー

の動向に注目してみてください!

 

いつも、応援ありがとうございます!

感謝の気持ちを忘れず精進いたします!

崔真淑(さいますみ)

 

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テレビ東京「Mプラス11」出演後記!なぜ、アナリストの株価予想は似てくるのか?~日経平均3万円円予想ラッシュから~

 皆様、こんにちは。エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 来週から、博士後期課程の授業が始まります!こうして仕事と研究活動の二足の草鞋生活ができるのも皆様のおかげです。卒業には当然ですが論文生産が必須。そのため、自身の研究分野に関連する論文をひたすらサーベイしようとしているのですが… なかなか進みません(汗)そこで、何かやる気がでる仕組みを作ろうと考えました! 

 サーベイした論文を、出演番組や皆様のビジネス・投資に関連する事柄と関連付けながらブログとメルマガで紹介しようというものです。論文生産は自分との闘いでしかないというのは承知しています。ですが、誰かのためになっていると思うと、モチベーションを高く維持できるんです。どうか宜しくお願い致します。

 そこで、今回は、メルマガ内容の、アナリストの株価予想に関する箇所の一部を紹介します!

 

*「なぜ、株価予想は似るのか?日経平均3万円予想ラッシュを振り返る」

 メルマガでは、「第2章 気になる論文&書籍からのビジネス・投資への教訓」という箇所で、上述したアナリストの株価予想の癖について示唆を与えてくれるだろう関連論文を紹介しています。

 このテーマに注目した理由は、自身の出演番組ではアナリストの株価予想が頻繁に出てくることや、それによって投資家行動が変化する様を日々見ているからです。そんな株式市場に影響を与える、アナリストの株価予想…。でも、そこには、ある強い傾向が日米の実証研究で報告されています。それは「株価予想が似る」ということです。でも、なんで似てくるのでしょうか…?

  そのヒントになるのが、下記の論文です!

 Scharfstein, D. S. and Stein,J, C,, 1990, "Herd Behavior and Investment," AmericanEconomic Review, 80:465-479,

 

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テレビ東京「Mプラス11」出演中の自身です!撮影は、Twitterフォロワーさんの関西人NEOさん

*株価予想について、自身の経験から思うこと

 投資をする際、アナリストや有識者の株価予想を参考にすることは少なくないと思います。そうしたアナリストの中には、的中率が非常に高い方もいれ
ば、そうでない方もいらっしゃるでしょう。
 自身は株価を当てに行くような芸はできません。リスク分散や不祥事が起きにくい企業の傾向分析など、下落リスクを小さくするための研究をさせて頂いてます(汗)。とはいえ、実は自身も投資銀行でアナリストをしている頃は株価予想を行い、日経平均株価予想も行っておりました。その経験で感じたのは、「外したら怖いな…」という恐怖心です。では、怖いと思うと、何が起きるでしょうか?
 それは、有名アナリストと近い予想をだしておけばいいさ!という誘因です。あくまで自身の経験ではありますが、実は多くの実証研究で、アナリスト
の株価予想が予想中央値に収斂する様が日米で報告されています。
もしかすると、自身のように外すのが怖くて、他者と似たような予想を出すアナリストは少なくないのかもしれません。では、もう少し突っ込んで、なぜ「外したら怖いな…」と感じるのでしょうか?

 

 

*論文は何を示しているの?

  この問へのヒントとして論文「Herd Behavior and Investment(横並び行動と投資)」を紹介しました。投資担当者やアナリストがどれだけ有能でも100%結果をだせるわけではありませんし、100%良い情報ばかりを手にできるわけではありません。そのため、労働市場、会社の評価、上司の評価は、その投資担当者やアナリストの能力だけで決まらず、他者との行動の類似性によって評価されると指摘しています。

 ざっくりと言ってしまえば、労働市場も会社も上司も、投資担当者やアナリストへの評価に非常に迷うことがあるので、他投資担当者や他アナリストとの相対的な比較で決めようとすると。なので投資担当者やアナリストは、みんなと同じような投資判断や予測を出しておけば、もしも大外ししたとしても、他の人も外しているし、しかたないよねということで、Reputationリスクを回避できるだろう。結果、自分の評価を大きく下げることはないというのです。そのため、投資担当者やアナリストにとって、他者を真似することが合理的になることがあるとベイズの定理を用いながら指摘しています。

 

日経平均三万円予想ラッシュを振り返ると…
 日経平均が上昇しだすと、一斉にアゲアゲ予想がでたり、下がりだしたらサゲサゲ予想が連鎖することがあります。これは、純粋にアナリストの能力や手に入れた情報だけに基づいて発信されているのでなく、もしものためのReputationリスクを回避したいからかもしれません。

 年初に日経平均3万円予想やTOPIX3000ポイント予想がラッシュのように出ました。昨年は20%上昇して日経平均は2万4千円をつけました。今年、3万円をつけるには、そこから30%近く上昇しないといけないだけに、少し突飛な予想に見えました。でも、予想の連鎖が起きているところをみると、もしかしたら上記のようなことが起きているかもしれませんね。

 

 メルマガでは上記の内容を、ポイントも抽出しながら紹介しています。その他には、決算分析や日々の博士後期課程での生活模様も紹介しています。

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応援いつもありがとうございます!

 

崔真淑(さいますみ)

 

裁量会計への懸念はCF計算書を見てみよう!メルマガ「さいますみのオイコノミクス」Premium! <グラフ集>vol.1 しまむら決算ビュー/なぜアナリストの株価予想は似るのか?

 皆様、こんにちは。エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 研究分野に関連する論文を、ひたすらサーベイ中の自身です。春からは、論文を大量に読むことになります。そこで、そうした論文を、出演番組や皆様のビジネス・投資に関連する事柄と関連付けながメルマガで紹介していきます。更に、ブログでは決算や経済指標、統計試算結果をどんどん紹介する予定です。

 今回は、第一回目のメルマガ(月864円。継続の場合初月無料)しまむら決算を分析。ここでは、いわゆるPLやBSでなく、キャッシュフロー計算書を紹介しています。なんで、キャッシュフロー計算書なのでしょうか?

 実は、企業による「裁量会計」が発生していたという報告が、学術世界の実証研究で多数報告されているからです!!裁量会計とは、経営陣が自分達の都合の良いように、会計上の数字をコントロールすることです。こんなことは絶対に起きてはいけませんし、もちろん違法行為です。しかし、現実には社長交代になった瞬間に不自然なほどに巨額減損が多数の企業で起きたり、海外M&Aに伴う減損の時期、押し込み販売による
売上高の水増し…

 会計利益というのは、その特性から恣意性を反映させようと思ったらできてしまう恐れがあるのです。もちろん、しまむらを含めてほとんどの企業は、そんな恐ろしいことはしてないはず。しかし、そこはあえて全てにおいて疑ぐり深くいきましょう。そこで、会計利益と違い、その計算過程からも恣意性や裁量が入りにくいキャッシュフロー計算書で、全ての企業の業績チェックをすることを自身は心がけています。

 メルマガでは、キャッシュフロー計算書のどこをどうみるべきか?なぜ、その項目なのか?を詳細に紹介しています。ご関心があるかたは、見て頂けると幸いです。ただし、ブログで紹介している図表はフリーで本ブログに掲載しています。自由に活用していただけたらと思います!

 

応援いつもありがとうございます!

どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします!

崔真淑(さいますみ)

 

(図表一覧↓)

 

しまむらの売上高と営業利益率推移

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しまむら2018年2月期営業キャッシュフロー抜粋

 

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しまむら棚卸資産回転日数が、緑色のチャート

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④浜銀総研遠藤祐基エコノミストによる、景気一致指数と残業時間(所定外労働時間)の相関係数一覧(本人の許可を頂いて掲載)

 

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J-WAVE「STEP ONE」出演後記~なぜ、現代アートと株価には共通点があると感じるのか?~

 みなさま、こんにちは。

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。皆様のおかげで、無事に新年度入りの準備も出来てきています。

 今回は、先日出演させて頂いたJ-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)コーナー「PICK ONE」を振り返ります。番組では、News Picksで自身がPickした記事をベースにサッシャさん、寺岡さんとトークをさせて頂きました。

 

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サッシャさん、寺岡さんと一緒に!)

 

*テーマに選ばさせて頂いた記事について…

 今回取り上げた記事は、こちらです。内容は、東京画廊社長の山本豊津氏へのインタビューを通してアートを知ることによる経済や国家の仕組みがどのように見えてくるかが展開されています。第一回目記事には、アートの値付けの仕組みが描かれています。自身は、その値付けの仕組みのところに、アートと株価に共通点があるのでは!?と感じたのです!加えて、少額ではありますが現代アートのコレクターというのも、この記事を取り上げた背景にあります。 

 その肝心の記事中で、山本氏はアートの値付けの仕組みを以下のように語っています。

 

商品の価値は、「使用価値」と「交換価値」の2つに分けて考えることができます。使用価値とは、商品そのものが使われることで生まれる価値のことです。ノートや鉛筆は文字を記録することで、野菜や肉は食べることが価値となります。
一方で交換価値は、ある商品と他の商品を交換するときに発生する価値です。現在は貨幣と交換することがほとんどなので、その交換価値が「価格」となります。

News Picsk オリジナル記事 【新】アートを知れば、国家と経済の仕組みが見えてくるより引用

 

 と、記されています。まず、価格を2つに分けて考えるところも興味深いのですが、その「交換価値」は虚構の上に成立しているとの表現に、経済はもちろん株式市場との共通点を感じたのです。また、記事中にはアートの価値を高めるには、多くの人にいかに見られるかが要という考え方が近代西欧で生まれ、それが美術館の発展にも影響したようです。

 この、2つの価値が存在する様や、また多くの人に如何に注目されるかが要というIRのような様は、まさに株式市場に非常に似ていると感じたのです。

 

*なぜ、アートと株価の値付けに共通点を感じるのか?
 株価は、理論的にはその企業の一株辺りキャッシュフローの現在価値と定義されており、アカデミックな分野では交換価値と使用価値という厳密な定義は自身は聞いたことがありません。
 しかし、日々の株価を見ていると、そこには「株価という日々の交換価値」と「アートの世界でいう使用価値という潜在的企業価値が存在しているのではと思うことや、この2つの価値の乖離が起きていると感じることがあります。つまり、日々の株価が、本当にその企業の潜在的企業価値だけを反映しているとは思えない!やはり日々の株価は需給ありきでは!?と痛感することが多いのです。

 

 例えば、IRが非常にうまい企業なんかは、え?と思うような業績でも株価は上昇を続けることがあります。この様は、上記でも書いたように、アートが多くの人に注目されたりみられることで価値が高まるという様とも似ているようです。IRは、株主と上場企業の情報の非対称性を埋めるために存在します。もしかしたら、美術館という仕組みも、そうした考えがベースかもしれませんね。

 

 また、虚構のような値段がついた株価も、高い株価がついたことで企業が資金調達がしやすくなったり人材採用が容易になるなどして、虚構でなく本物の企業価値になることがあるでしょう。(実際に、そういった局面をみてきたので…)
虚構も長く続くと、本物になるのかもしれません。

 これは現代アートの値付けの動きにも近いものがあると現代アート素人ながら感じます。例えば、現代アートでは作家が所属しているギャラリーがどう仕掛けるかや、世界の金融緩和で金余り現象が起きてお金持ちが増えるなど、そうしたことも値付けの一部に反映されるでしょう。
 仮に虚構のように見える値付けをされたアート作品も、高い価値が付くことで、作家が更に自信をもち、より多くの人に認められるだろう作品が出てくるきっかけになるのかも…

*アートと株価選定の共通点!?
 まずは値上がりしそうとかそういう視点でなく、その作家を応援したい!この作品は美しい!という視点でアートと触れてみると、人生が更に豊かになる気がします。
これは株式でも言えます。プロの株式投資家でないような職業の人は、まずはこの企業を応援したい!この理念に共感する!という気持ちを大事にすることで、人生が更に面白くなるきっかけになるかもです!

 

 

今日も読んでいただきありがとうございます!

応援ありがとうございます!

崔真淑(さいますみ)

 

 

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