”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

2018年登壇イベントを振り返る!働き方改革を巡り「効率」と「公平」の狭間で考える一年でした

 みなさま、こんばんは!

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 2018年も、もうすぐ終わろうとしています。皆様の支えのおかげで、今年も無事に過ごせました。今年の自身の漢字は「機」です。というのも、今年は様々な貴重な番組出演の「機会」やイベントの「機会」、更にはいろんなご縁から自身が至らないところを多々考えさせられる「機会」に恵まれた年だったからです。このように日々精進させて頂けるのも、皆様のおかげです。

 そして、今年の振り返りとして、特に今年は多くのイベントの「機会」に恵まれたこともあり、そこからの学びを記していきます。

 

*「働き方改革」に関係するイベント盛り沢山でした!

 イベント・番組出演・雑誌への寄稿と様々な機会から、沢山の学びを頂きました。下記の写真は、そうした機会の一部を合体写真にしたものです。

 特に、イベントに関しては「働き方改革」に関連する事が多かったです!また出演番組でも、働き方を巡るニュースや、経済情報を多数取り挙げさせて頂いた年でもありました。

 

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 年始で特に印象に残ったのは、経団連紙の一面にもして頂いた「プレミアムフライデー」イベントです。プレ金という言葉を使う云々以上に、企業を含めた多くの方々が早帰りや、どう余暇を充実するかを改めて考える機会になったのではないでしょうか。写真は、登壇企業の皆様と。

 

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 年中旬で特に印象的だったのは、経済投資イベントです。著名人の方々がいらっしゃるイベントに登壇させて頂いただけでなく、日経新聞の広告欄に自身の写真も掲載して頂けたのは、やはり嬉しかったです。イベントでは、先が見えない中で自分が働くだけでなく、お金に働いてもらうにはどうしたらいいかの関心度が高まっているのを感じました。勤め先ありきの生き方でなく、もっといろんな過ごし方をしたい!という声を沢山聞きました。これも働き方改革の影響が大きいと思われます。

 

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そして年末、いや今年一番印象に残ったのは‥ 天皇皇后両陛下が御臨席された「社会保険労務士制度創設50周年式典」という非常におめでたいイベントに登壇者の一人として参加できたことです。(同じ室内の空気を吸えただけでも感無量です(涙))

 社労士という資格は日本独自の制度であり、新興国を中心に社会保険整備のためにその制度知識が輸出されているとのこと。「働き方改革」が進む中で、社労士への相談や役割も広がりつつある中で、登壇者の一人として経済学分野の研究を参考に提言をさせて頂きました。

 

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*全てのイベントを通して感じた課題

 ここで紹介しきれなかったイベントを含めて、本当に貴重なイベントに恵まれた一年でした。しかし、全てを通して感じた課題は「公平」と「効率」の狭間でどう提言や発言をすべきかということです。

 経済学という学問を軸にコーポレートガバナンスを研究している自身は、出演番組やイベントで経済学研究の紹介や経済学の理論を引用しつつお話する事が多々あります。

 自身如きがこんなことを書くのも恐縮なのですが‥自身がサーベイしてきた経済学分野の論文や教科書は多くの場合、「公平性」という判断基準は重要としつつも、あくまで「効率性」に重きを置おて効率的に資源(人、時間、全ての資源)を配分するかに重きにおいていると思います。

 なので、自身がまず考える基準や判断軸は「効率性」をまず最初に思い浮かべます。しかし、そればかりはじゃいけないし、そのために多様な学問領域の発展が必要なんだと痛感することが多々ありました。

  例えば、仮に「働き方改革」が進むことは、その制度を自由に謳歌できる人が多く日本全体で経済成長が必ず起きるとしましょう。しかし、それを活用するための合理的な判断力や予見能力は全ての人が等しくありません。また、自分にとっては使える情報があったとしても、全ての人がそれを活用できるわけでも、同じように意思決定ができるわけでも行動がとれるわけでもありません。

  全ての人が等しく有益な情報を取得できて行動できるとい前提を置いてしまうと、自己責任論が過剰にフォーカスされかねません。いろんな変化が起きるのは良いことだけど、自身も含めてその変化に追いつけなかった場合には所得分配や公平性の議論が更に必要になるなぁと感じるのです。一方で、公平性ばかりに目が行きすぎて、マクロな経済成長を全て捨てるというのも違うとは思います。「公平性」と「効率性」の狭間で揺れつつも、来年も自身だからこその考えや学術研究を深掘りしていきたいです!

 

 自身がこうして生かされて、ゴハンを食べていけるのも皆様のおかげです。いつも、本当にありがとうございます。皆様に社会に恩返しがでるよう更に精進して参ります。

 

引き続き何卒応援よろしくお願い致します!

皆様にとって更に幸ある2019年になりますように!

 

崔真淑(さいますみ)

 

 

 

 

研究進捗発表会を振り返る〜たった一行、一枚のスライドでオーディエンスの反応が変わる瞬間があるかも!?日々トライアンドエラーです〜

 みなさま、こんばんは。

 猛暑が続きすぎて脳みそも溶けかかっている、崔真淑(さいますみ)です。意思決定の鈍さと気候には何かしらの関係があるんじゃないかと日々感じる毎日を過ごしています。

 今回は、放送のお仕事と並行して活動させて頂いている研究活動での気づきを記していきます。最初に言うと、この気付きは研究者として仕事を成立させている方々からすると「何言っちゃってんの」な話だと思います。でも、初心忘れべからずと思い今後の反省にも活かしたいのと、皆さまのビジネスにも汎用が効く部分があると思い記していきます!

 

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(写真は文化放送さんでの一枚。仕事と研究活動の両立がメンタルと身体にけっこうくるなんて思ってなかった頃の自身w)

 

*最近の研究活動を振り返る

  自身は、4月から大学院の博士後期課程に進学しました。専門は、コーポレートファイナンス分野です。企業の資金調達やそれに関連するメカニズムを経済学の視点を活かして解明しようとしています。この活動を通して、様々な方々からポジティブとネガティブな言葉を頂きました。前者が圧倒的に多いのですが、後者に関しては、

 

「学者って現実理解してないやろ!つうか役に立たない研究のために金使うなよ。ほんま、現場の人間の声ありきで意思決定すべきだと思うし。」

 

という意見も頂きました。

 もちろん学術界でニーズのある研究と、現場でニーズのあるジャンルは必ずしも一致しません。しかし、すぐに役立つ話はすぐに役に立たなくなることが多々あります。いま役立つかどうかだけで研究を進めるのは危ういし、私達の未来にもよろしくないと思うのです。

 更には、「実は知らないうちに経済学者や様々な学術研究が私達の価値観や意思決定に影響を与えているんだよ!」という事実を知って欲しいなと、この言葉を耳にした時に感じました。

 例えば、株式市場の世界で出てくるβやCAPM等々は、経済学者の知見によって誕生した指標であり理論です。その他では、経済危機に陥ったり不況の時は、国が財政出動なり何かしないとアカン!という価値観が当然になったのも経済学者のジョン・メイナード・ケインズ氏が登場してからの価値観でしょう。昔は、赤字国債は異質だったようですし。また、このような様をケインズ氏はこのように例えています。

 

「知識の影響を受けていないと自認しているような現実的な人々も、過去の経済学者の奴隷であることが普通である。権力を握った狂人たちも、天の声を聞いていると自分では考えているが、何年も前のアカデミックな三文文土から彼らの狂気を蒸留しているのである。」

(出所)ケインズ氏の「雇用・利子および貨幣の一般理論」の一部を、マンキュー氏の「マンキュー入門経済学」(東洋経済新報社)で翻訳した物を一部抜粋

 

 これは、自分自身への戒めにもなる言葉です。やはり我以外皆師なり。様々なコメントに謙虚に耳を傾けてる自身でありたいです。

 とはいえ、非常に有難いことに自身の研究活動に肯定的な人が多く、日々を活動させて頂いてます。その肝心の研究活動ですが、、、

 

*インプット&アウトプットのトライエラーだ!

 もう毎日が、自分がどれだけレベルが至ってないのかや、周囲と比較して憂鬱になることが頻繁に起きたり。。というのも、自身は、論文を読むのがとても遅いです。

 研究者の先輩方から、「最初は自分の身になるように一本をじっくり読むのが良いから!」と励ましの言葉を頂いたものの、この最初がいつまで続くんだよーwってぐらい遅い自身でありますw。周りと比較せず、まずは自分のペースと思ってもやはり周りを意識します(笑)。とはいえ、そんな危機感を与えてくれる環境にいれるのは、レベルアップをするには幸せなことですよね。環境に感謝です。

 と、そんな感じで既存研究の論文サーベイ&仮設設定&データ回しての繰り返しなのですが、その進捗を発表する機会がありました。

 

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(研究進捗発表会を行ってきたキャンパス)

 

*たった一行、一枚のスライドで変わる瞬間

 その研究進捗発表会とは、大学院とは別に参加している、イノベーション研究所で行われました。実は、今日の発表はすごく憂鬱でした。というのも、前回の発表で、自身の研究テーマから一刀両断のフルボッコだったことや、自身の研究の進捗が遅いことから、

 

「あぁまたフルボッコやぁ。。。なんならフルボッコにする気すらしてもらえなかったらどうしよう。でも、全部自分が悪いからなぁ。。はぁ。。うぎゃーー。。」

 

と、いう気持ちでした。

しかし!前回の感じではなく、非常にありがたいご指摘を頂き、新しい課題が見つかり、新たな試行錯誤ができそうな感じの発表になったのです。

今回は、前回に強烈に指摘された箇所を意識して、いつもなら作らないテーマを説明したスライドを一枚入れて、加えてある一行を入れることを念頭に置きました。結果、自身の研究テーマの大筋や文脈は変化してないのに、テーマ丸ごとをガツンと一刀両断されることがなく、具体的なアドバイスも受けられたのです(涙)!

 

もちろん、今日の研究進捗発表会は長丁場だったので、先生方がお疲れで意見する気にもならなかったというだけの可能性はあるかもですがw とはいえ、一枚一行だけで、説得力が一気にますことがあるんだという感覚を得られたのは、非常に大きな収穫でした。

 

いつもいつも、心の弱い自身は、逃げたいなぁ、後回しにしたいなぁという弱音を吐きたくなることが多々あります。でも、逃げたらお終い。ゆっくりでも、ノロマの私でも、亀のごとく日々精進していくことで、新しい気づきに出会えるんだ!と知れた日でした。まずは論文一本書き上げるぞ!

 

いつも応援してくださる皆様に感謝です!

いつも本当にありがとうございます!

崔真淑(さいますみ)

芥川賞作家高橋三千綱先生 新刊「作家がガンになって試みたこと」記念講演会での学び!~自分の好き嫌いを信頼できる自分でありたい~

 みなさま、こんにちは。

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 暑い日が続きますね。こんな暑い日が続くなかで、西日本豪雨で被災された方々が困難な状況が続いていることに胸が詰まります。自身も義援金という形で支援させて頂けたらと思います。

 今回も、日々の学を記載していきます。題名にあるように高橋三千綱先生の新刊「作家がガンになって試みたこと」記念講演会&会食に参加させて頂きました。実は、身内が入院するようなことがあり、医療に対して非常に強い関心がある中でのタイムリーなイベントとなりました。講演会後の皆様との会食、お店の方からも貴重な学びを頂きました。

 


*世の中でもてはやされる健康&医療方法について感じていたこと

 常々感じていたのは、万人に絶対に効く治療法なんてないよねってこと。更には、巷で有識者が伝えている健康法や医療方法も、元論文を当たってみるとサンプルセレクションや統計方法に!?!?が少なくないということ…。

 そして、最新の医療方法を試すよりも、日々の生活のなかで自分の身体と正直にまじめに向き合うことが如何に重要かということを痛感していたのです。そう感じるようになったのは、仕事と研究活動の両立に、心と身体がバラバラになることが増えたからです。今は、自分が食べたいと思う物を手作りで、そして大切に食べる、寝たいときは寝る、身体を動かす…という当然のことを日々心掛けています。誰よりも、自分の身体は自分が一番把握できるようにしておきたいから。なので、大病したとしても、自分の中では、巷で言われている医療を素直に言うことをきくというより、○○したいというのはうっすらと考えています。

 こんなことを書くと、「君は研究者を志しているのに非科学的だぁ!専門家の言うことをきかんか!」と、怒り出す人もでてくるかもしれません。でもね、「研究者を志すからこそ、研究で解明できることは本当にちょっぴりだと知ったんだよ。だから、謙虚に有識者のいうことは聞きつつも、自分と向き合うことを忘れちゃいけないのさ」と強く思うのです。と、そんなことを思っていたら…

(注)ちなみに、社会科学の論文ではその事象の因果関係の20%ぐらいわかればいい方。日々の生活では、それ以外の80%と向き合う気持ちを忘れちゃいけないと常に感じるのです。

 

*高橋先生の講演会からの学び

 

 高橋先生は講演会の中で、自分の感覚に素直になること、自分の「好き嫌い」に耳を向けること、そして万病のもとであるストレスをどう扱うのか…。金言が満載でした。自身が上記で考えてたような内容は、あながち間違ってないのかなと少し自信を貰いました。

 著書では、高橋先生は肝硬変、食道がん胃がん、糖尿病との奮闘記が記載されています。絶対にガンをきらない!と、お医者さんと口論になったことや、そう考えた背景が記載されています。その後、先生はお酒も楽しめるほどに良好になり、写真にあるように、会食をご一緒させていただきました。

 研究者視点では、あくまで高橋先生という一件のサンプルで、すべての人が同じようにすれば良いとは思いません。そこではなく、「客観的」に裏付けられていると巷で言われているデータや治療法も、それほど頑健性が担保されていないのかもと常に疑う目線、そして、自分の好き嫌いや自分の身体の反応はこうだ!と自信をもって言える「自分が信頼できる主観」を持ちたいと強く思ったのです。

  と、そんなことを感じていたら、ある決断をするに至りました。その話は、また後日。うん。自分の好き嫌いという主観を信頼できる自分でいれるよう、今日も精進だー!

 

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講演での高橋先生!芥川賞受賞時のタキシードでびしっと!

 

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医療の話はもちろん、自分が信頼できる「好き嫌い」方法や金言満載!

 

貴重な機会をくださった高橋先生、そしていつもお世話になっている皆様に感謝です!

引き続き応援よろしくお願いいたします!

 

崔真淑(さいますみ)

 

 

 

 


 

 

 

NHK大阪「かんさい元気印 ”美”の底力スペシャル」出演を振り返る!~「美」に価値がつくメカニズムについて考えてみた~

 みなさま、こんばんは!

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。もう6月ですね!今年1月に立てたマイマニフェストを実行すべく行動中の自身ですが、なかなか進まず四苦八苦しています。4月から博士後期課程に入学したのですが、研究活動のバランスの取り方に苦戦しています。本当に自身は無知だし、勉強も根性も足りないと痛感する日々です。しかし、皆様の支え、寛容なお師匠さん、そして仕事関係者の方々の応援のおかげで、前向きに日々精進させて頂いてます。

 

*全てのプロダクツには「やさしさ」が根底にある

 今回は、そんな仕事関係者の方々から得た学びを記していきます。5月25日、6月2日に放映されたNHK「かんさい元気印 ”美”の底力スペシシャル」に出演させて頂きました。関西が誇る「美」の資源についてVTRやトークを交えて、その可能性について探るという内容です。学生時代を神戸市で過ごした自身としては、関西レジェンドのスタジオゲストの方々と共演させて頂けたことや、まだまだ知らない関西の魅力を知る機会になり本当に貴重な機会になりました!感謝です。

 特に印象的だったのが、関西の顔でもある「なるみさん」の一言。関西の「美」にまつわる資源、それを継承する仕組み等々のVTR放映後に”やさしさ”が根底にあるんやね」と仰ってたんですね。番組では歴史的建造物、商品、継承の仕組み等が紹介されており、それら全てに共通するのは誰かの悩みや課題を解決したいという思いがあったんです。詳しくは、放送を見た方に聴いてみてください!

 

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(番組ポスターです!自身も登場させて頂けて、本当にすごーく嬉しいです!貴重な機会に感謝です!)

 

 

*なぜ「美」に感動するのか?

 そして、エコノミストとして番組中に感じたのは、「そもそも、なんで美しい物に人間は感動するのか?」ということです。この問いに対する答えは、脳科学や哲学、いろんなアプローチ方法があると思います。経済学的に考えるならば、「希少性」が、あるのも理由の一つでしょう。「美しい!」と感じる瞬間、そこには一瞬の感動が生じます。なぜ感動するかといえば、滅多にみない珍しくて希少な物であるから。もちろん、これは感動するための必要条件でしかありませんし、あくまで自身の考えです。

 番組では、歴史を重ねたからこそ醸し出される建造物、凡人には達成できないような細工がなされた品物、天才だからこその超集中力が生み出した美術品、他企業が行えないようなプロダクツ…全て、滅多にお目に掛かれないという希少なものばかりです。世の中にただ、一つ!という物が多数出てきました。

(ちなみに、経済学は世の中の資源は有限=希少性があるからこそ、その資源をどう分配するかを、マクロ、ミクロで課題解決するためにあります)

 

www.nhk.or.jp(番組紹介VTRです!)

 

*では「美」に価値が付くとは?

 次に、そんな希少性のあるものに価値があると認識されるのは、どんなメカニズムが働いているのかも気になりました。世の中には、そんな希少性のあるものは多数あります。そんな多数あるなかで、わざわざそれを選ぶ理由はなんなのか…。全ての「美」に関するものについて情報を集めるにしても限界があります。これは、単に認知度が高いかどうかだけで片づけられる話なのでしょうか?ここには、自身の研究分野に関連するメカニズムも働いているように思うのです。

 それは合理的群衆行動と言われる「social learning」「information cascadeというメカニズムです。これは、自分が得た情報やシグナルに関係なく、他人の行動を真似する行為です。例えば、ある対象物に、限られた予算から「これは時間やお金を割いてでも見に行くべき価値がある観光地だ!」「大枚はたいても買う価値のあるアート作品だ!」と感じているとします。しかし、大多数の人がそれでなく、違う類似物に価値を感じているという様を見ます。その結果、当初に予算を割こうとしていた物でなく、大多数の人が選択している類似物に予算を割くことになる現象をさします。こうした群衆行動も逆手にとるような強かさも、「美」に価値をつけるには必要なのかなとも思ったわけです。

 下記の記事では、東京画廊社長の山本豊津氏のアートについての解説がされています。ここには、フランスが美術品を公開する理由と、ルーブル美術館が如何に革新的だったかが記載されています。

 

ルーブル美術館が革新的なのは、王室が集めた美術品を、たくさんの人に公開したことです。それまでは数十人の王族どうしの間で「これは素敵だね」と言っていただけ。でも、数十人よりも大勢の人が「素敵だね」と評価するほうが、価値が上がると思いませんか。
(中略)
──多くの人が見れば見るほど価値が生まれるという考え方は、近代に出てきたものだと。フランス革命が美術館と深いつながりがあったとは、驚きました。ナポレオンは、美術品を多くの人に見せることの効果を見抜いていたのでしょうか。

 

newspicks.com

 

 

 多くの人が見れば見るほど価値が生まれるという考え方は、面白いですよね。しかし、美術品を見た民衆すべてが、それがいかに希少性があり価値があったかをジャッジできる能力や情報を持ちえたとは思えません。もしかしたら、ナポレオンや、ルーブル美術館の運営者は、「social learning」「information cascadeという現象を直感的に理解しており、王族という目利きができる人たちが集めた美術品だよ!という情報があるからこそ、民衆間に価値があるらしいよ!という情報連鎖を期待していたのかなと思うのです。

 関西は本当に魅力的な地域なので、こうした情報連鎖のきっかけになるような海外の有識者の訪問や、更にオープンに関西の宝物を閲覧できる機会や美術館(海外のような低料金で)が出来たらいいのになと思ったり。関西の魅力は、地域で美の様式も、人の魅力も全然違うところにもあると思います。ぜひ一度はいってみてくださーい!

 

ながーい文章を読んでくださり、ありがとうございました!

応援ありがとうございます!

崔真淑(さいますみ)

 

 

 

そのストックオプションをどう評価する?西松屋と静岡ガスの事例より/攻める良品計画VS攻めすぎたヤマダ電機!直近決算より/ガバナンス/メルマガ「さいますみのオイコノミクス」Premium! <グラフ集>vol.3

 

 みなさま、こんにちは!エコノミストの崔真淑です。

 今月は出張や急なMTG等々もありペースが掴めないことも多々ありました。しかし、新しいご縁にも恵まれた月でもあり、仕事も研究活動も充実して締めくくれそうな気配です。これも皆様の支えのおかげです。いつもありがとうございます!

 今回も、4月から始めたメルマガについて グラフ集をフリーで掲載していきます!具体的な解説は下記にもリンクがありますメルマガ「さいますみのオイコノミクス Premium!」に掲載しています。メルマガは、 更に一歩踏み込んだ形にし、テレビやラジオでお伝えしきれなかった経済解説を中心に記載しています。ビジネスや投資の現場で活かして頂けると幸いです。毎週木曜日発刊で、今晩が第三回目です!

 メルマガでは、博士後期課程で学び中のことをいかした内容も更に盛り込んでいます。4月19日号ではコーポレートガバナンスを機能させるための経営者報酬の枠組みの解説と、直近事例を用いて解説をしていきます。ここでの狙いは、みなさまに企業行動についての自分の意見をもって頂くことです。このメルマガが、そのきっかけになれば幸いです!

 その他では、直近の決算で気になった事例や株主優待に関する話ピックアップしています! なぜ、あまりなじみのない回転機関のグラフが重要なのかは、本メルマガに記載してあります。(注:グラフが全て日経バリューサーチで作ったものです。おススメ便利ツールです!)

 

foomii.com

 

 

 

良品計画の売上高及び利益率推移

 

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良品計画棚卸資産が意味するものは、、

 

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ヤマダ電機は株価年初来更新中だけど、、

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ヤマダ電機棚卸資産回転機関が右肩あがりだけど、、

 

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いつも応援ありがとうございます!

引き続き精進してまいります!

 

崔真淑(さいますみ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

需要牽引で物価が上昇している項目とは?メルマガ「さいますみのオイコノミクス」Premium! <グラフ集>vol.2 需要牽引型の物価上昇を見せるサービス業/役員報酬を決めるメカニズムからの教訓(米国役員の実証分析より)

 

 皆様、こんにちは。エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 いよいよ博士後期課程の授業が始まりました。第二回目のメルマガ(月864円。継続の場合初月無料。第二回目は4月11日に発刊です)では、誰もが気になる「報酬」決定のメカニズムについて実証分析を行った研究論文を用いながら、どうしたら報酬をあげられるか、また誰かの報酬を決める立場にある人の悩み解消、投資先企業の役員報酬の妥当性についてのヒントになったらと考えています。

 そして、もう一つは、物価です。メルマガでは、現状の消費者物価についてデータを扱う人やビジネスパーソンンに知ってほしい課題を記載しています。どんなバイアスがかかりやすいのかを解説しています。加えて、日経CNBC「昼エクスプレス~崔真淑のサイ視点」に出演して頂いたナウキャスト社CSOの広瀬健さんより許可を頂いて、同社が全国のPOSレジから抽出して作成した最新の物価動向のチャートを紹介します!

 

①為替と物価

広瀬さん曰く…

ドル円市場は昨今円高傾向が続いていますが、過去のパターンでみると12ヶ月程度のラグを伴ってCPIに効いてくる可能性があります。

 

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②項目別の物価について

広瀬さん曰く…

2017年中は概ね食品がインフレのけん引役、最近は外食サービスでも労働市場の逼迫や食品価格の上昇を受けて価格転嫁が進んでいます。一方で財やサービスは低迷していましたが、2月3月は携帯サービスが前年比でプラスになっている(ベース効果)ほか、宿泊料や海外旅行費等も伸びているため外食以外のサービス価格も伸びています。

 

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③需要牽引型の商品・サービスはあるのか?

広瀬さん曰く…

インバウンド等の外需効果で宿泊料が持続的に上昇しており、このトレンドは外需の堅調が続く限り持続する可能性が高いと見ています。

 

 

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以上になります!ぜひ、多くの経済学者が注目中の

ナウキャスト | 経済の”今”を伝えるビッグデータ解析ベンチャー

の動向に注目してみてください!

 

いつも、応援ありがとうございます!

感謝の気持ちを忘れず精進いたします!

崔真淑(さいますみ)

 

<告知4月から有料メルマガ「さいますみのオイコノミクス Premium!」の配信を開始します。>

このメルマガでは、リアルタイムに読者のみなさまのメールボックスに情報を届けられるメディアの特性を活かし、話題の内外経済事象や株式市場、企業の動向を学術と実務の視点で分析していきます!
みなさんが、ビジネスで応用できるよう、その事象のメカニズム(原因と結果)も徹底解説していく予定です。
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テレビ東京「Mプラス11」出演後記!なぜ、アナリストの株価予想は似てくるのか?~日経平均3万円円予想ラッシュから~

 皆様、こんにちは。エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。

 来週から、博士後期課程の授業が始まります!こうして仕事と研究活動の二足の草鞋生活ができるのも皆様のおかげです。卒業には当然ですが論文生産が必須。そのため、自身の研究分野に関連する論文をひたすらサーベイしようとしているのですが… なかなか進みません(汗)そこで、何かやる気がでる仕組みを作ろうと考えました! 

 サーベイした論文を、出演番組や皆様のビジネス・投資に関連する事柄と関連付けながらブログとメルマガで紹介しようというものです。論文生産は自分との闘いでしかないというのは承知しています。ですが、誰かのためになっていると思うと、モチベーションを高く維持できるんです。どうか宜しくお願い致します。

 そこで、今回は、メルマガ内容の、アナリストの株価予想に関する箇所の一部を紹介します!

 

*「なぜ、株価予想は似るのか?日経平均3万円予想ラッシュを振り返る」

 メルマガでは、「第2章 気になる論文&書籍からのビジネス・投資への教訓」という箇所で、上述したアナリストの株価予想の癖について示唆を与えてくれるだろう関連論文を紹介しています。

 このテーマに注目した理由は、自身の出演番組ではアナリストの株価予想が頻繁に出てくることや、それによって投資家行動が変化する様を日々見ているからです。そんな株式市場に影響を与える、アナリストの株価予想…。でも、そこには、ある強い傾向が日米の実証研究で報告されています。それは「株価予想が似る」ということです。でも、なんで似てくるのでしょうか…?

  そのヒントになるのが、下記の論文です!

 Scharfstein, D. S. and Stein,J, C,, 1990, "Herd Behavior and Investment," AmericanEconomic Review, 80:465-479,

 

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テレビ東京「Mプラス11」出演中の自身です!撮影は、Twitterフォロワーさんの関西人NEOさん

*株価予想について、自身の経験から思うこと

 投資をする際、アナリストや有識者の株価予想を参考にすることは少なくないと思います。そうしたアナリストの中には、的中率が非常に高い方もいれ
ば、そうでない方もいらっしゃるでしょう。
 自身は株価を当てに行くような芸はできません。リスク分散や不祥事が起きにくい企業の傾向分析など、下落リスクを小さくするための研究をさせて頂いてます(汗)。とはいえ、実は自身も投資銀行でアナリストをしている頃は株価予想を行い、日経平均株価予想も行っておりました。その経験で感じたのは、「外したら怖いな…」という恐怖心です。では、怖いと思うと、何が起きるでしょうか?
 それは、有名アナリストと近い予想をだしておけばいいさ!という誘因です。あくまで自身の経験ではありますが、実は多くの実証研究で、アナリスト
の株価予想が予想中央値に収斂する様が日米で報告されています。
もしかすると、自身のように外すのが怖くて、他者と似たような予想を出すアナリストは少なくないのかもしれません。では、もう少し突っ込んで、なぜ「外したら怖いな…」と感じるのでしょうか?

 

 

*論文は何を示しているの?

  この問へのヒントとして論文「Herd Behavior and Investment(横並び行動と投資)」を紹介しました。投資担当者やアナリストがどれだけ有能でも100%結果をだせるわけではありませんし、100%良い情報ばかりを手にできるわけではありません。そのため、労働市場、会社の評価、上司の評価は、その投資担当者やアナリストの能力だけで決まらず、他者との行動の類似性によって評価されると指摘しています。

 ざっくりと言ってしまえば、労働市場も会社も上司も、投資担当者やアナリストへの評価に非常に迷うことがあるので、他投資担当者や他アナリストとの相対的な比較で決めようとすると。なので投資担当者やアナリストは、みんなと同じような投資判断や予測を出しておけば、もしも大外ししたとしても、他の人も外しているし、しかたないよねということで、Reputationリスクを回避できるだろう。結果、自分の評価を大きく下げることはないというのです。そのため、投資担当者やアナリストにとって、他者を真似することが合理的になることがあるとベイズの定理を用いながら指摘しています。

 

日経平均三万円予想ラッシュを振り返ると…
 日経平均が上昇しだすと、一斉にアゲアゲ予想がでたり、下がりだしたらサゲサゲ予想が連鎖することがあります。これは、純粋にアナリストの能力や手に入れた情報だけに基づいて発信されているのでなく、もしものためのReputationリスクを回避したいからかもしれません。

 年初に日経平均3万円予想やTOPIX3000ポイント予想がラッシュのように出ました。昨年は20%上昇して日経平均は2万4千円をつけました。今年、3万円をつけるには、そこから30%近く上昇しないといけないだけに、少し突飛な予想に見えました。でも、予想の連鎖が起きているところをみると、もしかしたら上記のようなことが起きているかもしれませんね。

 

 メルマガでは上記の内容を、ポイントも抽出しながら紹介しています。その他には、決算分析や日々の博士後期課程での生活模様も紹介しています。

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崔真淑(さいますみ)