”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

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「女性活躍推進法案」は、日本だから効果がジワリでてくると思う理由

みなさまこんばんは!

 Good News and Companies代表で、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。

 8月28日に「女性活躍推進法」が成立しました。今回は、推進法の中身と、私たちの生活にどんな影響力を持つかを考えていきます。

 

Q1.そもそも「女性活躍推進法」では、どんなことが義務付けられているの?

 2016年4月からスタートします。中身は、従業員301人以上の企業・公的機関は、社員・役員の男女比率データや、女性登用のための行動計画の公表が求めらています。中小企業は、努力目標とされています。

 しかし、数値目標を法律で定めることは見送られました。また、法律に従わない場合は罰則規定はありません。(虚偽記載をした場合は罰則あり) 罰則規定も数値目標も定められていないので、女性活用への効力がないとの批判が出ているのも事実です。例えば、ノルウェー、ドイツでは上場企業の女性取締役比率が義務つけられたり、その他の欧米諸国でも義務付けはなくても目標値を定める国は多いですしね… 

 

Q2.ほんまに、女性活用に効き目あるん??

 ただ、私は日本だからこそ、効き目がじわり出てくるように思います。例えば、JPX日経400という株式市場のインデックスがあります。これは、日本の上場企業ROE(=株主等から投下された資本に対して、どれだけ収益を上げているかを見る指標)の改善や、投資家からみて魅力的とされる企業を増やすために、導入された指標です。

 この指標が導入された時も、その指標に組み込まれたいからって上場企業が、ほんまに頑張るとは思えんなー等々、いろんな意見が出てきました。しかし、ある機関投資家の方が「日本は恥の文化。嫌な目立ち方はしたくないはず。効果はあると思うよ」と、仰ってたんですね。結果、JPX日経400が導入されてから、ROEを意識した情報開示をする企業は増えているようです。私は、これと同じことが、「女性活躍推進法案」でも起きるのではないかと考えています。(もちろん、女性活用≒企業価値向上、ROE向上と必ずしもなるわけではないのは各研究から示されているので、まったく同じとは思っていませんよ。ここでは、恥の文化について言っているだけですよん。)

 

Q3.他にも同じような事例はあるの?

 上場企業の企業価値を高めるために制定された、コーポレートガバナンス・コード(上場企業の企業統治に関する上場規則)も、法的拘束力はありません。しかし、Comply or Explain=実施するか、実施しない場合は説明せよという原則に基づいており、嫌な目立ち方を嫌ってか、ほとんどの上場企業が受け入れています。実際、コード発足1ヶ月後の実施状況を見ると、東証一部・二部企業では30社ほどしか実施しない説明をしているに留まっています。

(もちろん、このコードの中身に対しても、いろいろ言われてはいるようですが…)

 

Q4.で、今の女性の就労率ってどうなの?

 ということで、恥の文化を意識して女性活用は進むような気がします。同業界の同規模の企業が、積極女性登用をしていたら追随せざるおえないような空気が流れてくるかと思われます。情報開示、目標設定に積極的な場合は、事業入札でも優遇措置をとるようですしね。

 アベノミクスは始まってから、女性の就労率は右肩上りが続いています。ただし、実態は非正規雇用の増加していることや、賃金面での格差が大きいのも事実。他国に比べて、就労率は低いのも事実。(実は、アメリカは右肩さがりで、数字だけをみると日本と同水準なんですね。

 女性の就労環境については、9月一回目の日経CNBC「崔真淑のお金に好かれる働き女子学」で、働き女子先進国の現状に迫ります!こちらもよろしくです!

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(制作:日経CNBC「崔真淑のお金に好かれる働き女子学」制作メンバー、日経映像、テイクワン)

 

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崔真淑/さいますみ