”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

日銀のリスク資産のBS、PL上の評価方法~金融政策は新たな財政政策になっちゃう!?~

みなさまこんばんは!Good News and Companiesのさいますみ/崔真淑です。今日も、ラジオNIKKEI”さいますみのマーケットライブ”でお話ししきれなかったことを記していきます。

 

*各国の金融緩和の行方は?

このところ、米金融政策を巡っては資本市場も落ち着いてきたように思います。一方で、国内金融政策を巡っては話題がちらほら…

最近の日銀審議員の発言だけでなく黒田総裁からも、2年で物価2%は野心的との発言もあるぐらい。金融緩和の追加タイミングで可能性が大きいのは、消費税率引き上げや、財政政策の効果が縮小し、景気が一旦失速する2014年4月以降ぐらいと言われています。この時期は、皆様がご存知の通り、アメリカでのQE減額開始のタイミングと重なる可能性もあり、一層のドル高・円安が進むかもしれません。

こんな動きを、現在の資本市場は先取りして急速に円安方向に動いているのかもしれません。

 

*どんな追加緩和策がありえるのか?

長期国債の買入はもちろんですが、ETFやREITのリスク資産の購入も積極的に行うと予想しています。理由は、長期国債買い入れだけでは現在の日本経済への影響力に物足りなさがどうしても出てくるからです。長期金利を低下させて実質金利<期待成長率(期待インフレ率等)に仕向けて、景気へのインパクトの多きい企業の設備投資を促そうと日銀はしているわけです。しかし、皆様ご存知の通り、不況によって、企業は内部留保や現金を蓄えてきました。借金をしてでも投資をしようというところには、全体的にはまだ至っていません。ただ、金利低下、そしてETF購入による株高は私たちの心を大きく改善させました(詳しく知りたい方はマインド指標の景気ウォッチャー調査を検索してみてください。日経平均と見事にリンクしています)引き続きリスク資産を購入することを日銀は選択し、物価上昇に弾みを付けたいと考えるのではないでしょうか。

 

*でも大丈夫なの?BS、PLはどうなる?評価方法は?

でも、中央銀行はリスク資産を買いまくるってどうなんでしょうか?日銀が保有する資産が価格下落等で劣化しリスクが増大→日銀だけでなく円に対する「信認」が低下するといった懸念も中長期的にはありえるのではないでしょうか。

でも、国債だって資産価格が低下したらまずいじゃん、今も十分にリスク高いことしてるんじゃないの?と思いますよね。でも、国債買い取りとETF買い取りではBS、PLへの計上方法が全く違うので、リスクの表面化に違いがあるのです。

①国債(評価方法:移動平均法による償却原価法

日銀の会計規定上、保有国債については、リスク性資産の場合とは異なり、時価が著しく下落しても減損処理は必要ないです(もちろん例外あり)。つまり、金利が急上昇しても、日銀は保有国債の評価損は表に計上しなくていいのです。リスクが表面化しにくいのです。

 

 

②ETF,REIT(評価方法:移動平均法による原価法で、取得原価で評価)

国債保有とは異なり、価格が著しい下落を示した場合には減損処理が必要です。これにより、日銀のPLは悪化、その分国庫への納付金が減少します。結果、財政資金で日銀からの納付金減少分を間接的に補填する必要が生じる可能性も。なんだか、政府がリスク資産を購入しているのと変わりない展開になっていきそうですね。つまり、金融政策が財政政策化=金融政策という国会審議という煩わしさなくして財政政策を行っている姿になっているような…

2013~14年度の両年度にかけ、新規財源債の8割方を市場から吸収することを確約していますし、中期的には日米金融緩和の差から円安でしょうが、その先の未来には悪い円安は無いとはいえないようです。

 

 

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さいますみ/崔真淑