”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

米経済が良い=米債券利回り上昇と考えるのはちと早い!?

みなさまこんにちは!

Good News and Companiesのさいますみ/崔真淑です!

今日もラジオNIKKEI ”さいますみのマーケットライブ"でお伝えしきれなかったことを記していきます!

 

*ドル資金の流れが変わったって本当?

今日は、このところ米経済指標が良好な結果でも、QE縮小→ドル債利回り上昇→ドル買といった流れと逆の動きになっています。これはずっと続くのでしょうか?結論からいくと短期で終わると私は考えています。しかし、以前の勢いでドルがまた買い一辺倒にもなりにくいと予想しています。

 

理由は、ドル資産だけ10月末からあまりに買われすぎていたからです。 米株式市場は10月末から約400億ドルも時価総額が増えていました。一方で日本は約30億ドルぽっち、欧州に至ってはそれより少ない金額です。(出所:バークレイズ証券)

結果、クリスマス休暇という多くの投資家が、トレード休眠状態になる前に一旦は利益確定売りをしたかっただけなのかなと。米ドル絡みの株、通貨を売却したかったと思います。そして、現状の米経済動向を考えると、この利食いラッシュが終わった後は、中長期的に再び米資産に買いが集まると考えています。

 

*長期でみたらドルは買いだけど、短期的には買いにくい理由も存在

た・だ・し…米経済が良くても、短期的には米債利回り上昇&ドル買は進みにくいと考えています。

理由①:FEDのフォワードガイダンスが成功しつつあるから

フォワードガイダンスとは、中央銀行が金融政策の先行きを明示する指針のこと。現在のFEDは政策金利を据え置く期間(緩和の時期)を示唆したり、将来の政策変更の条件(失業率)を設けています。そして、QE緩和縮小と利上げを別物にすることを市場に訴えており、成功し始めているからです。実際、米経済指標が良好でも米債利回りが高止まり傾向にあります。なので、今晩の雇用統計がよくても、どんとドルが買い戻されない可能性があります。 

安心してドルが買える時期となると、日本が消費増税前に追加緩和をするぞ!との思惑が、資本市場で明確になることが必須と考えています。

 

 

理由②バーナンキ氏の10月9日の講演より

この講演で、バーナンキ議長はフォワードガイダンスと、金融政策の透明性についてお話しをしています。生原稿はこちら→ http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20131119a.htm

注目すべきは、フォワードガイダンスとして導入している失業率目標についてです。

彼は失業率はあくまで閾値であり、QE縮小のトリガーでないと。そして彼自身は最近の失業率動向は経済状況だけでなく人口動態(人口高齢化)の影響をはらんでいることを指摘します。

 

ここから考えられるのは、現行のFEDの失業率目標を場合によっては変更してくるかもしれないということです。今のFEDはBS上のことを考えてもQE縮小はとにかく早く行いたいはず。それを行って米債利回りが上昇することを阻止するために理由①を行っています。しかし、①はあくまで口先金融政策ですから、長期的には限界がくることもありえます。結果、もっとインパクトの大きい、低金利を維持するための政策をFEDがとる可能性は小さくないなと。

金融市場環境の引き締まり抑制を考えて、FEDが失業率基準の引き下げで市場に牽制をしてくることを用心したほうが良いとおもいます。実際、FRBの最近の論文も失業率の基準引き下げを提案している物が2つほどでています。

 

以上より、①によって短期的にはドル買が抑制される可能性。そして、日本要因で相対的にドルが買われても、②が起こるリスクにも目を配る必要があると思っています。

 

今日も読んで頂きありがとうございます!

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さいますみ/崔真淑