”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

財政赤字解消で儲ける仕組みとは!?@NHKEテレ「ニッポンのジレンマ」にて

みなさま今晩は!

Good News and Companiesの崔真淑/さいますみです!

今日は、NHKEテレ「ニッポンのジレンマ」の収録に行ってきました。貴重な機会に恵まれるのも、みなさまのおかげです。いつも本当にありがとうございます!

 

*私が「ニッポンのジレンマ」で一番伝えたかったことは…

初めてだらけで緊張しっぱなしでしたが、出演者の皆様に助けて頂いてこともあり、無事に収録を終わることができました。こんな感じで紹介して頂いてます

f:id:saimasumi:20150208222050p:plain(出所)NHKホームページ

テーマは「資本主義のジレンマ」ということもあり、議論は白熱。1H番組の収録なのに、4H(!)収録しました。アカデミック分野の先生方から勉強させられることばかりでした。

f:id:saimasumi:20150208222332j:plain(出所)ニッポンのジレンマFBページより

しかし、初出演ということもありド緊張…。

私の使命は、資本市場の社会的意義を伝えること。社会問題解決と資本市場の繋がりについて一番伝えたかったけど、出し切れたかというと、うーん…という感じ。特に、国、地方自治体の財政赤字解決で儲ける仕組みが、資本市場の中で出てきていることを強く伝えったかったのですが出来ず。。そこで改めてブログで紹介させてください!

 

国、地方自治体の財政赤字を解消することで儲けられる仕組みとは?

みなさまは、「ソーシャルインパクトボンド」という金融商品を耳にしたことはありますか?これは、社会問題を解決した結果を金銭価値で評価し直し、そのリターンを金銭で受け取る仕組みです。実際に発行したNY市の例を見てみましょう。

NY市は、財政状況が厳しく刑務所の維持管理コストを抑えようと考えました。そのためには受刑者の再犯率を低下させるのが有効です。しかし、NY市は、刑務所に再犯率防止プログラムを実施しようにも、新たに財政を出動させる余裕がありません。ただ、そのままにしていても刑務所コストが増えるだけ…そこで財政ありきでなく、投資家からお金を調達するために出てきたのが、この金融商品です!

 

仕組みはシンプルです。

NY市が960万ドルの債券を発行します。

②この債券をゴールドマンサックスが960万ドルで購入

③更生プログラムを実施するNPO法人にゴールドマンサックス(以下GS)が委託

④第三者機関が、このプログラムによって再犯率が低下したかを計測

⑤実際に再犯率と刑務所コストが低下する

⑥浮いた刑務所コストをNY市が金利として元本に上乗せして、GSに返済

(⑤で再犯率が低下しない場合は、GSの購入元本は毀損します。毀損金額を限定するために、今回はブルームバーグ財団の寄付も使われています)

という流れになっています。いくら財政出動を浮かせたかによってリターンが決まるという仕組みです。

 

*なぜ金融商品にするのですか?

金融商品にすると、資本市場で流通する可能性がでてきます。資本市場は、リスクも取れる!おカネもある!という主体から、アイディアはある!でも、おカネがない!という人をマッチングさせるのに非常に有効な場所です。

財政難の公国や地方自治体、運用先に困っている投資家、社会的問題解決を求める、3つの主体がマッチングしやすくなる可能性がでてくるのです!

 

*課題は…?

上記の債券は2013年に、起債されました。それぐらい新しい金融商品です。なので、どの程度のリスク、リターンがあるのかのトラックレコードがありません。

結果、投資家が投資を躊躇することに。セカンダリーマーケットもないので、いつでも手放せるわけではありません。新しすぎるだけに、課題は山ほどあります。

 

でも、課題と財政赤字ならば、他先進国に負けないニッポンでは取り組みがいのある金融商品だと思いませんか?

 

今日も読んで頂きありがとうございます!

引き続きよろしくお願いします!

 

さいますみ