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”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

4月から新しいスタートを切りました!そこで、コーポレートガバナンスについてウーマンエコノミスト目線で考えてみた。

 みなさま、こんばんは!グッド・ニュースアンドカンパニーズ代表で、マクロエコノミストの崔真淑/さいますみです。おかげさまで、2016年も活発に活動させて頂いてます。今回は、4月から新しいスタートを切った御報告と、それに関してコーポレートガバナンスについてウーマンエコノミスト目線としての問題意識を記していきます!

 

Q1 で、4月からの新しいスタートとは?

 実は、4月から化粧品会社AVONの社外取締役に就任しました。何かとコーポレートガバナンスが話題になる昨今です。AVONの企業価値向上のためのアドバイザー機能としても、資本市場の貢献のためのガバナンス機能としても精進していきます。貴重な機会に恵まれたことに感謝です!

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 AVONの企業理念は”the company for women”。自分の可能性を信じ、前向きに生きる女性を応援していくことです。この4月から女性活躍推進法が施行され、日本の働く女性の環境整備が更に必要になっています。働く女性としての等身大の経験と、これまで培ってきた経済学・ファイナンスの学びを活かしコーポレートガバナンスの観点からも頑張ります。

 

Q2 って、そもそもコーポレートガバナンスって、なに?

 今年に入ってからも、コーポレートガバナンスという言葉を沢山聞きますよね。7&iHDの話はもちろん、東芝、クックパッド…etc。そもそも、コーポレートガバナンスとは何であり、なぜ必要なのでしょうか?

 ビジネスにおいて画期的な仕組みといえば、株式会社です。これにより、アイディアはある!でもお金はない!という主体と、お金はある!でもアイディアはない!という主体を結びつけることを実現しました。つまり、株式会社=経営と所有(出資者)の分離を可能にし、ビジネス運営のリスク分散を可能にしました。結果、社会の発展に大きく寄与したのです。でも、何かを得れば何かを失います。欠陥もあったのです。

 経営者と出資者を分離したことで、出資者が意図しないところで経営者が自己利益のためだけに行動しかねないリスクがでてきたのです。そこで、出資者が経営者を監視する仕組みとしてコーポレートガバナンス企業統治)の仕組みを改めて制度化し、資本市場の活性化に繋げようとしているのが、今の日本です。
 
Q3 ふーん。で、それをウーマンエコノミスト目線でどう考えているの?

 この3月に修士論文を書き上げ、一橋大学大学院ICS(MBA in Finance)を無事に修了しました。論文のテーマは、女性社外取締役コーポレートガバナンス企業価値の関係です。論文を書こうと考えるきっかけになった問題意識を、ここに記しておきます。

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(写真は、同じゼミ生のみんなと。先生と同級生のサポートのおかげで無事に修了!)

  コーポレートガバナンス強化として、経営者と出資者の分離による影響を監視するために、社外取締役の導入が国から促されています。一方で、上述したように4月から女性活躍推進法がスタートしたことで女性取締役の導入も、国から促されています。日本の女性取締役比率は、先進国の中でも非常に低い水準です。

 今後は、企業側が、この二つを満たすために女性社外取締役の導入を進めていく可能性があります。しかし、それって企業側にとってはメリットだけなのだろうか?変革の中で、思わぬことも出てくるんじゃないか?等々、思ったわけです。

 メディアを見渡すと、女性取締役と企業価値の関係はポジティブな報道が多いです。それに、女性登用を進める会社はイイ会社的な風潮も無きにしもあらず。そうした流ればかりが続けば、女性登用を進めたことで想定外のことが起きた時に、社会や職場の多様性推進にストップが出かねないと感じたのです。客観的に、どんなメリット・デメリットがあるかを分析して、それを伝えたいというのが私の課題意識でした。

 

Q4 で、女性取締役と企業価値に何か関係はありそうなの?

 論文を書くには、先行研究サーベイが必須。各国の関連論文を集めてみると…

 女性取締役と企業価値には、明確な理論は見当たりませんでした。資源依存理論、エージェンシー理論…いろんな立脚点から女性取締役と企業価値について沢山の実証研究がなされてきました。しかし、その結果は、業種・国・文化・時代…によって様々であり、女性取締役導入=企業価値アップは、常に成立しうるものではありませんでした。

 女性取締役の数と、ROAROEに正の相関があるグラフを見たことがある人は少なくないと思います。でも、それらは計量経済学的な手法を用いて、業種・国・文化・時代といった要因を取り除かずに分析された結果である物が多いと思われます。

 その他には、ちょっと衝撃的な論文も存在します。企業価値の代理変数としてROAと女性役員・管理職の多さの関係を分析している論文がありました。それによると、日本の製造業においては、ROAと女性役員・管理職の多さは正の相関を見せていました。でも、要因を分解してみると…女性雇用促進による人件費節約効果がROAに効いている可能性を示しており。。

 日本の女性は男性に比べて平均賃金が低い傾向にあります。これは、欧米先進国でも見られる傾向でもあります。いろいろ考えさせれます。。

 

Q5 一方、女性取締役とコーポレートガバナンスには何か関係はありそうなの?

 こちらも明確にこうです!という理論は見当たりません。でも、非常に興味深く、肌感覚でも納得しやすい論文を紹介させてください。

 Adams and Ferreira(2009)は、1996年~2003年のS&P1500に採用されている 企業を対象に、女性取締役とコーポレートガバナンスの関係を分析しています。この論文では、高齢の男性だけの取締役会をold boys clubと揶揄しています。

 というのも、男性同士だとつるみやすいし、モノが言える雰囲気が作りにくいんじゃないの?ってことを暗に示しているんですね。(もちろん必ずしもいう場合ばかりじゃないと思いますよ!)そこに女性取締役が入ることで、異性だからこそ言いやすい場面や影響が存在しても不思議ではないのでは?という仮説があるわけです。

 そこで、取締役出席率や社長任期年数をコーポレートガバナンスの代理変数として分析しています。結果は、女性は高齢男性中心の取締役会=old boys clubに染まりにくく、存在その物が「独立性」を有し、モニタリング機能を果たしているといる可能性を報告していました。

 まとめてみると、女性取締役だからこその企業価値コーポレートガバナンスへの影響ってのは、メリットだけじゃないだろうけど、でも機能しやすい場面は確実に存在すってことですね。

 

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(写真はAVONの皆様と!素敵な方ばかりで、頑張るぞ!という気持ちになれました!皆さま、ありがとうございます!)

 

私も、経営層の方々に的確に発言できるよう頑張ります!一次情報は宝の山ですし、積極的に行動していく予定です。

なが~いブログを読んでくださり、ありがとうございます!

引き続きよろしくお願いいたします!

 

崔真淑/さいますみ