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”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

AIは人間と代替可能になり、仕事が奪われるー!という前提について思うこと。

 みなさま、こんにちは!

 おかげさまで、講演、イベント、某局地上波…と、様々な場所で活動をさせてもらってます。本当にありがとうございます!

 こうした活動のなかで、必ずと言っていいほど聞かれるテーマがあります。それは、AI(人工知能)の経済・雇用への影響です。今回は、AIが仕事を奪う!という論調に対して、私が思うことを徒然にまとめさせてもらいます。

 

*IBM7-9月決算の衝撃

 現在は、アメリカ企業の決算発表シーズンです。昨晩、IBMが発表を行いました。第三四半期の7-9月期は売上高は192億ドルと、前年比0.2%減でした。しかし、18四半期連続で低迷していた業績が回復の兆しが出ています。

 牽引したのは、クラウド事業、人工知能プラットフォームWatsonです。売上高の約半分がこの事業が牽引し、前年比二桁の伸びという結果に…。大企業が、この伸びを持つってすごいですよね…

 IBMは完全なソフト会社として進んでおり、ここまでAI関連事業が急速に広がっているのに改めて驚きでした。以下のCEO発言が、それを物語っています。

Whether it is banks implementing IBM blockchain solutions, hospitals leveraging Watson to fight cancer, or retailers using cognitive apps built on the IBM Cloud to transform the customer experience, clients across all industries are tapping into a new kind of innovation value from IBM.

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(写真はWIKIPEDIAより。IBMのWatson)

 

*AIに人間の仕事が奪われるという前提に、思うこと…

 FT記事によるとIBM側は2017年も、上記事業部で同様の伸びを予想していると…。

これだけAI事業が伸びると毎度の如く、『私の仕事が…』という話が振られます。

 はい。私も不安です。しかし、AIに仕事が奪われるという話だけでなく、補完されることで生産性、雇用、収入が増え、更にはマクロ経済におけるTFPにどう影響するかをもっと議論すべきと思っています。 

 更には、AIと人間を代用可能なものと見がちですが、これは違うと思います。これは、一方のコストが上がれば、もう一方に置き換えればいいという前提に立っていると思うからです。

 これが通用するのは今日も明日も…ずっと先の仕事も同じように広がり、同じようにコストが掛かるという前提の静的な世界ならば成立します。でも、んなわけない!

 

*AIと人間の代替性は、時代によって変化する

 例えば、証券営業について考えてみたいと思います。最近では、ロボアドが主流になりつありますが、それをネット経由で活用できるのは、投資に既に一歩踏み込める層だったり、経験者です。

 でも、売上高を伸ばすには新規の顧客獲得が必要なわけです。データでアプローチすべき最適な層が算出されます。そうした層にアプローチする速度は上がるでしょう。しかし、まずは「なぜ投資なのか?」を考える場を提供し、更には人間味を活かした顧客獲得が必要に…

 新規顧客を獲得する場面では人間力が要になることが多いだろうし、既存顧客がメインならば掛かるコストも前者と違うはずです。

 つまり、AIと人間の代替性って時代やトレンドによって変化すると予想されるし、コストが見合わない場面ではAIと人間が完全に代替することもないと思うんですよね。

 例えばAI的には顧客対象としてアウトでも、実はものすごい大富豪を顧客として取り逃がすことだってあるかもしれません。なーんていう異常値を発見するために分析コストをかけるより、人間を使った方が合理的かもしれません。でも、そんなことあるんかいな!と思いきや…

 

 アメリカでは、公務員からフリーになった前FRBバーナンキ議長を融資対象として、銀行がアウトにしたことが話題になりました。億単位の講演、執筆依頼のオファーがあったのにです。でも、これを人間が終始どこかで対応していたらどうなっていたでしょうか…。 

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(注:完全にAIが人間の仕事を奪いマクロにAIによる雇用の影響は、別の機会に議論させてください。また、人間の感情も真似でき、ほぼ人間と言えるロボットが登場することは前提にせずに書いてます。)

 

*これからの経営陣に必要なもの…

 上記のことをまとめると、これからの経営陣に必要なスキルは、AIと人間の代替性がどのポイントまでは有効で、どのポイントからはコストがかかるのか。更には、その視点を活かすために、異常値を見つけた時対応と、常にAI君に合理的に働いてもらうための正しい問いを出し続けることが必要なのかなと思います。

 エイボン社外取締役として、半年が経過しましたが、こうした視点も考えながら経営参画していきたいところです!

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長い文章を読んで下さり、ありがとうございます!

そして、いつもありがとうございます!引き続き精進します!

 

崔真淑/Masumi Sai