”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

2018年初出張先「久留米市」を振り返る!今年は、「温故知新」の精神を忘れないよう精進します。

 みなさま!こんばんは。

 皆様の支えのおかげで、無事に年も越せました。2018年も引き続きよろしくお願い致します。新年第一回目の出張は、福岡県久留米市でした。市の職員の方々に向けて、今の経済の課題や考えられる対策等について講演をさせて頂きました。貴重な機会に感謝です!今回は、その講演での学びを振り返りつつ、自身の2018年の目標を記していきます。皆様の何かのヒントになれば幸いです。

 

久留米市は、どんな地域なのか?

 自身の久留米市のイメージは、とにかく有名人が多い!ということです。例えば、久留米市にご縁があられるだろう孫正義さん、ホリエモンエコノミストの大先輩である安達誠司さん、芸能人では松田聖子さん、田中麗奈さん…とにかく有名人が多い!人口が30万人程の町で何が起きているんだ!という謎が、頭をぐるぐると巡っておりました。職員の方に、「なぜ?とを率直に伺ったところ…

 

「うーん!自由な意見を受け入れる風土があるからじゃないですかね!」

 

とのこと。野村総研の「国内100都市を対象にした成長可能性ランキング」 をみても、そうした雰囲気が伝わってきます。このランキングに久留米市はTOP10入りをしていますが、その理由は多様性を受け入れる風土があり、事業創出やイノベーションを生み出す風土があるからと!

 実際、講演をさせて頂いて驚いたのは、質疑応答の時間に質問を沢山してくださったり、聴いてくださっている姿勢も前のめり!!うれしくて、こちらも熱が入る講演となりました。もちろん、この講演に参加してくれた久留米市職員の方々が、熱意のある方というサンプルバイアスはあると思います。でも、様々な場所で講演をさせていただくと、質問がない場合が多いんです。そういう意味でも、久留米市の風土を感じる90分間でした!

 

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久留米市総務部の皆様と控室にて!温かく迎えてくださったことに感謝です!)

 

ちなみに、久留米市は豚骨ラーメン発祥の地でもあります!帰りは、もちろんご当地ラーメンを!まろやかさと濃さが絶妙すぎて、スープをほぼ飲み干してしまいました(汗)写真を見ると、また食べたくなって口の中が…

 

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(現地の方からも人気の来雷軒で頂きました!味も値段も最高!)

 

*その講演からの学びとは?

 多様性を受け入れる風土がある久留米市での学び…。それは、「温故知新」の精神を忘れちゃいけないということかなと。というのも、多様性を受け入れ、イノベーションを起こすには、昔はよかった~あの頃は~なんていう暇はないはず。過去と現在の相違から新しい知見を得よう!という姿勢が重要と思うのです。

 講演では、地方税の減収対策のためにEUの民間企業への取り組みや、企業と女性活躍の関連性等々、とにかく現在の課題をクリアするために過去との相違に着目する質問を多く頂きました。そういう方々が市の職員をされていることも、先ほどのランキング上位にある要因なのかもしれませんね。

 

*温故知新の精神で日常を過ごすために…

 温故知新の精神を忘れずに、日常業務や研究活動を行う2018年にしたいです。そして、わーーこれぞ、温故知新だ!と感じる論文があったので、こちらも紹介しておきたいです。もちろん論文を書くこと自体がそもそも温故知新なのですが、すごくわかりやすくその雰囲気が漂っている論文なので紹介しています。これは、コーポレートファイナス分野研究(企業の財務活動の意思決定に関する研究)の論文です。

 

 Lemmon, M. L., Roberts, M. R., and Zender, J. F., 2008, " Back to the Beginning:              Persistence and the Cross-Section of Corporate Capital Structure",  The         

         Journal of Finance, 63 (4), 1575–1608.

 

 この論文では、企業の資本構成(財務レバレッジ等)には、どんな意思決定メカニズムが影響しているかを分析しています。もちろんそういう論文は多数存在しますし、そのメカニズムを説明するための既存理論も多数存在します。

 しかし、この論文では過去に蓄積された既存理論での企業の資本個性からの説明力は23%程度しかないことをデータで示しています。更には、企業固定効果を加えると、その説明力は60%にまで跳ね上がることを明らかにしています。つまり、過去の既存理論に敬意を払いつつ、現代社会では既存理論から得られる説明力は実は限定的と批判したうえで、どうしたらそのメカニズムを更に解明できるかをパネルデータから示して新しい知見を世の中に提供しているのです。

 既存理論以上に、企業固定効果と考えられる企業特有要因が財務活動の決定に重要な影響を及ぼしている可能性を示しているのです。じゃあ、企業特有要因って…?これは、自身の研究課題なので、進捗はまた後日♪ 

 論文だけでなく、日常のメディアや情報源に対しても、敬意をはらいつつ、何がこの中では明示されていないのか、何が解決できていないのかという批判の精神を併せ持ち、自身には社会に対して何を貢献することができるのかを忘れずに今年も精進します!

 2018年は、アウトプットによる社会や皆様への恩返しの年にしたいです。ということで、今年の目標は

①論文を2本書くぞ!

②本を1冊書くぞ!!!

③①のアウトプットを英語プレゼンで映像にする!

書いて書いて描いて喋る一年にして、社会に人に恩返しできよう精進や!

 

いつも応援ありがとうございます。

2018年も、皆様にとって更に素敵な一年になりますように!

 

崔真淑(さいますみ)