”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

NHK大阪「かんさい元気印 ”美”の底力スペシャル」出演を振り返る!~「美」に価値がつくメカニズムについて考えてみた~

 みなさま、こんばんは!

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。もう6月ですね!今年1月に立てたマイマニフェストを実行すべく行動中の自身ですが、なかなか進まず四苦八苦しています。4月から博士後期課程に入学したのですが、研究活動のバランスの取り方に苦戦しています。本当に自身は無知だし、勉強も根性も足りないと痛感する日々です。しかし、皆様の支え、寛容なお師匠さん、そして仕事関係者の方々の応援のおかげで、前向きに日々精進させて頂いてます。

 

*全てのプロダクツには「やさしさ」が根底にある

 今回は、そんな仕事関係者の方々から得た学びを記していきます。5月25日、6月2日に放映されたNHK「かんさい元気印 ”美”の底力スペシシャル」に出演させて頂きました。関西が誇る「美」の資源についてVTRやトークを交えて、その可能性について探るという内容です。学生時代を神戸市で過ごした自身としては、関西レジェンドのスタジオゲストの方々と共演させて頂けたことや、まだまだ知らない関西の魅力を知る機会になり本当に貴重な機会になりました!感謝です。

 特に印象的だったのが、関西の顔でもある「なるみさん」の一言。関西の「美」にまつわる資源、それを継承する仕組み等々のVTR放映後に”やさしさ”が根底にあるんやね」と仰ってたんですね。番組では歴史的建造物、商品、継承の仕組み等が紹介されており、それら全てに共通するのは誰かの悩みや課題を解決したいという思いがあったんです。詳しくは、放送を見た方に聴いてみてください!

 

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(番組ポスターです!自身も登場させて頂けて、本当にすごーく嬉しいです!貴重な機会に感謝です!)

 

 

*なぜ「美」に感動するのか?

 そして、エコノミストとして番組中に感じたのは、「そもそも、なんで美しい物に人間は感動するのか?」ということです。この問いに対する答えは、脳科学や哲学、いろんなアプローチ方法があると思います。経済学的に考えるならば、「希少性」が、あるのも理由の一つでしょう。「美しい!」と感じる瞬間、そこには一瞬の感動が生じます。なぜ感動するかといえば、滅多にみない珍しくて希少な物であるから。もちろん、これは感動するための必要条件でしかありませんし、あくまで自身の考えです。

 番組では、歴史を重ねたからこそ醸し出される建造物、凡人には達成できないような細工がなされた品物、天才だからこその超集中力が生み出した美術品、他企業が行えないようなプロダクツ…全て、滅多にお目に掛かれないという希少なものばかりです。世の中にただ、一つ!という物が多数出てきました。

(ちなみに、経済学は世の中の資源は有限=希少性があるからこそ、その資源をどう分配するかを、マクロ、ミクロで課題解決するためにあります)

 

www.nhk.or.jp(番組紹介VTRです!)

 

*では「美」に価値が付くとは?

 次に、そんな希少性のあるものに価値があると認識されるのは、どんなメカニズムが働いているのかも気になりました。世の中には、そんな希少性のあるものは多数あります。そんな多数あるなかで、わざわざそれを選ぶ理由はなんなのか…。全ての「美」に関するものについて情報を集めるにしても限界があります。これは、単に認知度が高いかどうかだけで片づけられる話なのでしょうか?ここには、自身の研究分野に関連するメカニズムも働いているように思うのです。

 それは合理的群衆行動と言われる「social learning」「information cascadeというメカニズムです。これは、自分が得た情報やシグナルに関係なく、他人の行動を真似する行為です。例えば、ある対象物に、限られた予算から「これは時間やお金を割いてでも見に行くべき価値がある観光地だ!」「大枚はたいても買う価値のあるアート作品だ!」と感じているとします。しかし、大多数の人がそれでなく、違う類似物に価値を感じているという様を見ます。その結果、当初に予算を割こうとしていた物でなく、大多数の人が選択している類似物に予算を割くことになる現象をさします。こうした群衆行動も逆手にとるような強かさも、「美」に価値をつけるには必要なのかなとも思ったわけです。

 下記の記事では、東京画廊社長の山本豊津氏のアートについての解説がされています。ここには、フランスが美術品を公開する理由と、ルーブル美術館が如何に革新的だったかが記載されています。

 

ルーブル美術館が革新的なのは、王室が集めた美術品を、たくさんの人に公開したことです。それまでは数十人の王族どうしの間で「これは素敵だね」と言っていただけ。でも、数十人よりも大勢の人が「素敵だね」と評価するほうが、価値が上がると思いませんか。
(中略)
──多くの人が見れば見るほど価値が生まれるという考え方は、近代に出てきたものだと。フランス革命が美術館と深いつながりがあったとは、驚きました。ナポレオンは、美術品を多くの人に見せることの効果を見抜いていたのでしょうか。

 

newspicks.com

 

 

 多くの人が見れば見るほど価値が生まれるという考え方は、面白いですよね。しかし、美術品を見た民衆すべてが、それがいかに希少性があり価値があったかをジャッジできる能力や情報を持ちえたとは思えません。もしかしたら、ナポレオンや、ルーブル美術館の運営者は、「social learning」「information cascadeという現象を直感的に理解しており、王族という目利きができる人たちが集めた美術品だよ!という情報があるからこそ、民衆間に価値があるらしいよ!という情報連鎖を期待していたのかなと思うのです。

 関西は本当に魅力的な地域なので、こうした情報連鎖のきっかけになるような海外の有識者の訪問や、更にオープンに関西の宝物を閲覧できる機会や美術館(海外のような低料金で)が出来たらいいのになと思ったり。関西の魅力は、地域で美の様式も、人の魅力も全然違うところにもあると思います。ぜひ一度はいってみてくださーい!

 

ながーい文章を読んでくださり、ありがとうございました!

応援ありがとうございます!

崔真淑(さいますみ)