”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

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あらゆる「選挙」に「合理的無関心」は起きている!?〜首都大学東京講演を振り返り〜

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みなさま、こんばんは。
エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。一足先に七草粥でまだ新年モードの自身です。

 

そんな新年に入り、よく耳にするニュースが「選挙」の話です。今年は、春は統一地方選、夏には参院選と選挙が多く、各党の話が話題になりつつあるようです。実は、自身の学術研究は「選挙」のメカニズムが深く関わっています。自身が研究対象にしているのは「選挙」といっても株主議決権を巡る投票です。しかし、「選挙」の対象が政治でないにしても、共通点はいくつかあるようなんです!

 

それは、「なぜ株主に積極的に議決権投票をさせるのは難しいのか?」と、「なぜ私達は積極的に政治投票を行うことが少ないのか?」です。

 

今回は、その株主議決権行使の「選挙」に関する研究をベースに、多くの「選挙」に共通して起こりかねない話を記していきます。昨年末に、首都大学東京でも関連テーマについて講演をさせて頂いたので、そこでの話も盛り込んでいきます。ちなみに、写真は講演に来てくださった先生や先輩達と、そして紹介サイトのです。

(注意:もちろん積極的に政治に関心を持ち投票率の高い地域は存在します。ここでは平均的に投票率が低下傾向が多く見られることや報道から上記の表現をしています。)

 

 

*株主議決権行使での「選挙」の課題

首都大では、なぜ社外取締役という経営者が不祥事を起こさないように見張るためのポストができたのかについてお話ししました。
本来は、当該企業の保有者である株主が、当該企業の経営者に対して、議決権行使を適正に行えばいいのです。経営者が企業価値を損なわせるような経営をしようものなら、議決権行使という経営者への「選挙」で、経営者を再任させなければいいのです。でも、それがなかなか出来ないんです。なぜでしょう?

上場企業のように株主が多数存在して、株主所有権が分散し、更には自由に株を売却できる企業だと起こりがちな課題が影響しているのです。それは、

 

「合理的無関心」というものです。

 

例えば、当該企業の株主が必死に企業のことを調べて議決権を投票していても、株主が多数いることから支配権も経営者退陣権も握れないとします。となると、時間コストをかけて投票したわりには、株主へのリターンは小さいわけです。となると、コスト以上のリターンがないなら、もう投票しないか、誰かの真似(経済学ではフリーライド問題という)をして投票しようという行為が起きうるのです。見返りが見えにくいからこそ、合理的に無関心になろうということなんです。

 

実は、株式を何割も保有している機関投資家も合理的無関心が起きかねないのです。なぜ、そうなってしまうかは、詳しくは下記の自身の記事を。参照研究も掲載しています。
https://newspicks.com/news/3404683

 

しかし、株主の合理的無関心から起きかねない課題を放置していては、不祥事を起こしかねない経営者がはびこってしまいかねません。だからこそ、社外取締役の議論が起きたんですね。(もちろんこれも課題山積なので、これは別の機会に)

 

 

*議決権行使選挙と政治選挙の共通点

 

上記の話は、実は議決権行使だけでなく、政治経済学の文献を見ると、政治選挙でも同様の課題が指摘されていました。自分の生活や仕事、プライベートを削って必死に情報収集をして投票に行くが、そこから得られるリターンは短期的には感じられにくく、二の足を踏んでしまうことが‥。

そして、この「合理的無関心」、仕事先やいろんなところで起きていると思います。情報収集ほどのリターンが見込めないから、空気よんで真似して人を選ぼうーなんてこともあったりなかったり。

何かの意思決定を多数決で行う場合は、こうしたことが起きることを踏まえて行いたいものですね。自身も気をつけたいところです。

読んでくださり、ありがとうございます!
応援ありがとうございます!
崔真淑(さいますみ)

 


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