”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

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中央銀行pay と民間payどちらを使う?

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みなさま、こんにちは!
エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。
都内某所にて、キャッシュレスに関する真面目なシンポジウムを拝聴する機会を得て、そこでのキャッシュレスに関する課題意識を今回は記していきます。

 

*キャッシュレス経済に関心がある背景

 

自身がキャッシュレス経済に関心があるのは、写真のBSスカパー「水曜日のロバートソン」や、文化放送「The News Masters Tokyo 」でキャッシュレスについてトークすることが非常に多いことがあります。そこでは、経済構造の変化、具体的には銀行の意義が変化しているのを肌感覚で感じるからです。

また、出張先で地銀の方々とお話する機会が多いのですが、そこでもキャッシュレス経済の話が多々でます。

GAFAやLINE、Yahoo!等々が決済サービスに参入しています。これらの企業は、個人間の場合はタダであったり、そこで収益ありきという構造でなく、信用スコアリングなど別の利益を生み出すビジネスに応用しようとしています。これらのデジタル企業が、詳細なデータを軸に、更なる融資の強化も可能になるかもしれません。

そうなると、決済も融資も重要な収益源である銀行はどうなるのだろう‥とモヤモヤしていました。更には、銀行ニーズが薄れるなどした場合、銀行を通した中央銀行による金融安定化のための政策はどうすべきか‥。と、そんな素朴な疑問が頭の中を支配していました。

今回、勉強させて頂いたシンポジウムには政策の意思決定に関わる方や、学術分野の方々は登壇されており、非常に勉強になりました。そして、そんな疑問に1つの回答を与えてくれる興味深い話を聞きました。

 

 

*各国の中央銀行ブロックチェーン型のデジタル通貨発行を真面目に検討している!?

 

中央銀行は、上記のようなキャッシュレス時代に、金融安定のために何をすべきか等々が議論されていました。
その中には、「中央銀行もデジタル通貨を発行すれば暗号資産の投機の抑制、更にはブロックチェーンや分散台帳、暗号技術などを用いることで銀行券(現物の場合)のように匿名性を与えること(もちろんマネロン対策は重要だが)や、中央銀行自ら金融インフラの効率性や利便性を図ってはどうだろう‥」という議論が各国で起きていることを知りました。
例えば、スウェーデンウルグアイ、中国等々が中央銀行デジタル通貨を検討しているとのことです。世界はどんどん変化しているんですね。
そして、後半には登壇者の皆様がパネルディスカッションをされていて、これもまた非常に勉強になり、新たに「ん?」と思う疑問も出てきました。

 

 

*新たに抱いたキャッシュレス経済に関する疑問

 

というのも、こんなフレーズが

「もしも中央銀行payとLINE payがあれば、みんな中央銀行payに移行しちゃいますよね。中央銀行が民間企業ができるとクラウディングアウトが起きかけないのは留意すべきでは‥」

と。自身は、ブロックチェーン型の匿名性が高い中央銀行payが本当に出てきても、直ぐに使うかなーとモヤモヤしていたので、結構意外な考えでした。自身がイレギュラーなだけかもですが。でも、感じた理由は2つあります。

〇〇payのようなサービスは、①ネットワーク外部性が要であり、使う人が沢山いてサービスが向上するわけです。民間企業の〇〇payが普及している中で、スイッチングコストをかけてまで、信用力高いという理由だけで直ぐに中央銀行payに移行するのかなと思ったこと。

もう1つは、②民間企業で〇〇payをしている会社は株式会社がほとんどであり、コーポレートガバナンス(経営者が株主価値を損なうような悪さをしないかを監視する仕組み)が制度設計されていますし、何か悪用したら社会的制裁もハンパないです。Tirol(2005)でも指摘していますが株主価値というわかりやすい指標があるので、ガバナンス設計もしやすいわけです。
一方で公的機関のマネジメントやガバナンスは、何を軸にすべきかってすごく難しいし、そのアンチテーゼとして仮想通貨って出てきたと思うんですね。中央銀行のアドバンテージを、デジタル経済でも発揮し続けるには更なる工夫も必要なのかな‥と思案したり。

中央銀行payが出てきて、果たして直ぐにみんな使うのか‥中央銀行の金融安定化策って、更にどう変化すべきなのか‥
あくまで、キャッシュレスの学術研究で精進不足の自身が思う話なので、そこは割り引いてくださいませ。と、今回はふわっとした話になりました(汗)

 

ということで、読んで頂きありがとうございます!
引き続き応援よろしくお願い致します!
崔 真淑(さいますみ)