”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

コーポレートガバナンス・コード導入で経済・マーケットはどう変わる?~女性取締役編~

みなさまこんばんは!

Good News and Companiewsの崔真淑(さいますみ)です!

この4月から新番組のレギュラーが始まりました!BSJAPAN 「日経モーニングプラス 6時39分~」で、月曜コメンテータを担当しています。榎戸キャスター、日経新聞コラムニスト脇さんとお送りしてます。おかげさまで冠コーナー「さいますみのマーケットラボ」も持たせてもらい、マクロ経済、資本市場について解説してます。今回は、5月25日(月)放送分についてみていきます!

f:id:saimasumi:20150525090317j:plain   (制作:日経映像)

 

Qコーポレートガバナンス・コードって、そもそもなに?

東証は「コーポレートガバナンス・コード(CGC)」=「上場企業が守るべき行動規範」を、今年6月1日から上場規則に反映させました。法的拘束力はないものの、守れない場合は説明責任が付きまといます。持ち合い株、株主権利、取締役会の役割、役員報酬…etc、等が記載されています。導入目的は、上場企業の企業価値向上だけでなく、株主との対話を促し、海外から日本に息の長い投資マネーを呼び込む狙いもあります。さて、経済・資本市場にはどんな変化が起きるのでしょうか?今回は取締役会の変化について!

 

Q取締役会については、どんなことが言及されているの?

今回注目したのは、CGCの原則4-11です。取締役会に多様性を促すよう記載されています。つまり女性、外国人等の導入を促しているようです。女性の取締役導入を促進す流れは、CGCだけでなく情報開示にも出ています。2015年3月期決算企業が今年6月頃に提出する有価証券報告書から、女性役員人数と役員に占める割合の開示が義務付けられるのです。政府は2020年までに、指導的地位に占める女性の割合を3割を目標にしています。女性取締役について、海外のように法的義務付けも数年先にはあるかもしれません。

 

Qもしも、女性取締役の導入が義務つけられたら何が起きる?

就業環境では、それに応じて女性管理職が更に増えるでしょう。結果、リーダーシップでなく、フォロワーシップの在り方に注目が集まると予想してます。(この辺りは、次回以降に) 資本市場では、一時的な混乱が予想されます。過去に女性取締役の義務付けを行ったノルウェーの例を踏まえると見えてきます。

 

Qノルウェーでは何がおきたの?

2002年2月22日に、ノルウェー政府は上場企業に対して女性取締役を取締役会40%にするよう法的義務を発表しました。論文「The Changing of the Bords: The Impact on Firm Valuation of Mandated Female Bord. Aheren Kenneth R. and Amy K. Dittmar(2012)」に、この時に何が起きたかが分析されているのですが…

発表前後5日間の上場企業の株価をみてみると、女性取締役ゼロの企業は明確な株価下落を見せていました。多くの投資家は、企業の意思決定機関である取締役会の半分近くが一気に変わることは、企業価値の損失につながると考えたのでしょう。

では、その1年後の企業価値(ここではトービンのQ)は実際にはどう変化したのでしょうか?新たに、女性取締役の比率が上昇した企業では、企業価値がそれに応じて低下していたのです。ガラッと取締役会が変わるということは、企業の雇用慣習、従業員補償も変化しかねません。法的義務付けにによる大きすぎる企業変化を投資家は嫌気したのでしょう。(女性取締役は従業員削減を行わい傾向という研究もあります)

 

それまで、平均して10%も占めていなかった女性取締役を、40%への法的義務付けは、一時的な混乱を招いたようです。

人口の半分である女性が働きやすい環境を作り、マクロ経済の成長率を高めるのは悪い話ではありません。しかし、過渡期には一時的な混乱は起きそうです。

ビジネスパーソンとしては、就業環境の変化にどう備えるか?

投資家としては、どう戦略に組み込むか?が重要になってきそうです。

 

今日も読んでいただきありがとうございます!

引き続きよろしくおねがいします!

 

崔真淑/さいますみ