”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

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国内3000kmの移動で見えてきた地方経済のイマ!青森県&観光業&金融編

みなさまこんにちは!

Good News and Companiesの、マクロエコノミスト崔真淑/さいますみです!

この1ヶ月、大阪、新潟、青森と、講演の仕事で出張の機会を多数頂きました。前回に続いて、青森出張で発見したことや、感じたことをまとめていきます。

 

*「観光業・金融業と地方経済 」in青森

 青森では、中小企業の経営層のみなさまにお話をさせて頂きました。講演の機会を頂くと、男性が圧倒的に多いのですが…今回は女性経営者の方々の多さに驚きました。青森は女性社長比率が最も高い県(!)とのことです。青森経済を盛り上げるためのヒントをとのリクエストを頂いたので、観光業だけでなく、金融業の影響を中心にお話させて頂きました。

なぜ、金融の話も力を入れたかというと、以下の理由があります。講演前に担当者の方に内容を聞かれお話をした際に、「やっぱり観光か~」との声が気になったからです。言葉の背景には、観光による経済波及効果(雇用・開業率の上昇…)を疑問視する気持ちがあるのでは?と思ったからです。

 

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(写真は青森駅から出ているシャトルバス「ねぶたん号」!これで縄文時代の遺跡「三内丸山遺跡」へ!)

 

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(写真は縄文時代の遺跡「三内丸山遺跡」の広場!自然が沢山あって癒されました!)

 

*観光業が盛り上がっても気持ちは上向かない!?

アベノミクスが始まった2013年から2015年6月時点の日銀短観(企業の業況アンケート調査)を見ると、当初は地方都市ほど改善が顕著に見られていました。背景には、非製造業の多い地方ほど、円安による訪日外国人のインパクトが大きいことがあります。しかし、その改善テンポは徐々に停滞しています。実際、全国の各種データを見ると、観光業が増えても、その持続性に自信が持ちきれず雇用、新規貸出、新規投資…が顕著に増えた様子は見られないようです。なぜ、そうなるのでしょうか?

考えられる理由には、人口減少による低迷が挙げられます。生産地と需要地が一致する観光業というサービス業には人口減少のインパクトは非常に大きいです 

 

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(写真は青森駅近くの新鮮市場です。翌日、お休みをとれたので観光もさせて頂きました!)

 

*じゃあ、どないしたらええの?

人口が減る要因は二つあります。一つは高齢化による自然減。もう一つは若者の流出などによる社会減。観光業で盛り上がっても、後者の減少に歯止めがかからないのが現状のようです。では、なぜ若者は都心にでるのか? それは私自身もそうですが、職業選択に幅があるだけでなく、賃金水準が高いことがあります。実際、転出転入割合と、収入には正の相関がみられます。(因果関係があるとはここでは断定していません。t値の水準をみても、相関関係は統計的に有意な結果となっています。)

 

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(縦軸は転入超過人口の総人口比率:単位%(マイナスは転出)、横軸は平均月収:単位千円)

 

 

*技術革新のための投資はどうしたら増えるのか?

賃金水準の低さが、人口の社会減に影響しているようです。なぜ、賃金が低いのか?それは前回のブログで書いた、労働生産性が改善せず、賃金上昇が進まないことあります。何がネックといえば、技術革新が進まないことが最も大きいようです。

では、技術革新のための投資活性化はどうしたら進むのか?ということを、講演では提案してきたのですが…

地方金融機関の情報網による情報生産性が重要!!!

というお話をしてきました。地方企業のほとんどが株式市場で資金を調達できません。その時に力になるのが地方金融機関デッドファイナンス!!

コーポレートガバナンスの論文を読むと、日本経済における銀行の情報生産性(融資先がどういった企業と連携をとるとよいのか、投資先の情報を提供する…etc)の影響について議論されたのが多数あります。いま、株式市場の活性化が注目されていますが、地方経済にとってはデットガバナンスという負債調達コスト(金利が低いというだけでなく、調達に自信を持つための他企業、他業種との連携等も含めて)をどう下げるのかが焦点と思います。

 

この辺りは、次回以降に更に詳しく。

今日も読んでいただきありがとうございます!

また、青森県のみなさま、パワーと気づきをありがとうございます!

 

崔真淑/さいますみ