コーポレートガバナンス・コード導入で経済・マーケットはどう変わる?~女性取締役編~
みなさまこんばんは!
Good News and Companiewsの崔真淑(さいますみ)です!
この4月から新番組のレギュラーが始まりました!BSJAPAN 「日経モーニングプラス 6時39分~」で、月曜コメンテータを担当しています。榎戸キャスター、日経新聞コラムニスト脇さんとお送りしてます。おかげさまで冠コーナー「さいますみのマーケットラボ」も持たせてもらい、マクロ経済、資本市場について解説してます。今回は、5月25日(月)放送分についてみていきます!
(制作:日経映像)
Qコーポレートガバナンス・コードって、そもそもなに?
東証は「コーポレートガバナンス・コード(CGC)」=「上場企業が守るべき行動規範」を、今年6月1日から上場規則に反映させました。法的拘束力はないものの、守れない場合は説明責任が付きまといます。持ち合い株、株主権利、取締役会の役割、役員報酬…etc、等が記載されています。導入目的は、上場企業の企業価値向上だけでなく、株主との対話を促し、海外から日本に息の長い投資マネーを呼び込む狙いもあります。さて、経済・資本市場にはどんな変化が起きるのでしょうか?今回は取締役会の変化について!
Q取締役会については、どんなことが言及されているの?
今回注目したのは、CGCの原則4-11です。取締役会に多様性を促すよう記載されています。つまり女性、外国人等の導入を促しているようです。女性の取締役導入を促進す流れは、CGCだけでなく情報開示にも出ています。2015年3月期決算企業が今年6月頃に提出する有価証券報告書から、女性役員人数と役員に占める割合の開示が義務付けられるのです。政府は2020年までに、指導的地位に占める女性の割合を3割を目標にしています。女性取締役について、海外のように法的義務付けも数年先にはあるかもしれません。
Qもしも、女性取締役の導入が義務つけられたら何が起きる?
就業環境では、それに応じて女性管理職が更に増えるでしょう。結果、リーダーシップでなく、フォロワーシップの在り方に注目が集まると予想してます。(この辺りは、次回以降に) 資本市場では、一時的な混乱が予想されます。過去に女性取締役の義務付けを行ったノルウェーの例を踏まえると見えてきます。
Qノルウェーでは何がおきたの?
2002年2月22日に、ノルウェー政府は上場企業に対して女性取締役を取締役会40%にするよう法的義務を発表しました。論文「The Changing of the Bords: The Impact on Firm Valuation of Mandated Female Bord. Aheren Kenneth R. and Amy K. Dittmar(2012)」に、この時に何が起きたかが分析されているのですが…
発表前後5日間の上場企業の株価をみてみると、女性取締役ゼロの企業は明確な株価下落を見せていました。多くの投資家は、企業の意思決定機関である取締役会の半分近くが一気に変わることは、企業価値の損失につながると考えたのでしょう。
では、その1年後の企業価値(ここではトービンのQ)は実際にはどう変化したのでしょうか?新たに、女性取締役の比率が上昇した企業では、企業価値がそれに応じて低下していたのです。ガラッと取締役会が変わるということは、企業の雇用慣習、従業員補償も変化しかねません。法的義務付けにによる大きすぎる企業変化を投資家は嫌気したのでしょう。(女性取締役は従業員削減を行わい傾向という研究もあります)
それまで、平均して10%も占めていなかった女性取締役を、40%への法的義務付けは、一時的な混乱を招いたようです。
人口の半分である女性が働きやすい環境を作り、マクロ経済の成長率を高めるのは悪い話ではありません。しかし、過渡期には一時的な混乱は起きそうです。
ビジネスパーソンとしては、就業環境の変化にどう備えるか?
投資家としては、どう戦略に組み込むか?が重要になってきそうです。
今日も読んでいただきありがとうございます!
引き続きよろしくおねがいします!
崔真淑/さいますみ
経済最前線な一日でした!~日本郵政上場からソーシャルインパクトボンドまで~
みなさまこんばんは!
Good News and Companiewsの崔真淑(さいますみ)です。
なかなかブログUP出来ずにいました。おかげさまで4月から、ラジオ・TV担当番組が9本(隔週、隔月のを合わせて)に!ありがとうございます!
そして、5月末は経済最前線な一日を過ごしておりました。というのもBSNHK1「経済フロントライン毎週土曜日22時~」(フロントラインは最前線の意味でございます)にゲスト出演し、マクロ経済目線で、ピックアップされたニュースを基に生活にどんな影響があるかを解説。
(5月30日放送後。キャスターの野口さん、竹内さん、東洋大学石井教授と@NHK)
内容は、日本郵政が上場を控えているものの、経営が芳しくない日本郵便の今後について。法律でユニバーサル経営が義務つけられ、店舗縮小が難しいなかで業績を上向かせるためにどうしたらよいかを、東洋大学の石井教授と模索しました。私からは、店舗縮小ができないなら、あるからこその戦略をどうだろうと提言させて頂きました。例えば、スウェーデンではスーパー、ガソリンスタンドと併設した郵便局しかありません。もう一つは、元サッカー日本代表監督の岡田武司史さんがFC今治の監督でなくオーナーになった背景についての映像を見ながら、地方創生について。海外、都心で活躍した方々が地方創生のために、由縁の地域で再生に挑むロールモデルになるよに思います。実際、そうした流れは出てきているようです…
実は、その日のお昼には、ソーシャルインパクトボンド(SIB)振興のための「G8社会的インパクト投資シンポジウム」にパネラーとして登壇しておりました。日本財団と横須賀市が、パイロット事業として特別養子縁組の推進のためにSIBの仕組みを取り入れました。この案件を踏まえつつ、SIB拡大のための課題について、パネラーの皆様とディスカッションを。(SIBそもそもについてはこちら)
(横須賀市吉田雄人市長、森ビル株式会社取締役CFO堀内勉様 、一般社団法人RCF復興支援チーム代表理事藤沢烈様 、慶應義塾大学政策・メディア研究科特任助教伊藤健様 、崔の5名でのディスカッション)
まだまだ課題は多く、規模が小さく機関投資家が積極的に投資する規模ではないこと。また、地方自治体が節税を積極的に行おうとすると来年度の国からの補助金を考え、導入を躊躇する地方自治体も少なくないこと。同じ仕組みで、認知症患者を減らすに事業を行おうとすると、そうした方々を受け入れる施設の収益低下(国からの助成金が減少等々…)を懸念し、導入に積極的になれないステークホルダーもいること…etc。マクロな観点でみると財政赤字を縮小することは、日本経済の持続可能性を高めることになります。しかし、ミクロでみると、そうなることで困る人も出てきます。ここを同調性するかが非常に難しいわけです。ただ、グローバルな流れとして、着実に進んでおり、今後に期待したいところです。
というわけで、おかげさまで仕事の幅も広がりつつあり、同世代の方がたにもマクロな視点で経済を見ることの意義を伝えられる機会が増えてきてます。
どうぞ引き続きよろしくおねがいします!
崔真淑/さいますみ
未来の資本主義・民主主義はどう変化する?@NHKEテレ「ニッポンのジレンマ」
みなさまこんばんは!Good News and Companiesの崔真淑/さいますみです。
2月28日(土)24時~からNHKEテレ「ニッポンのジレンマ」が放送されます。今回は、収録で話きれなかったことも含め、私の関心事を書きます。
(収録後のホッとしているみなさまの姿です笑)
Qビットコインを支えるブロックチェーン登場で民主主義はどう変化するのか?
今回の収録では、民主主義に関する話も登場しました。国家の構成員により、意思決定がされる世界。自由な選挙による政治代表の選出制度を担保する物で、どういう民主主義制度をとるかで政治の方向性は大きく違ってきます。例えば、スイスは直接民主主義をとっており、EUからの移民制限をするという決定は国民投票の結果です。
そして、この民主主義の形に影響を及ぼしかねないと気になるのが、ビットコインを支えるブロックチェーンという仕組みです。ブロックチェーンは、中央機関を持たずに、そのITシステム、コミュニティ参加者の多数決により意思決定がされていく仕組みです。
(ブロックチェーンイメージ図 筆者作成)
これまでは、政府という中央機関、そして国民を代表する政治家という管理者が便宜上必要でした。しかし、ブロックチェーンの仕組みにより、こうした機関、管理者の必要性が薄くなる可能性も出てきたのでは?と、思うようになりました。政府、政治家は最小限のことしかせず、ブロックチェーンによって生れた自律的コミュニティが生れたりして… または、この仕組みから直接民主主義が当たり前の国が多くなったり…となると、経済システムの形も大きく変化するかもしれませんね。
Q今後の資本主義の形に対して提案したいことは?
番組の中で私が提案したのは、1億総株主資本主義という形です。私が日頃接している資本市場は民間型の富の再分配の場でもあります。私達の国民年金、企業年金の資金は、株式市場やその他の資本市場で運用されています。なので、資本市場にアクセスしたことないぞ!という方もいるでしょうが、私達は既に投資家なんですよね。
しかし、年金は本当に貰えるのか?という声もききます。年金の世代間格差は広がるばかり。そこで、国は年金格差を確実に埋められるとは保障できないから、401KやNISAという非課税運用枠を用意して、自らの老後資金を自ら作りやすいような場を提供することで、年金の世代間格差を埋めようとしているわけです。
ただ、私が改めて1億総株主資本主義と強調したのは別の理由があります。大企業の利益拡大の恩恵が、中小企業や、個人にはなかなか届かないと感じる方が多いのではないでしょうか?だからこそ、誰もが株主・資本市場にアクセスしやすくなり、大企業の利益を享受できる仕組みが必要だと思ったのです。もちろん、アクセスするための資本をどう稼ぐのか?という問題も出てきますが、ここでは他先進国並みに資本市場に個人もアクセスしやすくなることを課題として挙げました。そして、アベノミクスではこの辺りが改革されつつあり、提案しました。
Q課題解決型の金融商品とは?
経済成長とは、利便性を向上させるだけでなく、課題を解決させることでもあります。今の日本の最大の課題といえば、政府の1000兆円を超える借金ではないでしょうか?こうした財政赤字解消を促すことで儲ける仕組みを持った債券=ソーシャルインパクトボンドを紹介しました。詳しくはこちらを↓
と、今回は私の関心事を徒然なるままに紹介させて頂きました!
テクノロジーと、資本市場改革で未来はどうなるのでしょうか~☆☆☆楽しみですね!
今日も読んでいただきありがとうございます!
今後も応援よろしくおねがいします☆
さいますみ/崔真淑
私が思う、エコノミストの経済予想との”上手”な付き合いかた
みなさまこんばんは!Good News and Companiesの崔真淑/さいますみです。
昨日、10-12月期国内経済成長率(=GDP成長率)の速報値が発表されました。一年に馴らした経済成長率は2.2%でした。しかし、主要シンクタンクエコノミストの予想中央値は3%超えでした。
この結果と予想の「ズレ」から、エコノミスト経済予想ってなんなんだよー!という声を頂きました。今回は、なぜ予想が外れるのか?エコノミスト予想をどう活かせばよいのか?を、考えていきます!
(制作:日経映像 出所:BSJAPAN「NIKKEI朝とく 毎週金曜”さいますみのエコノゼミ”)
Q1そもそも経済成長率は、どのように発表されるのか?
経済成長率を算出するには、多種多様な統計データが使われます。構成される全ての統計データの開示を待つと、タイムリーに経済成長率が算出できません。しかし、経済政策を考えるためには、ザックリとした値でも経済成長率を早く算出する必要があります。そのために、速報値、確報値という形で経済成長率は、数回に分けて値が発表されます。
Q2なぜエコノミストの経済予想は外れることがあるのか?
そのような全ての統計データが開示されていない時点の速報値を予想するのは至難の業。また、民間シンクタンクが使える統計データも限られていることから、ダイレクトに速報値を当てるのは非常に難しいのです。もちろん統計データの癖を見抜いて的中率の高いエコノミストの方もいますが、長期で続けるのは非常に難しいと思います。お上の経済成長率の算出方法も、変更されますしね。
Q3そもそもエコノミストの経済予想に有意な能力差はあるのか??
そんな予想が難しい速報値を当て続けるエコノミストは存在するのでしょうか?
神戸大学の芦谷政浩教授の2006年の論文が、ヒントを示しています。
(こちらの論文の”はじめに”をご参照ください。その他、シンクタンクエコノミストと個人エコノミストと、それぞれの傾向にも書かれており、非常に興味深い論文です)
財政赤字解消で儲ける仕組みとは!?@NHKEテレ「ニッポンのジレンマ」にて
みなさま今晩は!
Good News and Companiesの崔真淑/さいますみです!
今日は、NHKEテレ「ニッポンのジレンマ」の収録に行ってきました。貴重な機会に恵まれるのも、みなさまのおかげです。いつも本当にありがとうございます!
*私が「ニッポンのジレンマ」で一番伝えたかったことは…
初めてだらけで緊張しっぱなしでしたが、出演者の皆様に助けて頂いてこともあり、無事に収録を終わることができました。こんな感じで紹介して頂いてます!
(出所)NHKホームページ
テーマは「資本主義のジレンマ」ということもあり、議論は白熱。1H番組の収録なのに、4H(!)収録しました。アカデミック分野の先生方から勉強させられることばかりでした。
(出所)ニッポンのジレンマFBページより
しかし、初出演ということもありド緊張…。
私の使命は、資本市場の社会的意義を伝えること。社会問題解決と資本市場の繋がりについて一番伝えたかったけど、出し切れたかというと、うーん…という感じ。特に、国、地方自治体の財政赤字解決で儲ける仕組みが、資本市場の中で出てきていることを強く伝えったかったのですが出来ず。。そこで改めてブログで紹介させてください!
*国、地方自治体の財政赤字を解消することで儲けられる仕組みとは?
みなさまは、「ソーシャルインパクトボンド」という金融商品を耳にしたことはありますか?これは、社会問題を解決した結果を金銭価値で評価し直し、そのリターンを金銭で受け取る仕組みです。実際に発行したNY市の例を見てみましょう。
NY市は、財政状況が厳しく刑務所の維持管理コストを抑えようと考えました。そのためには受刑者の再犯率を低下させるのが有効です。しかし、NY市は、刑務所に再犯率防止プログラムを実施しようにも、新たに財政を出動させる余裕がありません。ただ、そのままにしていても刑務所コストが増えるだけ…そこで財政ありきでなく、投資家からお金を調達するために出てきたのが、この金融商品です!
仕組みはシンプルです。
①NY市が960万ドルの債券を発行します。
②この債券をゴールドマンサックスが960万ドルで購入
③更生プログラムを実施するNPO法人にゴールドマンサックス(以下GS)が委託
④第三者機関が、このプログラムによって再犯率が低下したかを計測
⑤実際に再犯率と刑務所コストが低下する
⑥浮いた刑務所コストをNY市が金利として元本に上乗せして、GSに返済
(⑤で再犯率が低下しない場合は、GSの購入元本は毀損します。毀損金額を限定するために、今回はブルームバーグ財団の寄付も使われています)
という流れになっています。いくら財政出動を浮かせたかによってリターンが決まるという仕組みです。
*なぜ金融商品にするのですか?
金融商品にすると、資本市場で流通する可能性がでてきます。資本市場は、リスクも取れる!おカネもある!という主体から、アイディアはある!でも、おカネがない!という人をマッチングさせるのに非常に有効な場所です。
財政難の公国や地方自治体、運用先に困っている投資家、社会的問題解決を求める、3つの主体がマッチングしやすくなる可能性がでてくるのです!
*課題は…?
上記の債券は2013年に、起債されました。それぐらい新しい金融商品です。なので、どの程度のリスク、リターンがあるのかのトラックレコードがありません。
結果、投資家が投資を躊躇することに。セカンダリーマーケットもないので、いつでも手放せるわけではありません。新しすぎるだけに、課題は山ほどあります。
でも、課題と財政赤字ならば、他先進国に負けないニッポンでは取り組みがいのある金融商品だと思いませんか?
今日も読んで頂きありがとうございます!
引き続きよろしくお願いします!
さいますみ
2015年は電車賃改定がホンキで議論される!?ウーマン目線で経済学的問題解決法を考えてみた!
新年あけましておめでとうございます。Good News and Companiesのマクロエコノミストの”さいますみ/崔真淑”です!
今回は2015年の日本経済に起こりうる予想について。BSJAPAN「NIKKEI朝とく“さいますみのエコノゼミ”(毎週金曜日朝6時40分~)」の放送内容では資本市場に関連した大胆予想をお話しましたが、今回はスピンアウト版。女性目線も加えました。
私が2015年に注目しているのは、①円安輸出効果②地方創生③ウーマノミクスです。
(制作:日経映像)
*ウーマノミクスGO!で起こりうる問題とは
今回は③に関する話を。昨年クリスマスイブに安倍第3次内閣が発足しました。前回同様に女性活用と子育て支援、役員の女性ポスト等々が議論されています。ただ、独身、既婚、自営業、フリーランス、会社員全ての女性に関係しうる意外な社会問題も、まだ沢山あります。例えば、働く女性が増えると、電車を使う人が増えます。そうなると…
都心の通勤ラッシュ加速と、それに伴う電車チカン
の心配が。。いきなりミクロな話かよ!とツッコまれそうですが、これ根深い問題なんです。こんなショッキングなコラムもみつけたこともあり、どうしたら解決できるかを考えてみました。
既に満員電車による社会コストも議論されていますが、これだけ女性進出が謳われているだけに、女性への満員電車コストも本格的に議論され始めるのではと。実際にチカンに遭遇しても、声を上げれば冷たい視線。。そして、女性車両が導入されたからと大幅に電車チカンが大幅に減少したという話も、あまり聞かないです。
(注:このブログではウーマノミクスは、とにかくこの問題解決を優先すべきだとか、そういう話はしていません。起こりうる問題の一つを挙げて、今回は、上記の内容にフォーカスしたというだけです。)
*満員電車の社会コストとは?
ここでいう社会コストとは経済活動の過程で生じる望まない副作用(=外部不経済)を指します。例えば、公害や道路渋滞も当てはまるでしょう。豊かになるために経済活動を行うのに、こうした副作用が大きくてはトータルでみると社会への悪影響が大きいかもしれません。過去の論文では、こうしたコストを何で定義するかで社会的コストを数値や金銭価値で算出しようとしています。
*社会コストの算出方法は?
例えば、東大の家田仁教授等(1989)の研究では、通勤鉄道利用者が混雑を回避するために受け入れている乗客時間を実測し、この延長時間を混雑疲労コストしています。その他では、阪大の八田達夫教授等(2000)は、JR中央線沿線の家賃データに注目して通勤に関する金銭、時間的コストを算出。それに占める、疲労コストの割合を出しています。日本は、通勤電車賃が会社から支給されるのが当然なのに、都心から離れるにしたがって地価が下がります。これは、通勤に要する時間、混雑の疲労コストが家賃、地下に反映されているとしたのです。斬新ですよね!
*じゃあ、どうしたら解決できるの?
ラッシュ時にタイムリーに電鉄会社が電車を増やすといった解決方法もあるでしょう。しかし、その時間帯に集中する人間の数が多いし、出せる電車にも限界はあります。過去の研究から言われていいるのは、
「最適混雑料金」
を導入することです。これは、1人の乗客がその混雑した列車に乗車した時に、他乗客の疲労を増大させるコストを金銭価値に置き換えたものです。ラッシュ時間帯は、通常の乗車料金よりも高くして、ラッシュを緩和させようとするものです。八田教授等(2000)では、現行運賃の~3倍程に設定する必要があると示しています。
もしも導入されたら、通勤ラッシュはもちろん、混雑が解消されて電車チカンが大幅に減少する可能性もありそうです。ウーマノミクスGO!で、2015年は電車賃金改定が本格的に議論される気配が!?
本年は評論だけでなく、経済学、経営学や社会科学により、みんなに最適な社会を創る解決策も模索します。
今日も読んでくださってありがとうございます!
さいますみ
IPO後の明暗分ける要因を、マジメに考えてみると意外なことが見えてきたぞ!
みなさまこんばんは!
Good News and Comapaniesの、さいますみです。
10月17日のBSJAPAN、朝6時40分〜NIKKEI朝とく「さいますみのエコノゼミ」でお話した内容を紹介していきます。今回は、このところIPOラッシュということもあり、IPO後も業績も株価も伸びて行く企業の特徴を、過去の実証分析を元に簡単にまとめました。
(長いので、時間がない方は*結果は…の箇所からどうぞ。)
(制作:日経映像)
*IPO件数は…
そもそもIPOとは、未上場企業が、新規に証券取引所に上場。そして投資家に株式を取得してもらうことを指します。ネット企業の一部には上場後に株価が数十倍に値上がりするものもあり、夢のある投資として人気です。そして、2009年からは資本市場が安定しているということもありIPO件数は右肩上がりで回復しています。直近ではリクルートの上場等も話題になりましたね。世界的に株価が下落基調にも関わらず、初値は公開価格を上回りしました。
(出所JPX)
*IPO後の多くの企業の現状…
ただ、この夢のある投資ですが、右肩上がりで株価も業績も伸びていく企業はごく一部。その一部の企業にははどんな特徴があるのか、神戸大学忽那憲治教授の論文「IPO後の高成長企業と低成長企業(2014)」を参考に読み解いてみましょう。忽那教授は1997年から2010年までにIPOを実施した企業を対象に分析されています。多くの企業がIPO後は、従業員数、売上高を順調に伸ばしていることが伺えます。しかし、上場後からROA(総資産営業利益率=収益性を見る指標)は、多くの企業で年を重ねると共に、右肩下がり。また、株価もIPO後の36ヶ月後までウォッチしてみると、株価パフォーマンスも、多くの企業で右肩下がりの傾向にありました。(ただし、この株価傾向は他国でも見られるようです 忽那教授2008a)。株価も収益性も向上させ続けられるのは、本当にごく一部なんですね。
*では、株価も業績も高成長を続ける会社にはどんな特徴があるのか?
巷では、大手証券会社が手がけたIPO案件は手堅い(過去に、某中堅証券会社が手掛けたIPO案件では、上場直後に見通しを変えざるおえないような、発表をしたこともあり、こうした話も聞こえてきます)、VCから多額の出資を受けていると売出の反動で株価は下がりやすい、設立年数が若いと…等々、IPOにまつわる噂は多く聞こえてきます。
忽那教授は、企業パフォーマンスとして①従業員の増加率②売上高成長率③売上高営業利益率④ROA(営業利益ベース)⑤ジャスダック指数に対するIPO後の36ヶ月間の株価超過リターン(①〜⑤の期間については論文を参照くださいませ)の5項目を指標とされています。
これらの指標が、1)IPO企業の特徴、2)IPOの特徴、3)IPOの保証期間(証券会社等)の特徴において、①〜⑤の企業パフォーマンス指標に違いが生じているかを考察されています。
*結果は…
と、ここでは意外感があった物を紹介しますと…
なんと、経営者が若い(40歳未満)企業である場合と、そして企業設立年数が若い(10年未満)と、①、②及び⑤は良い傾向にあり、関連性も有意な結果がでていました。考えられる背景には、CEOが若いと、経験豊富なCFOが付きやすいといったことや、企業設立年数が若いと大胆な企業活動ができるといったことがあると思われます。
フレッシュなIPO企業ほど企業パフォーマンスはよいみたいですね。
そして、上述したVCによる株式の売出の影響は株価に対しては有意な関連性は見られませんでした。また、有名証券会社が主幹事を行うことについては、①〜⑤全てにおいて、有意な関連性は無い結果に。。もしかしたら、これは証券会社側も、IPO企業に対して、更に何かしらのサービスやビジネスチャンスがあることを示唆していたりして…!?
(あくまで関連性があるということで因果関係を示しているわけじゃないよ!ここでは、リサーチデザインの方法や、t値についてもふれていませんが、話が複雑になるからです。きっかけになるための入り口としてわかりやすい話だけを書いています)
IPO企業に投資をしたい方は沢山いると思いますが、周りの空気に飲まれずに、経営者の人柄や組織について、いまいちどよ〜く見てみるのも重要そうですね。 この他にもIPOに関する研究は沢山あるので、また適宜紹介していきますね!
*知の生産物=論文
IPO企業が沢山出てきて、雇用が生まれるのは素敵なこと。そして、こうした論文=知の生産物が沢山生み出されることで、高成長企業を生み出す鍵が見つかれば、日本にとってベストな政策を生み出すきっかけになります。
引き続き、わかりやすく、簡潔に、平易な言葉で、メディアやブログで論文を紹介するべく、精進していきますので、 応援宜しくお願いします!
メディアから日本経済応援じゃー!!
今日もありがとうございました!
さいますみ