”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

国内3000kmの移動で見えてきた地方経済のイマ!新潟県&円安編

みなさまこんにちは!

Good News and Companiesの、マクロエコノミスト崔真淑/さいますみです!

この1ヶ月、大阪、新潟、青森と、講演の仕事で出張の機会を多数頂きました。移動距離をGooglemapで見ると約3000km(!)もありました。素敵な人に恵まれて非常に充実した時間を過ごせました。貴重な機会に感謝です!今回は、新潟出張で発見したことや、感じたことをまとめていきます。

 

*「円安と地方経済」 in 新潟

 新潟には某上場製粉会社の方と、その関係会社の方々に日本経済のイマと、統計情報から見える地方経済の現状についてお話をしました。製粉業界の方が集まっているということもあり、円安による日本経済・企業への影響の話を軸に、今後の地方経済の解決策の一例をお話してきました。

円安による輸出効果は本当に出ているのか?また、円安による企業業績への影響が、10年前と今では変化しつつあることも。輸出だけでなく、直接投資による配当という形で企業業績に影響が出ていることを中心にお話しました。

 

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(写真は新潟の皆様と!私が抱えている日本酒は、こちらの企業様が作っている非売品のお酒。お土産に頂いたのですが、めっちゃおいしいです!!)

 

*やっぱり円安はつらいよ~!

しかし、内需企業の王道でもある製粉業界様にとって、「円安はツライよ~」の声も沢山いただきました。価格転嫁できる企業規模の大きい会社はまだしも、町のパン屋さんや生産地と需要地が一致する業態にとっては、地域の賃金上昇がそれほどみられず、価格転嫁できる状況にないようです。非常に厳しい状況が続いています。この原因は、地方と都市圏の賃金水準格差が広がったままであり、賃金水準を規定しうる労働生産性の改善が起きてないことが、各種データから挙げられます。労働生産性は、①資本・設備の質、②労働の質、③技術進歩(TFP)の3つで決まります。成熟した日本では、①の質は非常に高く、今起きている設備投資需要も更新需要がほとんどのようです。②に関しては、高齢化していく中で数は減っても質を高める可能性は十分にあります。となると③が気になりますが…

 

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(出所:都道府県別産業生産性(R-JIP)データベースの構築と地域間生産性格差の分析」(RIETIディスカッション・ペーパー 13-J-037) データは2008年時点)

 

 

上記のグラフは①②③を県別に並べてみたものです。見て頂くとわかるように、大都市圏に比べて技術革新(TFP)の停滞が顕著になっているのです。では技術革新のためには、どうしたらよいのでしょうか?それについては次回以降に!

会場に来てくださったみなさまは、製粉業界と新潟経済をどう盛り上げるかに注力されており、私も沢山のパワーを頂きました。

日本経済盛り上げていくぞー!

今日も読んでくださりありがとうございます!

 

さいますみ/崔真淑

 

 

関西働き女子とマクロな視点で、お金について考えてみた!@日経ウーマノミクスin 大阪

みなさまこんにちは!

Good News and  Companies代表でマクロエコノミスト崔真淑(さいますみ)です!

TV番組「崔真淑のお金に好かれる働き女子学 番外編」と題して、本経済新聞大阪本社にて、相方の改野キャスターとトークイベントを行いました!日経ウーマノミクスプロジェクトのコラボイベントだったので、同世代の働き女子の生の声も聞けて、非常に貴重な機会となりました。そして、日本公認会計士協会近畿会さまが協賛してくださっており、公認会計士として最前線で働く方々とも交流できたことに感謝しております。来てくださった皆様ありがとございます!

*番組はCS日経CNBCで毎週金曜18時45分~50分で放送中!ネットでも初月無料で見れます*

f:id:saimasumi:20150515183433j:plain (作成:日経CNBC、テイクワン)

 

まずは、番組内でも扱ってきた、お金に好かれる女性の特徴をお話を。その後に、実践的な投資のお話も。投資というと身構えがちですが、働き女子だからのネタを盛り込みました。ESG投資と、ノルウェーの女性取締役義務化時の資本市場の変化等をお話しました。ノルウェーの事象については、先日UPしたこちらのブログをご参照に。  ノルウェー事象からの教訓は、あまりに急すぎる女性活用義務化は、弊害も大きいということです。2002年に義務化が発表されてから、上場企業そのものが減ってしまったこと、そして女性取締役が増えても経営参画出来ているとは言えない現状もあること。それが、良くも悪くも資本市場に鏡のように現れてしまったのです。 そんな教訓から、女性取締役がいるかいないかは、キャリア形成を考えるだけでなく、有効な投資戦略になるかもしれませんよね。

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(写真はトークイベントの様子です!実は緊張していた私でした)

 

その後は参加者の皆様との交流会でした!100人近い方々が来てくだり、沢山の働き女子と生トーク!非常に驚いたのは、私同様に社会人大学院に通学中の女性が多かったのです。学問を学ぶと、現場の意識が整理されるよね!でも、めっちゃ体にくるよね(笑)等々、いろんな話を。

あっという間の中で、もう少し盛り込んでもよかったと思うのは、実際に投資をするための一歩について。私の職業的に、あなたは株タイプ?債券タイプ?投信タイプ?…といった話は触れないようにしているのですが、ヒントを盛り込んでもよかったかなーとかとか。どう中立に盛り込んでいけばよいか今後の課題になりました!

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(交流会には、大阪で有名なGOKANさんのケーキが参加者の皆様に提供されて、私も改野Cも笑顔に。下は、イベント前の記念写真(笑))

 

個人的には、「TV見てると硬い人かと思ったけど、全然ちゃうんやね!」と言われたの嬉しかったです(笑)アベノミクスによる資本市場改革は、始まったばかり。この波にのってお金と上手に付き合う方法を、更に模索していきますので、どうぞよろしくおねがいします!

 

いや~!非常にアツイ大阪の夜になりました!みなさまありがとうございました!

引き続き精進してまいりますでの、どうぞよろしくおねがいします!

 

崔真淑/さいますみ

 

 

お金に最も好かれている人「ビリオネア」の意外すぎる姿とは!?マネできることは!?

みなさまこんばんは!

Good News and Companiesの崔真淑(さいますみ)です!

実は、4月から日経CNBCにて人生初の冠TV番組「崔真淑のお金に好かれる働き女子学」が始まりました!毎週金曜日18時45分~50分放送のミニ経済番組です(再放送もしてます!)。国策として働く女性へのニーズが高まっています。仕事とプライベート、どちらも充実させるためには、経済・お金と上手に付き合うスキルが必要です。女性に関する経済データを用いながら、そうしたコツを皆様と一緒に考えていきます。(もちろん働き男子にも見てほしい番組です!女子、男子と書いたのは親しみやすさを持ってほしいからです。女史、男史もありかも!?) 今回は、4月3日放送された、世界で最もお金に愛されている「ビリオネア」の特徴について、盛り込めなかったことを見ていきます!

f:id:saimasumi:20150515183433j:plain(制作:テイクワン、日経CNBC

Qそもそも「ビリオネア」は、どんな特徴があるの?

billionaire=$10億≒1000億円規模を保有している資産家を指します。彼らについて調査された「Wealth-XUBSビリオネア調査2014」を見てみると、意外な姿が見えてきます。世界のビリオネアは2014年に過去最高の2325人となりました。彼等の分布を見ると世代は55~74歳に集中しています。この辺りは、なんとなくうなずけるのでしょう。しかし、なんと彼等の35%(!)は大学を出ていません。更に驚くことに、彼らの60%(!)が一代で築いているのです!!

(*データを見るとビリオネアの95%以上が男性となっています。しかし、妻はオーナーになっていないだけで、表面的に男女どちらが主となって資産を形成したかがわかりません。それを考慮して統計的に大多数を占める男性データを参照しています。)

 

Q彼らはどうやって一代で築いたの?

一代で1000億円以上の資産を保有するとはすごいですよね…いったい、彼らはどのように資産を作り上げたのでしょうか?仮説ではありますが、ヒントは彼らの歳にあるように思います。彼らが生まれたのは第二次世界大戦後の世界。そう、欧米、アジア各国は戦争の影響で滅茶苦茶。築き上げた資産も崩壊してしまった富裕層は多いでしょう。つまり、マクロ経済的に、戦後は資産家とそうでない層の格差が一時的に縮小した時期と言えそうです。これは、フランスの有名経済学者ピケティのデータからもうかがえます。r(資産から得られる収益率)とg(経済成長と連動する所得の収益率)の差が縮小した時期は、まさに戦後でした。こうした経済環境が、ビリオネアに55-74歳が多い理由かもしれません。

 

Qでも、なにか真似できることはないの?

時代背景も影響していたと言われては、身も蓋もありません。でも、それでも何か私たちが真似できることはないのでしょうか?ヒントを探るために、彼らが本業を置く地域についてみてみました。所在地TOP10の国をみてみると、OECDが提唱している、あるキーワードが浮上してきました。それは「レジリエンス」が強い地域だったのです。安倍総理の演説にも出てきたキーワードで、回復力を意味します。

金融経済と実体経済がリンクしあうことで現状維持が難しいのが、今の経済の特徴です。想定外のことがおきても、すぐに立て直せるリスクヘッジ能力と、タフネスさが人単位でも国単位でも必要と、OECDでは提唱されています。あくまで仮説ではありますが、たしかに「レジリエンス」なくして資産は築けるきはしませんよね。

どうしたら、レジリエンスが備わるかのヒントはこちらの放送第二回をどうぞ!初月無料なので、ぜひよろしくおねがいします。宣伝になり恐縮ですが、よろしくおねがいします☆

 

Qで、ビリオネア自身は資産形成には何が必要と言ってるの?

調査をみると「資産形成には起業家精神が重要」と…そりゃそうですよね(汗)

 

今日も読んでいただきありがとうございます!

どうぞ引き続きよろしくおねがいします!

 

崔真淑/さいますみ

 

 

 

コーポレートガバナンス・コード導入で経済・マーケットはどう変わる?~女性取締役編~

みなさまこんばんは!

Good News and Companiewsの崔真淑(さいますみ)です!

この4月から新番組のレギュラーが始まりました!BSJAPAN 「日経モーニングプラス 6時39分~」で、月曜コメンテータを担当しています。榎戸キャスター、日経新聞コラムニスト脇さんとお送りしてます。おかげさまで冠コーナー「さいますみのマーケットラボ」も持たせてもらい、マクロ経済、資本市場について解説してます。今回は、5月25日(月)放送分についてみていきます!

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Qコーポレートガバナンス・コードって、そもそもなに?

東証は「コーポレートガバナンス・コード(CGC)」=「上場企業が守るべき行動規範」を、今年6月1日から上場規則に反映させました。法的拘束力はないものの、守れない場合は説明責任が付きまといます。持ち合い株、株主権利、取締役会の役割、役員報酬…etc、等が記載されています。導入目的は、上場企業の企業価値向上だけでなく、株主との対話を促し、海外から日本に息の長い投資マネーを呼び込む狙いもあります。さて、経済・資本市場にはどんな変化が起きるのでしょうか?今回は取締役会の変化について!

 

Q取締役会については、どんなことが言及されているの?

今回注目したのは、CGCの原則4-11です。取締役会に多様性を促すよう記載されています。つまり女性、外国人等の導入を促しているようです。女性の取締役導入を促進す流れは、CGCだけでなく情報開示にも出ています。2015年3月期決算企業が今年6月頃に提出する有価証券報告書から、女性役員人数と役員に占める割合の開示が義務付けられるのです。政府は2020年までに、指導的地位に占める女性の割合を3割を目標にしています。女性取締役について、海外のように法的義務付けも数年先にはあるかもしれません。

 

Qもしも、女性取締役の導入が義務つけられたら何が起きる?

就業環境では、それに応じて女性管理職が更に増えるでしょう。結果、リーダーシップでなく、フォロワーシップの在り方に注目が集まると予想してます。(この辺りは、次回以降に) 資本市場では、一時的な混乱が予想されます。過去に女性取締役の義務付けを行ったノルウェーの例を踏まえると見えてきます。

 

Qノルウェーでは何がおきたの?

2002年2月22日に、ノルウェー政府は上場企業に対して女性取締役を取締役会40%にするよう法的義務を発表しました。論文「The Changing of the Bords: The Impact on Firm Valuation of Mandated Female Bord. Aheren Kenneth R. and Amy K. Dittmar(2012)」に、この時に何が起きたかが分析されているのですが…

発表前後5日間の上場企業の株価をみてみると、女性取締役ゼロの企業は明確な株価下落を見せていました。多くの投資家は、企業の意思決定機関である取締役会の半分近くが一気に変わることは、企業価値の損失につながると考えたのでしょう。

では、その1年後の企業価値(ここではトービンのQ)は実際にはどう変化したのでしょうか?新たに、女性取締役の比率が上昇した企業では、企業価値がそれに応じて低下していたのです。ガラッと取締役会が変わるということは、企業の雇用慣習、従業員補償も変化しかねません。法的義務付けにによる大きすぎる企業変化を投資家は嫌気したのでしょう。(女性取締役は従業員削減を行わい傾向という研究もあります)

 

それまで、平均して10%も占めていなかった女性取締役を、40%への法的義務付けは、一時的な混乱を招いたようです。

人口の半分である女性が働きやすい環境を作り、マクロ経済の成長率を高めるのは悪い話ではありません。しかし、過渡期には一時的な混乱は起きそうです。

ビジネスパーソンとしては、就業環境の変化にどう備えるか?

投資家としては、どう戦略に組み込むか?が重要になってきそうです。

 

今日も読んでいただきありがとうございます!

引き続きよろしくおねがいします!

 

崔真淑/さいますみ

 

経済最前線な一日でした!~日本郵政上場からソーシャルインパクトボンドまで~

みなさまこんばんは!

Good News and Companiewsの崔真淑(さいますみ)です。

なかなかブログUP出来ずにいました。おかげさまで4月から、ラジオ・TV担当番組が9本(隔週、隔月のを合わせて)に!ありがとうございます!

 

そして、5月末は経済最前線な一日を過ごしておりました。というのもBSNHK1「経済フロントライン毎週土曜日22時~」(フロントラインは最前線の意味でございますにゲスト出演し、マクロ経済目線で、ピックアップされたニュースを基に生活にどんな影響があるかを解説。

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(5月30日放送後。キャスターの野口さん、竹内さん、東洋大学石井教授と@NHK

内容は、日本郵政が上場を控えているものの、経営が芳しくない日本郵便の今後について。法律でユニバーサル経営が義務つけられ、店舗縮小が難しいなかで業績を上向かせるためにどうしたらよいかを、東洋大学の石井教授と模索しました。私からは、店舗縮小ができないなら、あるからこその戦略をどうだろうと提言させて頂きました。例えば、スウェーデンではスーパー、ガソリンスタンドと併設した郵便局しかありません。もう一つは、元サッカー日本代表監督の岡田武司史さんFC今治の監督でなくオーナーになった背景についての映像を見ながら、地方創生について。海外、都心で活躍した方々が地方創生のために、由縁の地域で再生に挑むロールモデルになるよに思います。実際、そうした流れは出てきているようです…

 

 実は、その日のお昼には、ソーシャルインパクトボンド(SIB)振興のための「G8社会的インパクト投資シンポジウム」にパネラーとして登壇しておりました。日本財団と横須賀市が、パイロット事業として特別養子縁組の推進のためにSIBの仕組みを取り入れました。この案件を踏まえつつ、SIB拡大のための課題について、パネラーの皆様とディスカッションを。SIBそもそもについてはこちら

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横須賀市吉田雄人市長、森ビル株式会社取締役CFO堀内勉様 、一般社団法人RCF復興支援チーム代表理事藤沢烈様 、慶應義塾大学政策・メディア研究科特任助教伊藤健様 、崔の5名でのディスカッション)

   

まだまだ課題は多く、規模が小さく機関投資家が積極的に投資する規模ではないこと。また、地方自治体が節税を積極的に行おうとすると来年度の国からの補助金を考え、導入を躊躇する地方自治体も少なくないこと。同じ仕組みで、認知症患者を減らすに事業を行おうとすると、そうした方々を受け入れる施設の収益低下(国からの助成金が減少等々…)を懸念し、導入に積極的になれないステークホルダーもいること…etc。マクロな観点でみると財政赤字を縮小することは、日本経済の持続可能性を高めることになります。しかし、ミクロでみると、そうなることで困る人も出てきます。ここを同調性するかが非常に難しいわけです。ただ、グローバルな流れとして、着実に進んでおり、今後に期待したいところです。

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というわけで、おかげさまで仕事の幅も広がりつつあり、同世代の方がたにもマクロな視点で経済を見ることの意義を伝えられる機会が増えてきてます。

どうぞ引き続きよろしくおねがいします!

 

崔真淑/さいますみ

 

未来の資本主義・民主主義はどう変化する?@NHKEテレ「ニッポンのジレンマ」

 みなさまこんばんは!Good News and Companiesの崔真淑/さいますみです。

2月28日(土)24時~からNHKEテレ「ニッポンのジレンマ」が放送されます。今回は、収録で話きれなかったことも含め、私の関心事を書きます。

f:id:saimasumi:20150228185737j:plain(収録後のホッとしているみなさまの姿です笑)

 

ビットコインを支えるブロックチェーン登場で民主主義はどう変化するのか?

今回の収録では、民主主義に関する話も登場しました。国家の構成員により、意思決定がされる世界。自由な選挙による政治代表の選出制度を担保する物で、どういう民主主義制度をとるかで政治の方向性は大きく違ってきます。例えば、スイスは直接民主主義をとっており、EUからの移民制限をするという決定は国民投票の結果です。

そして、この民主主義の形に影響を及ぼしかねないと気になるのが、ビットコインを支えるブロックチェーンという仕組みです。ブロックチェーンは、中央機関を持たずに、そのITシステム、コミュニティ参加者の多数決により意思決定がされていく仕組みです。

 

f:id:saimasumi:20150228200809p:plain ブロックチェーンイメージ図 筆者作成)

 

これまでは、政府という中央機関、そして国民を代表する政治家という管理者が便宜上必要でした。しかし、ブロックチェーンの仕組みにより、こうした機関、管理者の必要性が薄くなる可能性も出てきたのでは?と、思うようになりました。政府、政治家は最小限のことしかせず、ブロックチェーンによって生れた自律的コミュニティが生れたりして… または、この仕組みから直接民主主義が当たり前の国が多くなったり…となると、経済システムの形も大きく変化するかもしれませんね。

 

 

Q今後の資本主義の形に対して提案したいことは?

番組の中で私が提案したのは、1億総株主資本主義という形です。私が日頃接している資本市場は民間型の富の再分配の場でもあります。私達の国民年金企業年金の資金は、株式市場やその他の資本市場で運用されています。なので、資本市場にアクセスしたことないぞ!という方もいるでしょうが、私達は既に投資家なんですよね。

しかし、年金は本当に貰えるのか?という声もききます。年金の世代間格差は広がるばかり。そこで、国は年金格差を確実に埋められるとは保障できないから、401KやNISAという非課税運用枠を用意して、自らの老後資金を自ら作りやすいような場を提供することで、年金の世代間格差を埋めようとしているわけです。

 

ただ、私が改めて1億総株主資本主義と強調したのは別の理由があります。大企業の利益拡大の恩恵が、中小企業や、個人にはなかなか届かないと感じる方が多いのではないでしょうか?だからこそ、誰もが株主・資本市場にアクセスしやすくなり、大企業の利益を享受できる仕組みが必要だと思ったのですもちろん、アクセスするための資本をどう稼ぐのか?という問題も出てきますが、ここでは他先進国並みに資本市場に個人もアクセスしやすくなることを課題として挙げました。そして、アベノミクスではこの辺りが改革されつつあり、提案しました。

 

 

Q課題解決型の金融商品とは?

経済成長とは、利便性を向上させるだけでなく、課題を解決させることでもあります。今の日本の最大の課題といえば、政府の1000兆円を超える借金ではないでしょうか?こうした財政赤字解消を促すことで儲ける仕組みを持った債券=ソーシャルインパクトボンドを紹介しました。詳しくはこちらを↓

と、今回は私の関心事を徒然なるままに紹介させて頂きました!

テクノロジーと、資本市場改革で未来はどうなるのでしょうか~☆☆☆楽しみですね!

今日も読んでいただきありがとうございます!

今後も応援よろしくおねがいします☆

 

さいますみ/崔真淑

 

私が思う、エコノミストの経済予想との”上手”な付き合いかた

みなさまこんばんは!Good News and Companiesの崔真淑/さいますみです。

昨日、10-12月期国内経済成長率(=GDP成長率)の速報値が発表されました。一年に馴らした経済成長率は2.2%でした。しかし、主要シンクタンクエコノミストの予想中央値は3%超えでした。

この結果と予想の「ズレ」から、エコノミスト経済予想ってなんなんだよー!という声を頂きました。今回は、なぜ予想が外れるのか?エコノミスト予想をどう活かせばよいのか?を、考えていきます!

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(制作:日経映像 出所:BSJAPAN「NIKKEI朝とく 毎週金曜”さいますみのエコノゼミ”)

 

Q1そもそも経済成長率は、どのように発表されるのか?

経済成長率を算出するには、多種多様な統計データが使われます。構成される全ての統計データの開示を待つと、タイムリーに経済成長率が算出できません。しかし、経済政策を考えるためには、ザックリとした値でも経済成長率を早く算出する必要があります。そのために、速報値、確報値という形で経済成長率は、数回に分けて値が発表されます。

 

Q2なぜエコノミストの経済予想は外れることがあるのか?

そのような全ての統計データが開示されていない時点の速報値を予想するのは至難の業。また、民間シンクタンクが使える統計データも限られていることから、ダイレクトに速報値を当てるのは非常に難しいのです。もちろん統計データの癖を見抜いて的中率の高いエコノミストの方もいますが、長期で続けるのは非常に難しいと思います。お上の経済成長率の算出方法も、変更されますしね。

 

Q3そもそもエコノミストの経済予想に有意な能力差はあるのか??

そんな予想が難しい速報値を当て続けるエコノミストは存在するのでしょうか

神戸大学の芦谷政浩教授の2006年の論文が、ヒントを示しています。

(こちらの論文の”はじめに”をご参照ください。その他、シンクタンクエコノミストと個人エコノミストと、それぞれの傾向にも書かれており、非常に興味深い論文です)

1980年ー2003年の東洋経済新報社統計月報」掲載されたエコノミストの経済予想について、「毎年的中率上位」と「毎年的中率下位」シンクタンクが出現する頻度を調査。各シンクタンクを年度別に順位づけしました。
仮に能力の高い研究機関が存在すれば、的中率上位を取り続けるシンクタンクの出現頻度が上昇するはずですが…
 
結果は、毎年ランダムに各研究機関へ順位を割り振った場合と統計的に優位な差はないとのこと。つまり、すべてのシンクタンクで予測能力に有意な差があるとはいいきれないということです。
 
Q4 Q3のような結果になる背景とは?
考えられる背景には、一定水準の能力をもつシンクタンクだけが経済成長予想の公表を継続できるからなのか? または、今後を考えると、大きく予想を外すリスクをとるよりも予想中央値にさや寄せしようとするインセンティブが起こるからなのか?
等々、いろんな理由が考えられます。
 
Q5じゃあ、どうやってエコノミストの経済予想と付き合えばよいの?
このような話、実は株価予想をする企業アナリストにも同じような傾向があるようです(アナリスト版の実証研究も存在します)。私も、研究所時代を振り返ると、世代、立場、年齢等々で予想バイアスがあるなぁと肌感覚で感じることは多々ありました。
エコノミストの経済予想を見る時は、その方のキャリア形成を見て、どんなバイアスが掛かりやすいのかを考えてみるのはどうでしょうか?
エコノミストだって人間。予想通り不合理なことはありますよん。
私も人間ですから(汗)
 
また、エコノミストの仕事は単に経済予想を的中させるだけでなく、世の中の経済に対する見方のコンセンサスを醸成し、未来のリスクを政府、企業、個人に意識させるこでもあります。予想数字だけでなく、発言の中に意外なヒントが隠されていることもあったり…
 やっぱり予想数字だけばかりみても、その方が伝えたい本質は見抜けないと思うんですよね^^;
 
今日も読んで頂きありがとうございます!
 
 
さいますみ