”さいますみ/崔真淑”のオイコノミクス

Good ・ News and Companiesの”マクロエコノミスト崔 真淑 / さいますみ”です!資本市場、そして経済学の社会的意義を伝えるのが使命です!身近な話から資本市場の最先端の話まで皆様と一緒に考えていきます!ご連絡先はこちら→info@goodnews.jp.net

SciREX Summer Camp で、2030年に向けたメディア関連政策提言を描く!~ここが変だよ、日本のメディア業界!?~

 みなさま、こんにちは!

 エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。実は、今年4月から一橋大学イノベーション研究センターで、研究活動に注力し始めました。

 その活動の一環として、SciREX=「政策のための科学」推進事業にて、エビデンスに基づく政策提言を実践的に学ぶ機会を頂きました。各チーム事にテーマを設定し、政策がエビデンスに基づいてどのように作られるべきかを描き、提案機会を頂きました。

 私たちのチームは、「2030年のテレビ界」と題して、あるべきテレビ業界の姿を予想し、それに基づいて総務省の方に実際にお話しをするというものです。

 

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(チームメンバーの李ちゃん、イノベーション研究センターの助教の金さんと!)

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(チームメンバーと、サポートしてくださった先生たちと!場所はGRIPS!)

 

*政策提案の過程で学んだこと

 今回のチームメンバーは、自身を含めてメディア業界と関係ある方、その分野の研究者が集まり議論は炸裂!メディアって資本構成、ジャーナリズムの在り方、コンテンツの中身…、何を基点に持つかが大変大変…。

 実際に政策提案の手法を学んでみると痛感したことがあります。全ての人にとってメリットのある政策なんて無いということ。だからこそ、政策ありきのエビデンス作りでなく、エビデンスありきの政策作りをしない公平性が担保できないんだなと…。

 

*放送と通信の境界が曖昧になることの課題

 そして、本題のテレビ業界の2030年の未来なのですが…。そもそも、これを読んでいるあなたは、テレビ見てますか?各種データをみても、20-30代層のテレビ離れは顕著です。そんな環境で、各テレビ業界が進めているのが、テレビ番組接触率を高めるためにテレビ番組をインタ―ネット配信し始めています。

 そうした環境だと、一つ問題が出てきます!それは、放送と通信の境界線が曖昧になるということです。何が問題やねん?なーんて思いますよね。大問題なんです!

 前者は免許を持って運営し、一定の規則があります。例えば、日本の放送法では、内容は政治的に公平性を担保することが定められています。しかし、通信においては、そうしたことは定められていません。その他にも、様々な違いが存在します。

 放送と通信の中間を定める法整備が必要なわけです。で、総務省の方に実際にインタビューを行うと、何度か検討されたことがあるものの、放送側からは歓迎されても、それは通信側からは制約になりかねず、利害関係の調整の難しさから現実的でないようです…。

 

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(こんな感じで、各省庁の方々や、研究者の先生方、参加者の前でプレゼンを。みんな優秀すぎ!)

 

*ここが変だよ、日本のテレビ業界

 通信と放送の中間的法規制は難しいものの、テレビ番組のインターネット同時配信の流れは世界の流れをみても加速は必須でしょう。そして、世界のテレビ業界の動きをみると、日本のテレビ業界の特殊性も見えてきました。

 例えば主要先進国の公共放送において、インターネット同時配信に制約があるのは日本ぐらい…。予算のかけ方も、英BBCのインターネット事業の予算は全体の6%で、提供時間も365日24時間。一方でNHKは2%で、あくまで試験提供に限られています。

 更に驚いたのは、視聴率の計測方法です。日本は番組視聴率を広告指標に活用します。しかし!!アメリカ、イギリスは、番組視聴率など正直どうでもいいのです!CM視聴率を計測して、広告指標に活用しているのです!そっちのほうが…なんて思ったり。

 

*ここが変だよ、日本のメディア規制

 加えて、日本のテレビ業界を考えるには新聞社の関係は必須ですよね。上場テレビ局の上位株主に新聞社の名前が見られますよね。これまで、ライブドアソフトバンクがテレビ局買収に動いたのをみても、この関係は重要。

 そこで、ふと思ったのです…。この関係性が良い悪いは別として(実際、現場にいてもシナジーを大いに感じること多々あります!)、新聞社に資本規制があり、自由な資金調達がしにくいこともメディア業界の株式持ち合いにも影響しているのかなと…。

 日刊新聞法では、大手新聞社の上場や資金調達を制限する?だろう規定が並んでいます。これにより、新聞部外者からのファイナンスの機会を失わせたり、株式の譲渡安定性を損なわせて、むしろ新聞社の足かせになっているじゃないかなと…。本来、この法律で、新聞社のコンテンツの中立性が保たれることを狙いとしているようですが、グローバル社会において、この法律で本来の目的は達成できるか謎ですし…

 

 と、言い出したら様々な制約や課題が出てきて、本当に議論が大変でした。私たちのチームは、テレビのインターネット常時(24時間)同時配信を円滑に進ませるための施策を、総務省に提案することを考えて行いました。いくつか賞も頂けたし、貴重な学びの機会となりました!

 ここでの経験を研究にも仕事にも活かしていくぞ――!

 こうして様々な活動ができるのも皆様のおかげです。

 いつも応援ありがとうございます💛 崔真淑(さいますみ)

 

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(アイディアにはポストイットは必須!パワポありきだと、クリエイティビティがどんどん損失するぞ!という東大の先生の言葉が響きました)

 

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(最後に、みんなハイチーズ!将来に向けて、更に精進じゃーー!)